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初めての街

なかなか戦闘まで辿りつけません…なんでこんなに進みが遅いんだろう。


「おお、ここがトーラムか。結構でかいじゃないか。」


 この世界についてから初めての街だが、本当に大きい。街の周りには大きな塀がその中を囲っていて、高さも相当な高さがある。ビルで言うと5階相当の高さだ。その上にも、見てみると兵士が巡回していて遠くまで監視しているようだ。


「そうでしょう。さっきの禁止領域からときどきあふれてくる魔物対策と、戦争での拠点にもなるからね。塀が高くて街を囲っているのはそのためよ。」


 シエラが解説を入れてくれる。魔物対策はともかく戦争の拠点にもなるのか。こっちに来ても戦争ってあるんだな。巻き込まれないようにしたい。


「戦争の拠点ってことは、ここら辺はよく戦争があるのか?」


 だとしたらここに長居する必要はないな。必要なものを買ったらすぐに出ていこう。戦争やられても死なない自信はあるが籠城戦で物資買い上げとかされたらたまったもんじゃない。


「いいえ、ここではそんなことはないわよ。戦争の拠点っていってもここは中継地というか物資がここら辺でよく集まる場所だからよく敵国から狙われやすいのよ。その対策ってわけ。」


 それって結構アブねえじゃねえか!全然大丈夫じゃねえよ。


「大丈夫ですよ。ここ数十年はここら辺では戦争は起こってませんから。もうちょっと北の方へ行けばそれなりにやってますけど。」


 そうだったのか、助かった。正直すぐに移動することを覚悟してたぜ。


「まあ、そんなことは置いといてさっさと街に入って依頼完了しようぜ。俺はもう今回は疲れちまったよ。」


「そうっすね。依頼主もあんな感じだしこの依頼はハズレっすよ。さっさと終わらせて休もうっす。」


「しっ!聞こえるわよ。」


 ギルよ、よく言った。一度も依頼を受けてない俺が言うのも変だが、確かにこの依頼はハズレっぽいな。もし俺があんな奴の護衛をする羽目になったとしたら…やべ、依頼失敗してでもその依頼主どうにかしちまいそうだ。


「おい!何か言ったか!」


「いいや、何でもねえ。それよりさっさと街に入ろうぜ。」


 さすがガルク、ナイスフォローだ。こういう気配りさんなリーダーがいるパーティーに入るならいいと思うんだがな。


「ふん、言われるまでもない。」


 そういいながらおっさんはさきに街に入ろうとする。入口の兵士に話しかけ何かを見せるとそのまま中に入っていった。


「中に入るには何か必要なのか?」


「そうだな、市民カードやギルドカードなんかがあれば入れるぞ。旦那は商人カードを見せたようだがな。」


「なんだ、そのカードって?」


「この大陸はそれぞれの身分や所属に合わせてカードが発行されるんだ。冒険者ならギルドカード、商人なら商人カードって風にな。」


「カードはギルドカードなら冒険者ギルド、商人カードなら商人ギルドで発行してくれますよ。」


「ギルドってのはそれぞれの職業の集まりみたいなもんっすね。」


「どこのギルドでもいいから所属さえすれば発行してもらえるわ。シキだったら冒険者ギルドに所属すればいいはずよ。」


 四人がそれぞれ解説をしてくれる。ありがたい。ていうかなんで冒険者ギルドで発行されるカードがギルドカードなんだよ。


「なんで冒険者ギルドだけ発行するカードがギルドカードなんだ?その並びなら冒険者カードだろ。」


「それは、冒険者ギルドというのはその性質上国をまたいだ活動をすることが多々あります。ということはどの国に対しても中立を貫かなければなりません。だから中立であることの表れとしてギルドカードとしているんです。」


 解説役その2君が解説してくれる。いいな、この二人。この二人だけ一人旅の途中だとしても接触できるようにならないかな。でもまてよ、奴隷が合法ってことは奴隷を買ってその奴隷にいろいろ聞けばいいのか。


「ありがとう。でもそうすると俺はどうやって中に入ればいいんだ?」


「そうだなあ、入口の兵士に言いさえすれば仮に市民カードを発行してくれるからそのまま冒険者ギルドに行けばいいと思うぜ。」


「なるほどな。そうと決まれば俺たちも入ろうぜ。たぶん俺は時間がかかるだろうから先に行っててくれ。あのおっさんから依頼証明書もらわなきゃいけないだろ。」


「そうっすね。ガルクさん、そうさせてもらいましょうよ。またあの依頼主のおっさんが面倒くさいことになるっすよ。」


「そうだな、悪いがシキ、俺たちは先に行かせてもらうぜ。しばらくはこの街に滞在する予定だから何かあったら冒険者ギルドを訪ねてくれ。受け付けのやつに伝言でもいいからよ。」


