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採集依頼

最後の方でやっと紹介文に書いてあるようにすることができました。強引なのが悔しい。もっと前から伏線張っとくんだった(泣)

 起きると外は寝る前よりも明るくなっていてどう考えても夕食には間に合わない時間に起きてしまったらしい。おそらく朝食の時間も過ぎてしまっているだろう。


「しまった…。夕食までのはずがつい寝過ごしたままになった。ちくしょう、宿の策略にまんまとはまったわけだ。」


 でも一晩ぐっすり寝たせいか、強化した自分の体の性能のおかげか肉体的にも精神的にも疲労はまったくない。今日から普通に生活を始められるな。


「とはいっても普通の生活がどんなんだって話だよ。とりあえず今日は早速ギルドで依頼を受けてこよう。買い物するにも金がないとな。」


 実際は自分でいくらでもつくれるんだけどな。飯食うついでに偽金使ってみるか。もちろん外の露店とかで。

 装備を整え、下に降りて行く。カウンターからおっちゃんに声をかけられた。


「遅かったな、もう朝飯の時間は終わっちまったぜ。今から食うか?」


 おっちゃん、手の内はばれてるんだ。その手には乗らないぜ。俺は外で外食だ!下手したら宿で食うよりも金かかるかもだけどな…。


「いや、今日は外で食うよ。にしても今起きるのって遅いのか?」


「そこらの町人とかからするとそうでもないけどな、坊主みたいな冒険者だってんなら少し起きるのが遅いぞ。皆早く起きてギルドに行って依頼を受けてくるんだ。いい仕事が無くなったりとかザラだからな。」


「そうだったのか、いや、ありがとう。昨日冒険者ってやつになったばかりでね、右も左もわかんねえのよ。」


「そのわりには結構良さげな装備してるじゃないか。剣なんか七本も持ってるし鎧も軽鎧のようだが素人目から見ても丈夫そうだな。どっかの貴族だったりするのか?」


「まさか。貴族がこんなところで冒険者なんかやってるわけないだろ。やつら人見下して遊ぶしか考えられないだろうしな。」


「全部が全部ってわけじゃねえがほとんどはそうだな、違いねえ。この街のバカ貴族の中にもそういうやつはいるな。」


「だろう?この装備は知り合いの腕のいいやつにつてがあって作ってもらったやつなんだよ。自分でもけっこう気に入ってるんだぜ。」


 まあその作ったつてのあるやつが俺なんだが、気に入ってるのは確かだな。


「それにしてもここにもそういう貴族ってやつはいるんだな。結構重要なところらしいからもっとしっかりしたやつが治めてるかと思ってた。」


「直接治めている領主はちゃんとしてるんだがな、その下にいる何人かの貴族がそうなんだよ。領主も相手が貴族だから下手に手出しはできねえし貴族も貴族でそこまで派手にやってるやつも例外の一人を除いていないから余計にそうらしい。」


 領主はきちんとしてるのか、それが分かって結構安心だな。バカ貴族が治めてて重税に毎日苦しむ生活を送る羽目にならなくて助かった。


「その例外ってのは?」


「王族の血筋のものってやつさ。ここで国を治めることについて学ぶってことになっててここにいるが、実際はそんなことそっちのけで遊びほうけてるのさ。たまに奴隷を買いに来たり視察という名目で商店通りを回って好き勝手。皆ほとほと困ってんだ。」


「権力ってやつをかさに着たやつの見本だな。いっそ事故でそこらへんに投棄(・・)してやりてえな。」


「皆心じゃそう思ってるさ。今の発言は気をつけろよ。もし衛兵に聞かれでもしたらそのままそのバカ貴族に好き勝手されるぞ。」


 俺がその気になれば貴族だろうと王族だろうと簡単にひねれるんだがな。積極的に関わろうって気もないし俺に危害が来るまでは放っておく方針で。相手からからんできたらそれこそバラバラにして棄ててやるが。


「おお怖い怖い。忠告ありがと、気を付けるよ。んじゃ行ってきますよっと。」


 宿を出る。そのままギルドに向かってもいいがその前に何か食っておこう。

 探してみるとさっき宿のおっちゃんが言っていた商店通りだろうか、たくさんの店が並んだ通りを見つた。その通りを歩いていると食べ物、武器、防具というように大体同じような種類の物を売っているところが固まっている。食べ物系は俺が入ったところから続いているらしく何があるかと思いながらしばらく歩いていく。

 そろそろ食べ物系以外の店が見えるようになってきて戻ろうかと思ったらその隅の方にある店に少し目を引かれた。火がたかれているのは周りと変わらないしその上に鉄板もあるがその鉄板の上にあるものに目を引かれた。


「あの独特のゲロみたいな見た目ってもしかしてもんじゃか?」


 そう、鉄板の上では今も俺と年齢がそう変わらないであろう一人の少年がもんじゃ焼きらしきものを相手にへらをかちゃかちゃやっている。隣の店をやっているやつや通行人はその少年を冷ややかな目で見つめている。確かにあの状態のもんじゃって明らかに見た目がゲロだからな。知らないやつが見たらただ気持ち悪いだけかもしれない。


