プロローグ
『あなたの手で未来のゲームを‼』
胡散臭いキャッチコピーがバッケージに書いてある。
中古ゲーム屋で物色していたら、1つのゲームが俺の目にとまった。
「未来ゲームツクールねぇ」
俺は、ゲームを手にとり、表、裏面と見てみる。
「どうみても10年前のヤツだろ、ハードはP○2だし」
やや色褪せたキャラクターが歴史を物語っている。
何年か前に流行ったRPGを素人が作れるものに酷似しているが、いかんせんバッタモノくさい。
「まぁ時間潰しには最適かもな」
なにせ未来のゲームを作れるというのだ。
うまくいけば、一財産築けるやもしれん。
「しかも980円で」
馬鹿馬鹿しいと思ったが、ものは試しと俺はそのままレジへ向かった。
自宅に戻った俺は早速ゲームを起動してみる。
俺は説明書を困ってから読むタイプなのだ。
ゲーム中盤に初めて知る機能もあったりするが、時間をもて余している俺には関係なかった。
起動画面の注意事項にZ指定が出る。
「Z指定なのか、まぁ制限がない自由なものが作れるんだろう」
深くは考えずにいると、ユーザー名入力画面が出る。
「いつものように名前だけっと」
義和。俺の名前だ。
本名を宮内 義和という。
ありふれた名字と名前だがそれなりに気に入っていた。
入力を手早くすますと、ピエロのような顔が浮かび上がってきた。
白い顔で大きな紅い唇をしたピエロはおどけた調子で語りかけてくる。
『ある激情に駆られたことはないかな?』
『例えば…、すべてを投げ出してでも』
『誰かを殺したい思ったことは?』
『そして、それを君が作れるとしたら、どうかな?』
「未来ゲームとやらのわりに随分物騒だな」
俺は気味の悪さを覚えるも、そのままメッセージを飛ばしていく。
すると、タイトルがピエロの音声と共に画面に浮き上がる。
『デスゲームツクールへようこそ』
俺は初めてこのゲームの本当のタイトルを知った。