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冒険者は最強職ですよ?  作者: 夏夜弘
第二章 リベンド国編
75/153

どうしてこうなった? 8

「……へっ? 今なんて言いました?」


「私は、世界で二番目に強いと言われています。へレーナ=ワズと言います。と……」


「……えぇぇぇぇ!?」


「そ、そんな驚く事ですか? この世界中では皆知ってることなんですけど……」


「も、もしかして、ダネットさんを知ってますか?」


「ええもちろん。彼も世界で十本の指に数えられる猛者ですからね。てゆーか、ダネットを知ってるのになぜ私を知らないのです?」


「ま、まぁそれには深いわけがありまして……」


「ふ〜ん……教えて貰える?」


「それははそのぉ……」


 まずい! 何とかこの状況を打破する手立ては……


 そう思った時だった。


「あっ! 見つけわよジン! 一人で抜けがけなんて私が許さ……えっ!? そ、そこにいるのはもしかしてへレーナ=ワズさん!?」


「し、知ってるんですか? レベッカさん」


「し、知ってるも何も、その方は世界中で二番目に強いと言われている冒険者の方よ!?」


「ほらね? 私の事をその子は知ってるでしょ?」


「そ、その子って……どう見ても同い年にしか見えないんですが……」


「あら、そう言えば……」


 そう言うと、へレーナは何か魔法を唱え始める。


 そして、急にへレーナから光が放たれ、眩しくて目を瞑ってしまう。


 目を開くと、目の前には全くの別人が立っていた。


「改めて自己紹介するわ。私はハイエルフのへレーナ=ワズ。エルフの上位の種族よ。職業はエルフでは珍しい賢者よ。それも他とは違った魔法を使えるわ」


 先程の容姿とは全く違うが、姿が変わってもその顔の美しさは変わらない。綺麗で長い髪に、エルフ特有の肌の色と耳の形。体型は完璧と言えるほどのものだ。


「あ、それと、歳は160歳くらいね。もう歳数えるのめんどくさくて途中で数えるの辞めちゃったけど……多分それくらいだわ!」


「そ、そんな適当でいいんですか!?」


「許されるのよ。この世界は広いもの」


「関係なくないですか!?」


「いいじゃない別に!」


「ま、まぁいいですけど……でもどうして姿を変えてるんです? 別にそのままでも良いのに……」


「それはね、このエルフの姿の時は冒険をしてる時。さっきの人間の姿をしてる時はプライベートの時よ」


「へ、へぇ……ちなみに、レベルはいくつぐらいですか?」


「297よ。もう少しで300に到達できるわ!」


「297!? それで二番目って……じゃあ一番の人はもしかして……」


「その通り。300に到達してるわ。彼は強すぎるし、容姿は完璧。だけど性格がね……頑固なのよ。それも非常にね」


「300……最高レベルですね……どのくらい強いんですか?」


「多分一人で魔王幹部二人は相手できるわ。それぐらいに強いのよ」


「二人ですか……ちなみにへレーナさんは魔王幹部相手にどこまでやれますか?」


「私もギリキリ二人かな……でも魔王には適わないわ。アイツは強すぎる。多分私たち十本の指のパーティーで行っても無理ね……」


「そ、そんなに強いんですね、魔王……」


「ま、私達はまだ負けたつもりは無いけどね!」


「じ、ジン? さっきから仲が良さそうだけど、何でそんなに親しいの?」


「あぁ、特に深い理由はないですよ? ですよね? へレーナさん?」


「えぇ、私が一方的に話しかけただけだもの。それにしても、女の子を一人にするとは……君もまだまだだねぇ……」


「ジンです。僕の名前。……別に一人にした訳じゃないですよ! 僕が勝手に散歩をしたくなって外に出ただけなので。他にも宿に二人仲間がいますしね!」


「そうなの……じゃあ……私も泊めて!」


「「……ん? 今なんて言いました?」」


「私今夜宿ないの! だから泊めて!」


「「……えぇぇぇぇ!?」」


「ダメ?」


「ぼ、僕は構いませんが……」


「また一人女が増えるの……何よ。ジンは私とマーシュだけじゃ飽き足らずエレンさんにへレーナさんまで……はぁ……」


「れ、レベッカさ〜ん? 何をブツブツと小声で喋ってるんですか?」


「知らない!」


 レベッカはジンにビンタし、帰っていった。


「な、なんで殴られた!?」


「ジン……貴方は経験が足りないわ……」


「おぉ……僕よりも多くの経験を積んでいる人から言われると説得力ありますねぇ……」


「魔法を口の中にぶち込まれたいの?」


「すいませんでした。泊めてあげますので許してください……」


「ならいいわ。許す」


 でも経験って……なんの経験が足りないんだ?


 バカで鈍感なジンには知る由もない。そのままジンは、へレーナを連れて宿へ戻るのであった。

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