表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者は最強職ですよ?  作者: 夏夜弘
第二章 リベンド国編
62/153

もう守られるだけの僕じゃない 12

「この糞女が……そんなに喧嘩がしてぇならやってやるよ」


 そう言うと、グスタフは全身に力を込めオーラを纏う。レベッカも同じくオーラを纏い、二人は構えをとる。


「ほほぅ? お前は武闘家か……同じく職業どうしだと張合いがあるなぁ」


「短剣を持ってるくせに張合いがあるですって? 武器にしか頼れないおバカさんとは張り合いたくはないものね」


「さっきから舐めた口ばかり……徹底的にぶちのめす」


「ぶちのめすだのぶち殺すだのと……さっきから聞いてればそればかり。少しは行動に移してみてはいかが?」


「そんなに言うならやってやらぁ!」


 グスタフは声を荒らげながら地面を蹴る。周りにいた仲間の暴走族達は、遠くから何かと野次を飛ばしている。


 グスタフが超速で動くのに反応し、レベッカは身構える。


 目の前に現れたグスタフは、短剣を完璧なまでに使いこなし、次々に攻撃していく。


 レベッカは、武器がない分反撃をする事ができず、ただ避けるだけとなってしまう。


「おら女ぁ! 避けるだけじゃつまらねぇぞぉ!」


「ふふっ……そんなに喋っていると舌を噛みますよ?」


 グスタフが短剣を上へ斬りあげた瞬間に、レベッカは左足でグスタフの顎を蹴りあげる。


 グスタフはギリギリそれに反応するが、レベッカの攻撃はグスタフの顎を少し掠める。


 グスタフは数歩後ろへ下がると、あごから垂れてくる血を荒く拭う。


「クソ……てめぇそれなりにレベルが高ぇな?」


「貴方以上ではない、とだけ言っておきます」


「そうか……なら俺も久々に本気でやるしかねぇようだなぁ……」


 すると、グスタフの目付きが鋭いものへと変わる。その瞬間、レベッカは全身に鳥肌が立った。


「ま、まずい! ボスが本気になったぞ! 皆離れろぉ!」


 グスタフの部下達は、顔色を変えてどこか去っていく。それを見ていたマーシュは、エレンを抱きかかえ距離を取る。


 レベッカとグスタフの周りには、いつの間にかマーシュとエレン以外、誰も居なくなってしまった。


「舎弟が消えたか……これで伸び伸びできるなぁ?」


「……」


 レベッカは、一瞬も気を抜くことができない程にグスタフを恐れていた。


『これはまずいわ……最近格上の人達と闘いすぎですわ……あの魔王幹部ほどではないですがこの人も相当に強い。……ジン! 早く助けに来てよね……』


 レベッカの額からは汗が垂れる。その汗が、地面へ落ちた瞬間、グスタフは先ほどよりも早いスピードでレベッカの元へ現れる。


 それになんとか反応し、先に蹴り攻撃を仕掛けるがそれは躱される。


「しまっ……!」


 片足が浮いた状態のレベッカに、グスタフは容赦なく短剣で斬りかかってくる。


 グスタフの短剣は、レベッカの顔めがけて出されるが、間一髪のところでレベッカは避ける。が、右頬にかすり傷がつき、血が垂れる。


「ほぉ? 今の体勢で避けるか……だが次は外さねぇ」


 レベッカは、バックステップをして距離を取ろうとするが、その瞬間にグスタフが突進を仕掛け、レベッカは後方へ吹っ飛ばされる。


「……クッ!」


 なんとか両手で突進を受けるが、あまりの強さに数十メートル飛ばされる。


 着地をして、すぐに構えをとると、既に目の前には不敵な笑みを浮かべたグスタフがいた。


「がはははは! そんなもんかおめぇは!?」


 荒々しい笑い声を上げながら、レベッカの全身を短剣で斬りつけていく。


 その攻撃は全て正確なもので、わざと急所を外した攻撃をする。まるで、痛めつけるのを楽しむかのように。


 レベッカは痛みに耐えながらも、グスタフを振り切るために回し蹴りをする。


 グスタフは攻撃をする事しか頭に無かったため、視野が狭くなっておりその攻撃を横っ腹に食らう。


 グスタフは数メートル飛ばされると、脇腹を抑えてしゃがみ込む。


 その隙にレベッカはマーシュの元へ行き、回復魔法をかけてもらう。


「レベッカ大丈夫!?」


「えぇなんとか……ですが正直なところ厳しいですわ……さすが、と言ったところですわ」


「そ、そこまで……」


「まぁ、ジンが来るまでの辛抱ですわ……もし私が負けたら……エレンさんを連れて逃げてね?」


「何をぉ! 一人だけ助けてもらおうなんて甘い考えはお見通しですよぉ!?」


「ふふっ……バレちゃいました?」


「当たり前です! それに、私は一緒に闘っているんです! 逃げろなんて言わないでよね!」


「そうね……マーシュ。まだまだ回復頼むわよ!」


「まかせぇい!」


 レベッカは、一度深呼吸をして自分の頬を二度叩くき「頑張るわ!」と一言呟いてから、グスタフの元へ向かう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