それは突然の出来事で 13
少し更新が遅れました!
すいません!
「おっしゃ坊主、行くぞ!!」
「はいっ!」
その言葉と共に、ダネットは力強く地面を蹴り、メルノドへ突進をする。
メルノドが、ダネットの突進を両手で受け止め、後ろへ受け流す。
メルノドがダネットを飛ばし、後ろを向いた瞬間に、ジンは後頭部をぶん殴る。
「これでどうだ!?」
殴られたメルノドは、その勢いで、地面に頭を埋める。
「坊主! 今がチャンスだ! たたみかけろ!」
そして、ジンはメルノドを殴り続ける。
あまりのメルノドの硬さに、ジンは手から出血する。だが、これを逃すと次のチャンスはいつ来るか解らないと思い、痛みに耐えながらひたすら殴り続ける。
「坊主、変われ!!」
ダネットがそう言い、ジンはバックステップをしてメルノドから離れる。
「二刀剣技"龍星斬"」
『剣技……そんなものがあるのか……』
ジンは、ダネットの剣技を興味深く見ていると、目にも留まらぬ剣さばきでメルノドを斬りつけ、それはまるで流れ星が無数に流れていく様だった。
未だに地面から頭を出す様子がないメルノドは、身体中から血を吹き出し、地面には大量の血が流れる。
ダネットの攻撃が止まり、ダネットはジンの元へと近寄る。
「これくらいやりぁいいだろぉ! 引退しても、まだまだ行けるなぁ!」
だがその時ジンは、ダネットが少し荒く息をしていたのを見逃さなかった。
「坊主、トドメを刺すが、俺がやってもいいな?」
「はい、やっちゃってください」
ダネットは、こくりと頷くと、メルノドへ近寄り、首元に剣を軽く当てる。
「これで終わりだ」
そう呟き、剣を振り上げた時だった。
ダネットは剣で首を斬ろうと、剣を振りおろす。
だが、その斬撃は空を斬った。
「……は?」
ダネットは間の抜けた様な声を漏らし、何が起きたのか解らず、ボーッとしていた。
「やりましたか? 姿が消えたって事はアイテムとお金に……」
そうジンが喋りかけていると、突然目の前からダネットが姿を消す。
「……ダネットさん?」
周りを見てもダネットはおらず、ジンは困惑する。暫く辺りを見回していると、町の門の壁に穴が空いてる場所を見つける。
「あんなとこに穴なんて……ッ!?」
その穴から出てきたのは、なんとダネットだった。
「痛てて……何が起きたんだ?」
ダネットは、ゆっくり穴から出ると、ジンがこちらを向いて何か叫んでいるのを確認する。
「何手を振ってるんだ? ……ん? 後ろ……?」
そう叫んでる様に見えたダネットは、ゆっくり後ろを振り向く。
振り向くと、目の前に奇妙な笑みを浮かべているメルノドが立っていた。
「こ……ろ……すぅぅぅう!」
奇声をあげながら、メルノドはダネットを殴りつける。それにダネットは、反応することが出来ず、顔面に殴打を喰らう。
「ダネットさんが顔面を殴られ…ってこっちに飛んでくる!?」
ジン目掛けて超速で飛んでくるダネットを、ジンは何とか受け止める。
「ダネットさん! ……気絶してる……!?」
今の一発でダネットが気絶した事に、ジンは恐怖する。
「こんなの……勝てるのかよ……女神様が魔王幹部を強いって言うのが解った……」
ジンは、一度深呼吸した後「ダネットさん、それとレベッカさんも。僕がやり返してやります。だから、今は休んでてください」と言ってダネットを、マーシュの元へ運び「マーシュさん、ダネットさんも任せましたよ!」と言い、ダネットを置いたらメルノドの元へ戻る。
「僕が……僕がやってやりますよ……」
口にはしたものの、足は震え、腰は引け、手には力が入らない。
メルノドは不気味な笑みを浮かべ、テクテクと歩いてくる。
『怖い……こりゃまた死ぬかもなぁ……次死んだら生き返れるのかなぁ? あぁ……怖いなぁ……』
そう怖気付いている時だった。
『おっしゃぁぁあ! ついにこの時が来ましたねぇ!!! このレベルまでよく来ましたよジン!』
何やらジンの頭の中に直接喋りかけてくる。その聞き覚えのある声に、ジンはもしや……と思う。
『そうです! そのもしかしてです! 私、頭に直接喋りかけてます!』
「いやいやいやいや!? どうやって!? それになんかキャラ壊れてません!? もっとこう……穏やかそうな……」
『いやいやいやいや! こういう勝てない相手と闘う時ってワクワクしませんか!? しない方がおかしいです!』
「はぁぁあ!? 勝てない相手と闘う時ワクワクなんかしませんよ!?」
『あぁー。わかってない。全くわかってない。折角このレベルまで達し、私の力を上手く使えこなせるかと思ったのに。もういいですよ。力貸しません』
「ち、力……? それはどういう……」
『あー何も聞こえません。やる気のない人に貸す力なんてありません』
うっざ。後でしばきてぇ……
「わかりました! やりますよ! 僕がアイツを殺してやりますよ! って言うか、やる気が無かったわけじゃないもん。ただちょっとビビってただけだもん」
『言い訳はダメですぅー! ビビるって言うかチビってたくせに』
「はぁあ!? そ、そんなことなぁ」
そんなことない、と言おうとすると横からメルノド が殴りかかって来て、ジンはぶっ飛ばされる。
「痛ったぁ!」
『ばーかばーか! 女神に悪口を言ったバツです』
本当に後でしばく。