「よう、何作ってんだ?」


 それでも俺は元を知っているから構わずに話しかけるけどな。


「あ!い、いらっしゃい!えっと、今は俺…あ、いや、僕の作ったオリジナル料理を作ってるところだ…です。」


「いいよいいよ、どうせ同い年ぐらいだろ?いくら客とはいっても俺はまだ何も買ってないんだから商売用の口調やめていいぜ。」


「で、でも…」


「いいからやめろって。じゃないと今すぐどっか行っちまうぜ。」


「わ、分かった。やめる、やめるから。」


「そうそう、それでいい。で、オリジナル料理ってなんだ?」


「ああ、これ、俺はモモル焼きって呼んでんだけど昔はずみで作ってかなりうまかったからここで売ってるんだが…この通りだ。」


「ま、確かにこりゃあ見た目はゲロにしか見えないからな、無理もない。」


「あんたは大丈夫なんだな。」


「俺の場合はこれと似たような料理を知ってるからな。もちろんまったく同じ奴じゃないし盗作だって言われないから安心しろ。でだ、一ついくらだ?」


「買ってくれるのか!」


「言ったろ、似たような奴知ってるって。だから見た目はこんなんでも味が肝心ってわかってんだよ。」


「わかった!一つ銅貨一枚だ!」


 最初、かねてからの目的であった偽金を使おうと思ったが、こいつのこの期待したキラキラした目を見てやめた。使えないならまだしも知らずにこいつが使って偽金とばれて牢屋行きなんてのは酷すぎる。


「ほら、金だ。」


「ありがとよ。今焼くからちょっと待っててくれ。」


 金を受け取るや否や新しく材料を出して一から作るもんじゃ少年君。街の入口とギルドときてここでも待つのか。基本俺は待つのって嫌いなんだけどな。

 しかし作る工程を見てみるとますますもんじゃ焼きだ。ソースなしでも素材がうまければいけるんだろうがソースってあるのかね?


「待たせたな。モモル焼きだ。」


 木の板の上にもんじゃを置き、フォークを添えて渡してくる。驚いたことにちゃんとソースらしきものもかかっている。恐る恐る食べてみるとこれまたやっぱりもんじゃだった。まさかこっちに来てもんじゃが食べられるとはな。ソースもしっかりと味がついていてうまい。


「こりゃうまいな。正直ここまでとは思わなかった。」


「そうだろう。見た目こそあれだが味は本当にうまいだろ。」


「ああ、いいもの食わせてもらった。これからもひいきにさせてもらうよ。俺はシキだ。」


「頼むぜ。俺はコイルだ。」


 こうして俺は今度こそギルドに向かった。もんじゃ焼きがこっちでも食べられるとは思わなかった。いい発見をしたと思う。これだから露店っていっても馬鹿に出来ないんだよな。

 ギルドに到着してさっそく依頼掲示板を見てみる。さすがにEやFランクの依頼だとろくなやつが無い。せいぜいゴブリン討伐がいいとこだ。


「こんなもんだよな、やっぱり。じゃあゴブリン討伐…待てよ、やっぱりここは採集依頼かな。」

 

 俺が選んだのはこの依頼だ。


ランク F

依頼料 銅貨5枚

依頼内容 七日草を20束納品する

備考 20以上持ってくると余分も一束毎に銅貨1枚で買い取る


「チュートリアルとしては充分だろ。この辺りを探索するにもよさそうだし。」


 さっそく依頼カウンターのあるところに依頼書を持っていく。また女だ、やっぱり受付なんてものは男はだめなのかね。と思ったが普通に男もいた。そっちはどうでもいいや。


「この依頼を受けたいんだけど。」


「七日草の採集依頼ですね、分かりました。七日草の見た目はわかりますか?」


「いや、よくわからないんだ。図鑑みたいなものはあるかな?」


「ええ。奥の本棚に各種図鑑がありますからそこで調べてもらえればわかります。近くの職員に声をかけてもらえれば代読もいたしますのでお気軽にどうぞ。」


「代読はいらないな。ありがとう。」


「ではお気をつけていってらっしゃい。」


 まずは植物図鑑で七日草を確認する。どうやらどこにでも生えていて各種の薬やポーションの代表的な材料でありいわゆる薬草の類だそうだ。根っこから引き抜いても七日するとまた生えてくるから七日草というらしい。


「見た目はまんまアロエだな見つけるのは簡単そうだ。それに俺には探査があるし。」


 そう、俺が開発した探査魔法なら探したいものを設定するだけでそれが表示されるからこの手の作業は大得意だ。しかも多くとればとるだけ金になるからここでがっつりと稼がせてもらおう。どうせ七日で生えてくるんだし。


