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冒険者は最強職ですよ?  作者: 夏夜弘
第三章 アルゴネズム国編
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与えられた試練 2

『もうすぐ着く。その寝ぼけてる馬鹿を起こせ』


「ジン起きて〜、もう着くらしいわよ〜!」


「あんな所にシマシマパンティが! ……むにぁむにぁ……」


「ね、寝言だと!?」


『たたき起こせ』


「馬鹿なこと言ってないで起きなさい!」


 バチンッ、とへレーナが全力でビンタをする。すると、ジンはゆっくり目を開けて起き上がる。


「ふわぁ〜〜……着きました?」


「もうすぐらしいわ」


「そうですか……それで、お聞きしたいんですが、なんでか右頬がやけに痛いんですけど、知りませんか?」


「いいえ何も?」


「そうですかぁ……にしても痛いなぁ……」


『着いた。着陸する時揺れるから気をつけろ?』


「ジン、何か踏んでるわ。ちょっと立ってくれる?」


「え、何です?」


 ジンが立ち上がると共に、レッドが着陸する。その揺れでジンはバランスを崩して落っこちる。


「うぎゃあ!?」


『何をしておるのだ……だから気をつけろと言ったろ?』


「だって何か踏んでるって……」


「あぁ、それは嘘よ。貴方は素直すぎるわ」


「なんだと!?」


『はぁ……まぁいい。付いてこい』


 レッドは、人間の姿へと変わり、スタスタと歩いていく。それに、ジン達は遅れないように付いていく。


 アルゴネズムは基本曇っており、晴れ間などほとんどでない。そのため、辺りは薄着味悪い。


「それにしても暗い国ですねぇ……これ山の頂上ですよねぇ? 標高どれくらいです?」


『そうだなぁ、標高五千メートルくらいかの?』


「五千メートル!? 道理で息がしずらい訳だ……」


『そっちのウルフは大丈夫か? きついようなら酸素マスクを持ってくるぞ?』


 酸素マスク!? そんな物があるのか……凄いなこの城


「いえ、平気です、私も鍛える身なので、これぐらい耐えないと付いてけないので」


『そうか。頼もしい』


 それからは、一度荷物を置くために、それぞれに部屋が与えられた。その部屋はどれも広く、一人だと過ごしにくいぐらいだ。


 レッドが、一時間後、また呼びに来るといい、どこかへ去ってしまった。その間、ジンはステータスカードをチェックする事にして、ベッドへ寝そべった。


「あぁ、やっぱり"女神の加護"と"神力"か無くなってる……だけどステータスはこのまんまか。この"限界を知らぬ者"のおかげかな」


 ジンは、女神の事を思う。


 女神様、頑張ってるかなぁ……早く戻ってきてくれないかなぁ……こんな時、話し相手が居ないんじゃつまらないなぁ……


 そんな事を思いながらも、目を瞑り、眠りに落ちる。


 それから一時間後。


『おい。起きろジン』


「……あ、レッドさん。すいません寝てました」


『良い。では行くぞ。支度しろ』


「何処へです?」


『食事だ』


「……ほえ?」


 身支度を整え、ジンは言われるがままにレッドに付いていく。そして、ものすごく大きな洋風な扉の前へ来る。


『我の他に一匹居るが気にせんでくれ』


「は、はぁ……」


 そして、扉はゆっくりと開かれる。


 その扉の向こうには、料理を貪り尽くしているレベッカ達と、それを見て笑っている白髪の女が座っている。


「あぁジン! 遅すぎ! 私達で料理食べ尽くしちゃうところだったわ!」


「そ、そうですか……」


「早くこっちに来て食べよ!」


「は、はいわかりました」


 ジンはキョロキョロしながら、全長八メートルはあろう机の、真ん中の方の席へ座ろうとする。が、レッドに何故か止められる。


『何を一人で座ろうとしている。我と一緒に座るのだぞ?』


「へ?」


『当たり前だ。これからは弟子なのだからな。師弟関係ならば時を共に過ごすのは当たり前だろ?』


「待ってください。それは初めて聞きました。……って事はですよ? もしかして寝る時も……」


『一緒だ』


「お風呂の時も……」


『一緒だ』


「お散歩する時も……」


『全部一緒だ』


「……それはまずいんじゃ……」


『何故だ? 当たり前なのだろ?』


「いやいや、レッドさんは女性ですし……僕は男ですし……そのぉ……ね?」


『関係なかろう。それを認めなければお主は鍛えん。良いな?』


「あぁずるっ! ……わかりましたよぉ……」


 いつもなら、とやかく行ってくるレベッカ達は、目の前に出されている食事に夢中になっており、どうやら聞こえてなかったらしい。


「それでレッドさん、あちらの白髪の女性の方は?」


『あれは我が友、白龍のウィッテ=ホワイトだ』


 あれが、白龍……どんな龍なんだろう……


 ジンが見詰めていると、白龍らこちらに気づき、ニヤリと怪しい笑を浮かべた。

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