どうしてこうなった? 13
「……うっ、うぅ……はっ!? ここは……宿か……?」
目覚めると、ジンは布団の中にいた。周りには誰も居らず、自分は浴衣を着ており、少し頭やら顔やらに痛みが生じる。
「痛ててて……なんでかわかんないけど顔中が痛いんだけど……それになんで僕はここで寝てたんだ?」
う〜ん……、と唸りながら昨日あった事を考える。
「確か……女神様と話したのは覚えてる……そこで時間つぶして……町に戻った……それからぁ……あれ? 全く記憶が無い……疲れすぎて寝たのか? イヤでもそれはないなぁ……わっかんねぇ」
ジンは考えるのをやめ、とりあえず起き上がることにした。が、下半身にもかなり痛みがあり、立ち上がろうとすると痛みが走る。
「痛ってぇ!? なんで全身痛いの!? 筋肉痛ってわけでもないし……寝相悪すぎて壁にぶつかりまくったとか?」
ますますわからなくなったジンは、自分に何があったのか聞こうと思い、レベッカとエレンの部屋へ行く。
「レベッカさん達なら何か知ってるかもしれないな」
痛むのを我慢しながら歩き、玄関から出て、隣の部屋の扉をノックする。
「レベッカさーん、エレンさーん! いますかー? 聞きたいことがあるんですけどー?」
反応がない……外に出かけてるのか? いや、でも今は真夜中だしなぁ……
そう思い、ジンはもう一度呼びかけてみる。
「あのぉー? 誰か居ないんですかー?」
……やはり返事は無い。寝てるのか? まぁいいか。僕も寝よーっと。
そのまま部屋へ戻り、再び布団の中へ入り、ぐっすりと眠る。
朝になり、目が覚めたジンは、欠伸をしながら起きようとする。が、何故か布団でぐるぐる巻にされており、固く紐で結ばれているため、抜け出す事ができない。
「な、なんじゃこりぁ!? なんで拘束されてんの……」
周りを見渡してみたいが、うまく首が動かせないため、うつ伏せになり、イモムシの様に動きながら体の向きを反対にする。
体の向きを変えた先には、五人分の足が目の前にあった。
「足だ。……ってことはレベッカさん達ですね! なんでこうなってるのか、教えて頂けると嬉しいんですが?」
「……知りたい?」
へレーナさん、やけに怒りが篭った声だなぁ……朝起きるのが遅すぎたからか?
「もし寝坊してしまったとしたら謝ります。でも今までそんな事は無かったので、差し支えなければ教えて下さい!」
「やけに丁寧な言葉を使うのね? ということは、昨日の事をわざと忘れたフリをしているのかしら?」
昨日の事? 特に何も無いはずだが……まさか記憶が無くなってる部分でなにかやらかしたとか……そんな馬鹿な……それはないな。うん。断言出来る。だって僕はそんな男じゃない!
「何のことです? 僕はどうしてこうなってるのか知りたいんですよ? 昨日何かあったわけでもないのに……」
「何かあったわけでもない……ですって?」
え!? 何か殺気が感じられるんですけど!? 怖い怖い怖い怖い!!!
「あのぉ……勘違いだったら申し訳ないんですが、何だか殺気を向けられてる気がですねぇ……」
段々と強まる殺気。ジンは笑顔を作ったはいるものの、大量の汗をかいている。
「や、やだなぁ! 何か答えてくださいよぉ! 本当の事を言うと、昨日の夜の記憶だけ抜け落ちてるんですよねぇ! な、なんでかなぁ? お酒でも飲んだのかなぁ!? あ、僕未成年だっけ! あははは……」
「ふ〜ん……夜の記憶がない……そんな嘘が私達に通用すると思っているの?」
「え!? う、嘘じゃないですよぉ!? 本当に記憶が無いんです! 本当です!!!」
「本当?」
「ほ、本当ですよ! 疑わないでぇ!?」
「……いいわ。じゃあ本当にそうなのか確かめてあげる。昨日夜どこに行ったかわかる?」
「夜? 夜……よる……いえ、何も思い出せません。どこへ行ったんです?」
「……温泉よ」
「温泉……どこのです?」
「逆に聞くわ。一番最近行った温泉はどこ?」
「最近ですか? えぇっとぉ……」
一番最後は……あれ? 待てよ……なんだか思い出してきたような……
「さぁジン。早く答えなさい? ココ最近で行った温泉は?」
温泉は……。……思い出しちゃった……ここはしらばっくれよう……
「ここの一番大きな温泉ですよね?」
「……本当にそうかしら? じゃあそこではバスタオルを渡されて、それを体に巻いて入るってことは知ってるわね?」
「え? それは昨日の夜に行った……あっ」
「あら? やっぱり覚えてたのね?」
ジンは大量の汗をかく。もう布団はビショビショだ。
「話を聞いてください! 違うんです! 本当にさっきまで記憶が……それ僕の剣!!! やめてっ! 剣先を僕に向けないで!!」
「じゃあ皆でこの剣をジンに、順に刺していきましょう。ジンを殺せたらその人の勝ちね?」
「「「わかったわ」」」
「やめでぇぇぇえ!!! それは本当にシャレにならないですよぉ!? わかりました! 僕が悪かったです! あれは悪気があったわけじゃないです!! お願いだから話を聞いて!?」
「問答無用!!!」
「うぎゃぁぁああああ!!!!」
その後、三時間に渡る説教と、五時間に渡るジンの土下座により、ジンはお許しを貰う。
汗でビショビショになった布団に、本気で殺しにくるへレーナ達に、ジンが本気でビビってしまい、漏らしてしまったのは、ジンしか知らない……




