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冒険者は最強職ですよ?  作者: 夏夜弘
第三章 アルゴネズム国編
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与えられた試練 4

『ジン、朝だ。起きろ?』


「朝ですか……そうですかぁぁぁぁあ!?」


『なんだお主、朝から元気だのぉ?』


「いやいやいやいや、そりゃこうなりますよ!」


『だから昨日も言っただろ? 何時でも一緒だと、それが師弟関係だと』


「あのですね? まぁそれはいいとして、一緒に寝るのもいいとしますよ? でもですねぇ……」


『でもなんだ?』


「でも、裸は流石に辞めてくださいよ! しかも何で僕まで脱がされてるんですか!?」


『なんだ寝るときは何時も服を脱ぐものだろ?』


「僕はそんな事……」


「ジンおはよ……」


「ないですよ! ……今の声はまさか!?」


 ジンは、声がした扉の方を恐る恐る向く。するとそこには、顔を真っ赤に染めたレベッカとマーシュが立っていた。


「じ、じ、じ……」


「待ってくださいレベッカさん! これには深い訳が……!」


「ジンの不潔者ぉお!!」


「ぶっはぁぁあ!?」


 ジンの急遽に、レベッカの強烈な蹴りが見舞われる。これは痛い。しかもノーガードだ。


「死んだ死んだ死んだ死んだ……これでもう僕は息子を拝むことなく死ねます……ね……」


 レベッカのその強烈な一撃に、ジンは気絶する。泡を拭きながら……


 それから数時間後―


「あの……その……ジン? さっきはごめんね?」


「あぁぁぁぁぁ……」


「聞いてる? ジン……ちょっと? そこは口じゃなくて目よ!? 何処からパンを食べようとしてるの!?」


 ジンはまだ放心状態だ。意識などほぼ無いに等しい。口を開けて白目を剥きながら、食卓の椅子へと座っていた。


「だからジン!? そんなとこに食べ物はないは!? それは蝋燭よ!? 何食べようとしてるの!?」


「私は悪くない私は悪くない……」


「あのぉ……マーシュさん? それにレベッカさんもですけど、何かあったんですか? ジンさんが今にも死にそうな顔を……」


「な、なななななな、何も無かったわわわわわ!?」


「うん。絶対なんかあったわこれ。ね? へレーナさん」


「…………」


「あれ? へレーナさん?」


「……あっ、そうね。そうね……」


 エレンは、へレーナはへレーナで何か会ったんだと思い、少し深刻そうな顔をしていたので、これ以上話しかけるのは辞めておいた。


『ねぇレッド? 本当にジンちゃんに何があったの?』


『ん? まぁ何でもない。ただのじゃれあいだ。気にするな』


『あらそう?』


 ホワイトは、絶対に原因はレッドにあると確信する。


 その後は、レベッカとマーシュが責任を取り、ジンへ食事を食べさせる。食べ終わると同時に、ジンはまた意識を失って倒れた。


『今日は無理だな。全く……情けないよのぉ……』


「「いやいや、誰のせいだよ……」」


『何か言ったか?』


「「いいえ?」」


『そうか。じゃあジンを部屋へ運ぶのを手伝ってくれ。頼んだぞ?』


 二人は返事し、レベッカがジンの上半身、マーシュが下半身を持ち、運ぶことに決めた。


 運ぶ時、レベッカは気にはしていなかったが、マーシュはどうしても気になって仕方が無かった。あの時見てしまったジンの『剣』が。マーシュは、再び顔を赤く染めた。


 そんな中、ジンは夢を見ていた。


 ……あれ? ダイコさんにネイン、どうしてここに……下を向いてどうしたんだ?


「アナタノセイヨ……」


 ん? 何を言ってるんですかダイコさんは……よく聞きとれ……


「アナタニチカラガナカッタカラ……」


 ネインまで……二人とも何を言ってるんだ!?


「「オマエノセイダ!」」


 そうダイコとネインは叫ぶと、顔を上げ、腕を伸ばして首に掴みかかってくる。目が無く、血の涙を流し、口を広げて叫んでいる。


 そして、首にし噛み掴まれたその瞬間、ジンは目を覚ます。


「うわぁっ!? ……今のは……そうか、僕はまだ後悔してるんだなぁ……それじゃあダイコさん達に怒られちゃうって言うのに……」


『仕方が無い。そう簡単に吹っ切れられるものでは無いからな。それに凄くうなされていたぞ?』


「あっ、レッドさん……どうして僕がその事を夢見てるって思ったんです?」


『まぁ長年生きてれば察しはつく。まだ我慢しておるのだろ?』


「えぇ……まぁ正直まだ切り替えられていません。すいません……」


『良い。まだ時間はある、ゆっくりと慣れてゆけばいい。それまでは我がそばに居る。其奴もだ』


「其奴……?」


 レッドが指を指す。その示す先には、椅子に座りながら眠っているレベッカとマーシュがいた。


『多分其奴も同じだ。だから自分だけ忘れようとするな。共に慣れてゆけ、そして強くなれ。無理をするな』


「はい……ありがとうございます、師匠!」


『それで良い。それで良いのだ……』


 ジンはもう、ダイコ達は忘れない。ランも女神もた。絶対に助けると、心に誓った。

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