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冒険者は最強職ですよ?  作者: 夏夜弘
第一章 成長編
33/153

なんか勇者に嫌われたんですけど? 12

「言うことはできないんです」


「なぜだ!?そんな力があるのになぜ隠そうとする!?」


「では、こうしませんか?僕が勝ったらこの事は話さない。セルノドさんが勝ったら話すという事でどうでしょう?」


セルノドは考える。このまま行けば勝てるのか?体力が無い今勝ち目があるのか?ただ勝つ事だけを考える。そして答えをだす。


「わかった。そうしよう、ここからもう容赦はしない」


「はい、ではやりましょう」


ジンからは先程よりも力を感じるオーラを纏い、セルノドは身体に魔法をかけて身体能力をアップさせる。


セルノドは、もう攻撃の隙を与えてはならない。と突進を仕掛けてジンの懐に入る。


だがジンはそれに余裕で反応し攻撃をガードする。


ガードされても尚セルノドは攻撃をする手を休ませること無く攻撃を続ける。


ジンもその手数の多い攻撃に少し苦戦する。ジンも何度か反撃を試みるがセルノドがそうはさせない。


両者の掛け離れた実力勝負に観客席で見ている皆はただ沈黙する。


「ジンは...あんなに強くなるのに私は...」


誰にも聞こえない程の声でそう呟いた。


ランはジンの闘っている姿を見て、自分とは掛け離れた存在だと言うことを思ってしまった。


ランは拳に力を入れ、ただ自分の弱さを後悔するのだった。


「ジンちゃん...」


それはダイコも同じだった。ダイコは弱かった頃のジンを知っている。この子は私より強くなることは無い。そう思っていた。だがこの決闘を見てその考えが変わる。


ダイコも同じように、甘く見ていた自分の弱さにただ後悔をするのであった。


未だに続く攻防は激しさを増すばかりであった。


先程までの攻撃速度よりもさらに速度を増していくセルノドとそれに追いつく、いや追い越すかのように強くなるジン。


レベッカはその決闘をじっくりと観察し、レベッカだけがある事に気づく。


2人とも、笑っている事に。


セルノドは魔法を常に維持しながら攻撃を続けていたため体力の消耗が激しかった。


セルノドの攻撃にジンが反撃をし、それをセルノドが反応してガードする。


「...ック」


力強いジンの攻撃にセルノドは大勢を崩す。

それを見逃さなかったジンは肋に蹴りをいれセルノドを吹っ飛ばす。


「グハッ...!」


セルノドは血反吐をぶちまける。


セルノドが肋を抑えて倒れ込んでいるとジンはそこへ一瞬で近寄り木刀を首元に向ける。


「これで僕の勝ちです」


その瞬間を見ていたもの誰も何も言わなかった。声がでなかった。その誰も予想もしなかった結果に。


息をするのも忘れるほどの決闘でセルノドの執事は暫くその光景を眺める。


そしてようやく決着がついたことに気づき「ハッ!」と一言発してから「勝者、ジン!」と叫ぶ。


ジンはオーラを解き「ふぅ...いやぁセルノドさん強すぎですよ〜」と言いながらセルノドへ手を差し伸べる。


セルノドも「いやいや、君の方が強い。完敗だよ、君のことは聞かないでおこう」といい差し伸べられた手を取り立ち上がる。


そうしてその決闘が終わり皆一言も発する事無く夢でも見ていたかのような顔で闘技場を出ていく。


ジン達もジンの勝利に喜ぶ事無く闘技場を出ていった。


ジンは話しずらい雰囲気の中、どうすればいいものかと悩む。だがそうこうしているうちに宿へ着いてしまいその雰囲気のまま部屋へ入っていった。


「や、やべぇなぁ...俺があんな力使っちゃったから皆驚いてるよなぁ...あぁ...」


と思いながらも決闘で疲れていたため、今は寝よう。という事で眠りについた。


そのまま朝まで起きること無く寝てしまったジンは、あれ?もう朝か...皆何してるんだろ?と思い部屋を尋ねる。


初めにランの部屋へ向かいノックをするが返事がない。まだ寝ているのだろうか?


次にダイコ。同じく返事がない。


レベッカ、マーシュは起きており、「昨日は...その...どう思いました?」と聞くと思わぬ返事が返ってくる。


「ジンはものすごく成長したわ!私見てて惚れてしまいそうでしたわ!」「ジンはお金集めの時とかほかの時も頑張っていたからね〜!少し驚きはしたけど私もかっこいいと思いましたよぉ〜!」


ジンはその返事に、「そ、そんな惚れるだなんて、かっこいいだなんて〜、照れますよ〜!」と顔を赤くしながら答える。


「それより、ランとダイコさんはまだ眠ってるんですかね?ネインもまだ寝ている様なんですが」


「そうねぇ、まだ寝てるのかもしれないわ、もう少ししたら起きてくるわよ」


「そうですね!それより朝食とりました?僕昨日の夜なにも食べずに寝てしまって腹ぺこなんですよ〜」


「私はまだよ」


「私もですぅ」


「じゃあ今から朝食食べに行きませんか?」


その問にマーシュ、レベッカは頷き出かけた。


その後もジン達はダイコとランとネインを待ったのだが、部屋から出てくることは無かった。

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