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旅人の逃亡

「私…何か悪いこと言いました?」


 バーを出ていくジョウの後ろ姿を見送りながら、書記官は困った声で聞いてくる。


「前線の人間にしか、分からないこともあるのさ」


 ひょい、と。ケイも席から降りた。


「あ、中佐…准将がお呼びです」


 逃げる気配でも感じたのか、すぐさま釘をさされた。


 頭をよぎるのは、二人。


「どっちの准将?」


 いやーな予感がする。最初から、どっちか言わない辺りがいやなのだ。彼女は、にっこり笑って、両手の指で頭にツノを作った。


「あははははー…サイアク。オレ、休暇中なんだよ」


 悪い方の答えに、とりあえずあらがってみる。


 にっこり。


 返事は、笑顔。


「それに、もう酒も入ってるし、真夜中だろ?」


 もう一声。


 にーーっこり。


 揺るがない笑み。


 だめだこりゃ。


「分かった分かった…行くよ」


 しょうがなく、観念した――フリをした。


「扉の前まで、ご一緒します」


 なのに。


 あっけなく、逃げ道をふさがれる。彼の性質について、細かい指示が出されているようだ。


 参ったな。


 ケイは、最後の手段に出た。


「君は帰ってこう准将に言うんだ…ダメ中佐は、泥酔していて、自分で歩ける状態じゃありませんでした、と」


 そう言うなり。


 ケイは、身を翻した。実力行使でまで、止められることはないと思ったのだ。


 そして、その通りだった。


 女性を派遣してきたところは、彼の性格を読んでいるすばらしい作戦だ。


 しかし、残念ながら、タイミングが悪かった。


 彼は既に──女王に会ってしまったのだから。



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