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冒険者は最強職ですよ?  作者: 夏夜弘
第二章 リベンド国編
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どうしてこうなった? 10

「おい嘘だろ!? なんであのへレーナ=ワズさんが隣に男を連れてるんだ!?」


「それも風呂にだぞ!? 数多の告白を蔑ろにしてきたあのへレーナ=ワズさんが!?」


「キャー! へレーナ=ワズ様がお風呂で男性と歩いてるわ!」


「あのぉ……これじゃあまともに朝食も食べれないんですけど……」


「こればかりは私もどうすることも出来ないわ」


「「「宿で朝食を取れれば……」」」


 レベッカとマーシュとエレンは、小声で呟く。


 ―それは少し前の事。


「ふはぁ〜。あら、ジン、おはよ。朝早いのね」


「えぇ。なんてったって寝てませんからね……」


「何ですって?」


「なんでもないですよ。それよりへレーナさん。ヨダレがついてますよ?」


「ほえ?」


 間抜けな声を出しながら、口の周りを触って確かめる。へレーナの口の周りはヨダレだらけだ。


「ジン。貴方は何も見なかった。いいわね? もし誰かに言ったりでもしたら粉微塵に吹っ飛ばすからね?」


「もはや脅迫ではなく殺害宣告ですよねそれ!? 絶対に言いません。死んでも言いません!」


「ならいいわ……」


 そしてへレーナは、急いでヨダレを拭く。


 それから数分後、マーシュも起き上がる。


「……ここはどこ? ……っは、宿か……」


「おはようございますマーシュさん」


「おはよ……すぅ……」


「二度寝した!?」


「私も……」


「へレーナさんも!? 僕も寝たい……のに寝れないっ!」


 ジンは悲しくなり、もう時刻も8時を回っていたので、とりあえず自分だけでも朝食を取っておこうと、宿主へ尋ねに行く。が、ここでは朝食だけら作っていないと言う。また何とも珍しい事だ。


 仕方ないと思ったジンは、財布を取りに部屋へ戻る。


 財布を取り、寝てはいるが、一応聞いてるかもしれないと思ったジンは「朝食食べに行ってきまーす」と言うと、マーシュとへレーナが一瞬で起き上がる。


 その数秒後、隣の部屋からは、レベッカとエレンが、早く行こうと言わんばかりの顔をしてやって来る。


「そ、そんなにお腹が空いてたんですね……」


 そして、外を歩き出すと、周りの過ぎ行く人は皆、ジン立ちの方を見てざわざわとしだす。


 そのざわざわが次第に大声になり、大事となり、早く店に入りたかったジン達は、近くにあった店へ入る。


 ―そして今に至る。


「へレーナさん。貴方が原因ですよねこれ……僕こんなにじろじろ眺められるのは嫌なんですけれど……」


「仕方ないじゃない……私、本当に異性には疎かったから……」


「じゃあなんで僕に声をかけたんです!?」


「だって……人通りの少ないベンチでさ、可愛い男性がさ、座ってたらさ、勇気出して声かけてみたらさ、いい子だったからさ……」


「いい歳して……160年本当に異性とは付き合いが無かったんですね……」


「年齢は関係ないでしょ!?」


「わかりましたよ……そろそろ朝食が来る頃ですね」


「「「私達も会話に混ざりたい……」」」


「なんか言いました?」


「「「お腹空いたなって……」」」


「そうですか!」


 レベッカ、マーシュ、エレンは、はぁと溜息をつく。


 へレーナは、160年間、一度も体験したことの無い体験をしており、心底嬉しそうだ。


 ジンは、今になって睡魔が到来し、うとうとしていた。


 それから暫くして、朝食が運ばれてきたため、朝食を食べる。食べ終わったら、すぐに会計をして店を後にする。


 どこへ行こうにも、周りの目が気になってしまい、なかなか自由に動けなかったため、夜の時間まで宿で、時間を潰すことにした。


 宿へ戻り、五人はジンとマーシュの部屋で円になって座っていた。


「これだと温泉へ行けませんね……」


「そうね……人気の無い温泉があればいいですけど……」


「ないことはないわ。ただし……」


「あるんですか!? それはどこですか!?」


「それはね……神の湯という所よ」


「神の湯? ……ってどこにあるんです?」


「ここには一つ、大きな神社があるの。そこは女神様を奉る神社でね? そこにこの町の中では最高の温泉があるのだけれど、そこは女神様のために用意したもの。だから私達が入ることは固く禁じられてるのよ……」


「「「ん? 女神様だって?」」」


「何よ……三人仲良く声なんか揃えちゃって」


 エレンもキョトンとした目でジン、レベッカ、マーシュの三人を見つめる。


「レベッカさんどうしますか……」


「だめよ。これは誰にでも話せるものではない。だから却下よ」


「私もそれに賛成です」


「さすがに今回のは話すほどよ事でもないですからね……へレーナさん、そこは却下で」


「ま、まぁ最初から行く気はなかったのだけれど……」


 へレーナは、どうして三人で話し合ったの? という顔をしているが、ジン達は知らんぷりをする。


 まぁなんでかって言うと、女神のために用意された温泉があるなんて言ったら、あのバカ女神は調子にのるからなんですけど……


『へっくしょぉぉん! わぁ!? 鼻水が両方の鼻から出ちゃった!?』


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