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冒険者は最強職ですよ?  作者: 夏夜弘
最終章 魔王城編
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決戦の始まり 6

 壁に寄りかかるゼール。それをただ、驚愕した表情で見るハルッド。その間に、ゼールを睨み続けるジン。そして、口からでる血を拭き取りながら、立ち上がるゼールは、首を二度鳴らす。


『くそ……何も見えなかった……』


「早く立てよ? まだ一発しか殴ってねぇぞ? 早く立って闘えよ。てめぇもだハルッド」


 ジンは、"龍人化"のスキルが混ざっているため、性格が激変している中、更に怒りもある為、ただ今機嫌は最悪だ。


『貴様など、私一人で……』


『いや、ここは二人で行くぞ。魔王様の元へは行かせられない。何としてもここで確実に殺すのだ』


『……チッ、それもそうだな。ハルッド、殺るぞ』


『端からそのつもりだ』


 ジンは二人に挟まれ、逃げ道は前か後ろ。だが、ジンにその選択は有り得なかった。


 ハルッド、ゼールの二人は、同時にジンへと飛び出し、魔法を発動させる。


 ゼールの魔法は、両手に溜めた魔力を剣の形に、ハルッド、魔力を球状にし、それをハルッドの身体の周りに無数に作り出す。


 先に攻撃をしたのはハルッド。無数に作り出した魔力弾を、ジンに向け放つ。


 ジンは最小限の動きで躱しつつ、ゼールにも気を配る。


 ゼールは、ハルッドが攻撃をしている中、なんとか死角から攻撃しようと、魔力弾に混じりながら、ジンの背中の位置を取る。

 

 だが、ジンには無意味。僅かな殺気をも逃さずキャッチし、ジンは背中から襲ってくるゼールを躱す。躱した直後、ジンはゼールの腹を蹴り、ハルッドの方向へと飛ばす。


 轟速で飛んでくるゼールを避けられないハルッドは、魔法を中断し、ゼールを両手で受け止める。


 すぐにゼールを立たせ、声を掛けようとした直後、目の前にジンが移動する。


 それに、完全に反応が遅れた二人は、ジンの一瞬にして無数の殴打を、全身に叩きつけられる。


 抵抗はできず、また、声も出せない。二人は、圧倒的なまでの力の前に、ただ、攻撃を受け続けることしか出来なかった。


 攻撃が止み、その場に倒れるハルッドとゼール。だが、こんな事では終わらない。


「お前ら、本当にそれだけか? 弱すぎんだろ。隠さず出せよ?」


 それを言われ、二人は、ゆっくりと立ち上がり、二人とも高らかに笑い出す。


「何がおかしい?」


『まぁ、ネタバレをすると時間稼ぎだ。貴様、その力使うのに制限時間があるんだろ? 実はな、知ってるんだよ。ムルドの闘いの時、時間ギリギリで勝っていたな? 見ていたから分かるんだよ!!』


「…………」


『貴様は端からハメられていたんだよ。その力を使って今五分ほどか? もう限界だろ?』


「…………お前ら、やっぱ馬鹿だわ」


『なに?』


「今の俺、この力をずっと維持し続けるくらいの力は持ってんぞ? それに、感じる。俺はまだ、強くなる」


『ハッタリなど……』


「ハッタリなんかじゃねぇよ? 確かに前までは制限時間があった。だが、その時の状態で、強さで、ここに乗り込んで来るとでも思ったのか?」


 その発言は、ゼールとハルッドを黙らせる。


「そんなヤワじゃねぇんだよ。俺らは皆、強くなってんだよ。半端な気持ちでここに来てねぇんだよ。作戦立てて勝った気分か?」


 暫く続く沈黙。そして、口を開くのはゼール。


『……貴様ら人間にそこまで言われるとは……腹が立って仕方がない。おいハルッド、あれをやるぞ』


『ええ。私も頭にきた。殺しにかかります』


 二人の傷はすっかり消え、二人ピッタリ横に並ぶ。そして、魔力を引っ込め、二人揃って魔法を唱える。


『『融合魔法発動』』


 その瞬間、ゼールとハルッドのオーラが、二人を包み込み、黒い球体となる。悍ましいぐらいのオーラに、ジンは眉を少し動かす。


 段々と縮んで行き、最後には、人一人が入れるぐらいの大きさになる。


「……この力はやばいぞ」


 ジンがそう言った瞬間、黒い球体の中から、人が現れる。見た目は完全に違うもので、どこからどう見ても人間にしか見えなかった。


 だが、違う点は幾つかある。瞳は黒く、鋭い。角が二つあり、背中には黒い翼がある。


 黒い球体は、形を崩し、ハルッドと、ゼールが融合した身体へとまとわりつく。


 そして、その融合体は、手を握ったり緩めたりし、体の感触を確かめた後、ジンを睨みつけ、力を込める。


 ジンは咄嗟に反応し、一歩後ろへと下がる。目の前の融合体に、ただならぬ殺気を感じたからだ。


『これが本当の姿とでも言うべきか? 我はハルッドとゼールの融合した者。ゼドだ』


「ゼド……」


 名前、ちょっと安直すぎねぇか? と思ったのは秘密だ。

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