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冒険者は最強職ですよ?  作者: 夏夜弘
最終章 魔王城編
152/153

冒険者は最強職ですよ? 6

「さぁ、起き上がってこいよハデス。邪神とやらの威厳を見してみろよ?」


 ジンから遥か離れた場所で、ハデスは立ち上がる。それから、一瞬でジンの元へ戻る。


『貴様のその力……まさか女神の力だな?』


「ほぉ〜、さすが神って感じか。そこに気づくとは」


『チッ……めんどくさい奴が相手か……』


「エンドより弱いぞ、お前? それで本当に邪神なの?」


『何を言うか。我は力を与えた帳本人だぞ? こやつより強いに決まってるだろ』


「なら、どんどん攻撃してこいよ」


 そう言われると、額に皺を寄せ、まっすぐにジンに突進する。


 魔法、殴打、ありとあらゆる攻撃を一瞬でしてくる。さすがわ神といったところだろう。


 攻撃が掠りはするが、直撃とまではいかず、全てを間一髪で避けきっている。


『馬鹿な……我の攻撃が当たらないだと?』


「なんだろうなぁ……お前とやってるのはつまらない。エンドと戦ってた方がやりがいがあったぞ?」


 ジンは残像を作り、ハデスの後ろへ回り込む。それに気づけなかったハデスは、ジンの渾身の一撃を背中に浴びる。


『なっ……!?』


 再び飛んでいくハデス。ジンはとても不満そうな顔でそれを見届ける。


「お前には覇気がない。邪神だから自分が強いと思い込んだ落ちこぼれ野郎だよ」


 ハデスが地面を這いずり、ジンの眼下へと来る。


『何を……たかが一発食らわせただけで……』


「俺は、その一発に女神の力を込めてぶつけた。だから、お前には相当なダメージだろ?」


『くっ……』


「エンドの方が、こう言っちゃ変だが、貪欲に自分のためだけに動き、心の底から人間を憎み、それを戦う力の動力源にしていた。なのに、お前には全くそれがない。体を貰ったことをいい事に、変なことを企んだだろ?」


 その言葉に、ハデスは一瞬ビクリと反応する。


「エンドは力を欲する為にお前をその身に転生さてた。だがそれは間違った方向へ行ってしまった。まさかエンドもそうなるとは思わなかっただろ」


『だ、だからなんだ?』


「お前の企みは多分こうだ。長い間こいつを鍛え上げさせ、丁度いいところで体を則り、世界を滅ぼそうと。それは俺がやらせはしない。お前はさっさとその体から離れて消え失せろ」


 ジンは神聖魔法を発動する。邪神をこの世から消すために。


『や、やめろ! わ、わかった、この身からは退散する! だ、だからその魔法は……!!』


「失せろ。邪神ハデス」


『やめろぉぉぉお!!』


 神聖魔法は発動され、ハデスは身を焦がされるかのような苦痛に襲われる。そして、その断末魔が消えるのと共に、この世からハデスは消え去る。


「おい、起きてんだろエンド。お前は利用された。つくづくついてないなお前」


『はは……やはり、これも何かのバツなのかも……しれん。……貴様の勝ちだ、冒険者』


「勝ち負けなんてどうでもいい。お前も、その力を受け取らなければ、いい生活を送れたはずなのに」


『多分……貴様言った通り、天国でデーレが怒ってるだろうな……』


「……お前は、してはいけないことをした。触れてはならない物に触れてしまった。だから、これから先もそれがあるかもしれない。それは俺は見す見す見逃すことはできない」


『…………』


「じゃあな」


『ああ』


 ジンは、エンドにも神聖魔法をかける。すると、徐々にその体は透明化していく。


『貴様も、人間には気をつけろ……』


 そして、エンドはこの世から消える。


「それが、お前の運命だ。最後になんと言おうと、お前のやった事は消えない。だから、地獄でこの世界を見ていろよ」


 魔王が消えると、魔界は存在する力がなくなり、存在を保てなくなる。そのため、地震が起き、魔王城は崩れ落ちていく。


「早くここから逃げよう。牢屋は俺が壊すから走って!」


 その後、全員は無事元の世界へと帰還する。


 邪神との戦い。すんなり終わってしまったと皆は思っている。それはジンもだ。ただ、それは違う。


 その時、ジンはもう既にハデスを大きく上回るまでの力を手に入れていたのだ。エンドとの戦いによって。それはエンドも同じで、ハデスを超えるだけの力はあったため、転生させたとしても力は何も変わらなかったのだ。


 この戦いは、後世の歴史に残り、それは一生語られることとなるだろう。



 ――そして、その戦いから半年後……。

次回最終回!


ここで補足説明ですが、なぜ邪神を転生させたのに強ならなかったのかと言うと、魔王が発動させた邪神転生は、その身に邪神を転生させるだけなのものです。これはいわゆるハデスが仕掛けた罠の様な魔法なのです。そのため、何も強くはならなかったのです。



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