 七日草を確認して門を出た。出た門は俺が街に入る時に通った門で、兵士のおっちゃんとあってぶっきらぼうながらも激励をくれた。ツンデレだな。近くにあるけっこう大きな森の中に入って早速依頼を実行し始める。


「さてとここでいいだろう。では始めるとするか。探査!」


 俺の脳裏に出るわ出るわ七日草の反応を示すマーカーの大群。マップが埋め尽くされた気分だ。実際地図と照らし合わせてみたら地図がマーカーだけで埋まるんじゃないだろうか。


「多くありすぎだろ!てかこれだったら探査いらねーじゃん!」


 そう、正直ここまで露骨に反応が出ると探査はいらない。だって目でそこら辺を見て片っ端からとってった方が楽だ。

 そして俺は手当たり次第に七日草を抜きまくる。無心で抜く。何も考えずに抜く。ひたすらに抜く。気分はいたずらの罰として草むしりを命じられた某猫型ロボットが子守をする小学生の気分だ。


「やべえ正直これだと萎える…。しかも片っ端から抜いてったけど持って帰るための袋なんてないじゃん。どうしよ…。」


 ここでこの抜き切った七日草を放置なんてもってのほかだ。需要があるってことは他にも狙っている奴がいるかもしれない。そんなやつらにこの俺の努力?の成果を渡してなるものか。


「そういえば神様が亜空間とやらを作れるとか言ってたな。周りに人もいないし試してみるか。」


 空中に物を出し入れするための空間を作ることをイメージしながら魔法をを使う要領で亜空間を作ってみると見事に成功した。しかも同時にいくつも作れるらしく、種類別に分けることができる。大きさもほぼ無限と言っていいだろう。


「こりゃ楽しいな。重さもないし、いくらでも入れることができるのはすばらしい。」


 とりあえず財布の袋の中に金専用の異空間への入り口を作っておいて、俺の影にその他の持ち物を入れるための入り口を便宜上設置した。これでスリも心配ないな。異空間への入り口はいつでも閉じれるし他の人が手をつっこんでもただの袋だし。


「よーし!調子に乗っちゃいますか!」


 そこから俺はひたすら草むしりを始めた。もはやただの草むしりマシーンと化した。草があれば抜く。特に何の草かも確認せずに抜く。ひたすら抜く。かつてない集中力で抜く。

ただただ抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く抜く

 


 もはや時間の感覚もなくなり、自分が何をしているのかわからなくなってきたところで手を止めた。

 気が付いたらここがどこかわからなくなっていた。どうやら草むしりに夢中で森の奥深くまで入ってしまったらしい。


「まいったな、異世界二日目にしてもう迷子かよ。一応探査を生き物に向けてみるか。」


 こうしておけばいつでも襲撃に対処できる。いざとなれば新しく魔法を作ればいいだけだ。足跡を見つける魔法なんてどうだろうな。


「おっと、反応ありか。でも…これって俺に向かってないな。むしろマーカーどうしで争っている感じだ。さっきからこの二つが小刻みにぶつかり合ってんな。」


 マーカーは合計で六個ありそのうちの二つがさっきから何回もぶつかっている。両方ともぶつかる度にだんだんとマーカーの大きさが小さくなっていく。弱ってっているんだろうな。他の四つのマーカーは動かない。その四つの内の一つは他のマーカーに比べてかなり大きいが、まったく動かない。


「この四つはなんだろ?小ぜりあってるから魔物同士の戦いだろうけど…。とりあえず行ってみるか。漁夫の利漁夫の利。」


 なんにしてもラッキーだ。もしこれでこの四匹の魔物を仕留められれば一気にいける。小ぜってる二匹は戦って消耗してるだろうし、このでっかいやつに気を付ければ大丈夫だな。


「もし反抗するってんなら…。ククク、楽しみだ。」


 反抗なんてしてきたらどうしようかな?皮をはぐ?手足を折る?それとも生きたまま炎の魔法で火あぶりか?

 もともと俺は他人から何かをされても自分に誇れるところがないからって何をされても大抵はそのまま耐えてきた。でももう俺は何でも自由にできる力を手に入れたんだ、もう我慢なんて必要ないよな?今までだったさんざん我慢してきたもんな?

 

 これからの基本方針を決める。俺は俺に対して危害を加える奴には容赦しない。手を出さないなら友好的に接してやるが、一度俺の怒りを買ったらどうなるかは相手がその身をもって体験してくれるだろう。

 自由に生きるのことを決めて体の疲れも取れたら前の世界でいつも抑圧される側だった反動が出てやがる。


「なにはともあれ行ってみなきゃ始まらないか。」


 反動が出るってんならそれでもいいさ。自由に生きるって決めたからな、思いっきり殺すのも生かすのも優越感に浸るのも全部俺の自由だし楽しむとしよう。 

 こうして決意をまた新たにしながら俺はその場を離れた。

最後の方は結構また強引になってしまいました。でもこの先書きたい内容の事を考えるとそろそろここら辺で主人公の性格を決定しないといけないと思ってやった。後悔はしている。反省はしない。

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