もう守られるだけの僕じゃない 11
「レベッカさんとマーシュさん大丈夫かなぁ……」
ジンは、レベッカとマーシュと離れた後は、暴走族の近くを通ると、見つかる危険性があったため、少しだけ遠回りをしていた。
今のところ、誰にも見つからずに来れてはいるが、油断は大敵のため、曲がり角の警戒は忘れず、もしかしたら高い建物に見張りがいるかもしれないので、建物にも気を配っていた。
「今は誰もいないよなぁ……? バカ女神の力を借りるか……」
ジンは、ユニークスキルの"女神の加護"を発動させ、オーラを纏う。
「女神様ー? 美人で勤勉な女神様ー?」
『呼んだかしら!』
「はい呼びましたー。で、女神様の力で索敵とか気配を消すとかできないんですか?」
『ありますよ!』
「本当ですか!?」
『はい。ですがこのスキルは"女神の加護"発動時のみしか使えません。そこはわかってますね?』
「わかりました。この力は余り人に見られたくはないんですけどねぇ……」
『大丈夫よ! 私が、接近してくる人が見えたら教えるわ!』
「さすが! 信用してますよ! 女神様!」
『任せて!』
そして、ジンは"女神の加護"の力で気配を消しながら進んで行く。
『ジン、三人の気配を察知しました。多分武器を持っています』
「じゃあ敵かな……」
『いえ、悪意は感じられないので多分普通の冒険者です』
「それを先に言ってくださいよ! 危うく斬り掛かるところだったじゃないですか!」
『そ、そんなこと言ったって〜、ジンがそういう要求をしなかったから〜、とりあえず近寄ってきた人を教えてけばいいかなって思ったんだも』
「そ、それはぁ……僕が悪かったです。これからは、悪意を持った人でお願いします。あっ、それと大勢の気配が一つに纏まっているのを感知したら教えてください。ウルフの女性の皆様が捕まっていて、もしかしたらその人達かもしれないので」
『ウルフね! 大丈夫よ。種族もわかるから安心して進んで行きなさい!』
「頼りになるぅ〜!」
『いや〜、褒めても何も出ませんよ〜?』
ジンは気配を消しながら進むが、女神は褒められた事で舞い上がり索敵をする事を忘れる。
ジンが曲がり角を曲がると、ばったり暴走族の仲間の一人と出会ってしまう。
そして、二人は同んなじ反応をする。
「「あっ」」
出くわした相手が、大声で叫ぼうと息を吸い込むが、ジンはそれに気づき、超速で移動して首裏に手刀を入れる。
そして、敵を無力化する。
「おいバカ女神! なんで敵がいることを教えないんですか!?」
『だってジンが褒めるからァ!』
「関係な〜い!」
『あるもん!』
「ないです! もし次教えてくれなかったらもう二度と女神様と口をき来ませんからね!?」
『それは嫌! 次こそはしっかりやるわ!』
「頼みますよ本当……」
その後はサクサクと進み、暴走族の連中に見つかることなく裏取りができた。
家の物陰から、大勢いる暴走族を覗く。
「レベッカさんとマーシュさん大丈夫かなぁ……」
そう思いながら覗くと、レベッカはグスタフと向き合って、構えをとっていた。
「れ、レベッカさんがあの暴走族のトップと戦おうとしてる!? 強いんでしょ!? 勝てるのレベッカさん!? ……ん? マーシュさんの足元で寝てるのはエレンさんか? 助け出せたのか〜! 良かった〜!」
ジンは声を抑えてブツブツと呟く。
だが、ジンはすぐに意識を切り替える。
「今は見てる場合じゃない。レベッカさんとマーシュさんが時間を稼いでくれてるんだ。僕もやる事をやらなきゃ!」
ジンは、家の物陰から出ると、捕えられてるウルフ達を探す。
「女神様! ウルフの方たちは見つかりましたか!?」
『今探しているところです! この町は広いですが大勢の人を集めるとなると場所は限られてきます! なので持つ暫くお待ちください!』
「わかりました!」
そして、数分じっと待っていると、女神が『見つけました!』とジンへ場所を伝える。
その場所は、以前ここの町の人が避難していた城だった。
「そうか、あの城に篭っているのか……」
『気をつけてください、ジン。そこにはかなりの数の悪意を感じます』
「そうですか……それは僕も力を隠すとか言ってる場合ではありませんねぇ……」
『気をつけてください。なるべく大きな音を出さないように』
「それと、ウルフの人達を傷つけないように、ですね?」
『はい。それと、"神力"は本当の緊急時まで使わないでください! あれは一日一度しか使えません!』
「わかりました! じゃあいきます!」
そして、ジンは城をよじ登って最上階から入るという作戦で、ウルフ達を救出へ向かう。
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