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冒険者は最強職ですよ?  作者: 夏夜弘
最終章 魔王城編
135/153

決戦の始まり 3

「これで全員、各々の敵の元へと行ったかな?」


『余裕ぶるのもいいですけど、そんなに隙だらけだと私に呆気なく殺されてしまいますよ?』


「そう言って殺しにかかってこないだろ?」


『フッ……まぁいいです。時間も掛けたくないので、ちゃっちゃと始めましょう。行きますよ、女神』


『…………』


 やはり女神様か……でも返事も何もしない? まだ意識があって、なんとか抵抗しているのか? なら、まず優先するべきなのは……。


「女神様の救出!」


 ジンは地面を蹴り、ハルッドの目の前まで一瞬で移動し、剣で、鋭く斬りにかかる。が、ハルッドは難なく避け、カウンターを狙って、右手に持つ杖を、顔に向けて振るう。ジンは、その攻撃を、もう片方の剣でガードし、一歩下がる。


 下がると同時に、横から乗っ取られた女神が、物凄い勢いで、斬りかかってくる。


 女神様にはあまり手を出したくない……!


 ジンはギリギリで躱し、少し加減をして、ハルッドの方へと蹴り飛ばす。

 そして、蹴りをした瞬間、ハルッドはそこにはおらず、ジンは見失う。


 どこだ!? ……後ろ!


 気づいたがそれは遅い。剣で背中を守ろうとするが、間に合わず魔法を背中に食らう。


「クッ……」


 凄い勢いで飛んで行くが、壁に当たる寸前、体勢を立て直し、壁を足場にして跳ね返る。


『なっ!?』


 そのあまりにも予測不可能の行動に、ハルッドはワンテンポ反応が遅れる。


 ジンの斬撃は、ハルッドの胸から腹にかけて斬り、血が吹き出す。


『うわぁぁあ!!』


 ジンは、着地し、すぐに振り向き、両手剣を構える。その出血だと、すぐに死ぬだろう。そうジンは思った。だが……。


『なーんちゃって?』


「は?」


 痛がった振りをしていたハルッドは、ジンの方へ振り返ると、傷口をわざと見せびらかす。


「おいおい嘘だろ?」


『現実ですよぉ? まぁ最も、少し魔王様から力を頂いているのですが?』


 その傷口は、キレイさっぱり塞がっていたのだ。服は確かに破れている。だが、傷口は一切なく、ハルッドはピンピンしている。


「…………」


『ビックリして何も言えませんか? そうでしょうそうでしょう。何せ、傷口が塞がってしまうのですから? 戦意喪失するのもわかりますよ?』


 ジンが立ち尽くしている間に、ハルッドは女神(魔族の女性の姿)に指示を出し、ジンへと攻撃を仕掛ける。


『呆気なかったですね。もう少し楽しめると思ったのですが』


 そう言って、ハルッドは持っていた杖を両手で横に持ち、左右逆の方へと引っ張ると、鋭く尖った刃が現れる。


 そう、仕込み刀だ。その刀を高く振りかざし、縦一戦に切り下ろす。ジンは綺麗に二つに斬られ、死んだかのように見えた。


『抵抗もしない……いや、感触が無かった。っと言うことは……』


「後ろだ」


 ジンは突然、ハルッドの後ろへ現れ、ハルッドを真っ二つ両断する。


「お前が斬ったのは僕の残像。僕も甘く見られたものだな……」


 ぼとりと、ハルッドの上半身が落ち、下半身も力なく崩れ落ちる。が、すぐに再生を始めようと、下半身が勝手に動き出す。


 うわ気持ち悪ぅ! ゴキブリより生命力あんじゃねぇの!?


 真っ二つにしても死なないとわかった以上、今しかチャンスはないと思い、女神救出へと向かう。


 女神(魔族の女性の姿)を探すと、何故かぽつんと立ち尽くしており、一歩たりとも動こうとしていなかった。


 今がチャーンス! もうここしかない!


 ジンは即座に武器をしまい、女神(魔族の女性の姿)の元まで行き、言われた通りにする。


 カーッ! こんな戦場でこんなことしてるなんて恥ずかしいぃぃぃ!!!


 ジンは勢い任せにキスをし、「女神様早く戻ってきて!」と内心すごく思いながら続ける。


 すると、魔族の女性の目が白目を向き、全身の力が抜け落ちる。それと同時に、口の中から光の玉の様なものが突然出てきて、ジンは後に退く。


「め、女神様なの!?」


 その光の玉は、ジンの口の中へと勢い良く入って行く。


 それから数秒後、身体の奥底から力が湧き出し、赤いオーラが更に大きさを増す。


『戻ってきたわ! べ、べべ、別に、さ、寂しくなんか無かったんだからね? こ、怖くなんか無かったんだからね!?』


「女神様だぁぁぁぁあ!!!」


『ただいま、愛しきジン!』


「おかえりなさい! 我らが女神様!」

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