「ではここでお別れですね。ではまた。」


「パーティー組みたくなったらいつでも大歓迎よ。」


「おう、じゃあな。」


「おっと、そうだ。これを渡しておかなきゃな。」


 そういうとガルクは荷物の中から袋を一つ取り出してよこしてきた。中身を見てみると中身は金だった。銀貨が3枚、銅貨が10枚入っている。


「いや、なんのつもりだよ、これ。銀貨3枚っていったら結構な額だろ。」


「何って礼さ。命を助けてもらったし、おかげでサンドワームからも素材がはぎとれた。その素材の儲けを考えたらそれぐらいの出費なんでもねえさ。」


「そうじゃなくて…。俺は報酬としてはここの事をいろいろ教えてもらったからそれで礼としては十分だって。」


「そういうわけにもいかねえさ。こういうことのケジメはしっかりつけとかねえと。それにこのままだとシキは金がない状態で街に入らなきゃいけないわけだろ。それじゃ困るだろ。」


「そうですよ、受け取ってください。それにカードを発行してもらったとしてもその発行料に銅貨3枚くらいかかりますよ。」


 げ、それはまずい。まず街に入れなきゃ金稼ぎも何も出来ねえ。ここは素直にもらっておいた方がいいかな。


「わかった。ありがたくもらっておくよ。」


「そうそう。それでいい。」

 

 そうしてガルク達冒険者四人組とは門のところで別れた。ガルク達はカードを持っているのでそのまま門に入れるが俺は仮のカードを作らなければならないからそのまま別室行きとなる。



「ではこの用紙に必要事項を書いてくれ。代筆や代読が必要なら言ってくれれば用意しよう。」


 案内された部屋で紙、というよりは羊皮紙?を渡された。名前は当然だが、所属階級や職業を書く場所もある。困ったな、所属階級なんてのはよくわからないし、職業に至っては今は無職状態なんだが。

とりあえず適当に書いておこう。

 名前はシキ、所属階級はたぶん平民。でも職業か…何書けばいいんだろうな。

困惑しながらも俺は用紙を書き終えて目の前の兵士に渡した。因みに職業欄には『冒険者志望』と書いておいた。無難とかつまらないなんて言うなよ、こちとらリアルで生活かかってんだから。


「ふむ、まあいいだろう。じゃあ奥でカードを作っておくからしばらく待っていてくれ。」


 どうやらあれで大丈夫だったらしい。それにしても暇だな。そういえばチート能力で金ってコピーできないかな?銀貨があればしばらくは困らないって言っても金は多い方がいいに決まってるし。というわけでさっそく新魔法『複製《コピー》』を作った。さっそく袋から銅貨を取り出してみる。


…成功した。はた目から見れば銅貨を2枚持っているようにしか思えない。けど、そのうちの片方は完全にコピーして本物同然の偽物だ。


「贋金づくりとは穏やかじゃないよな、やっぱり。まあ、どうでもいいけど。」

 

 そう、どうでもいい。俺には先立つものが自分と自分の能力、そしてこの銀貨3枚銅貨10枚しかないのだ。はっきり言って不安で一杯です。知り合いもあの4(おっさんはカウントしない)しかいないしな。


「金貨を見る機会があればいいな。一度見ればコピーできるっぽいし。そうでなくてもこの銀貨を大量に用意できればあとはそれだけで遊んで暮らせるな。」


 そんなことを考えつつも、さらに銅貨を10枚ほど複製した。これで所持金は銀貨3枚銅貨21枚だ。銀貨をコピーしないのは、大丈夫だとは思うがコピーした金が使えるかどうかを確認しなきゃいけないから一番使うと思われる銅貨を選んだのだ。

 

 そうこうしているうちにさっきの兵士が戻ってきた。


「またせたな。これが仮の市民カードだ。あくまでも仮だから一度街を出ればもう使えなくなるし使える期間も短いぞ。期間が過ぎたのに街中にいることが判明したらそく牢屋行きだから気をつけろよ。」


「あいあい、ありがとさん。ところでさ、冒険者ギルドってどこら辺にあるの?あと、宿も。」


「冒険者になるのか。ならこの建物から出るとすぐ目の前に大きな通りがあるからそこをまっすぐ進んでいけばすぐに見つかるぞ。宿は冒険者ギルドの中に案内があったはずだ。」


「あれ?冒険者ギルドって中立じゃなかったっけ。なんで宿の宣伝に一役買ってるんだ?」


「冒険者と宿は切っても切れない関係だからな。遠くの街ならともかく、この街や王都、周辺地域の宿の情報なんかは依頼を受けるうえで無視できない。だから宣伝というより依頼を受けるときの資料という位置づけということになる。」


 あ、そっか。確かに依頼で行く街や目的地にたどり着くまでに宿の有無がわかるのは便利だし大事だよな。


「ありがとよ。それじゃあ行ってくるぜ。」


「せいぜい死なないようにな。」


銅貨3枚を払って中に入る。

 ちょっとぶっきらぼうなところがあるけど根は親切そうなおっさんだったな。お、ここがさっき言ってた大通りってやつか。


「想像よりも大きい街だな。こりゃあ見て回るものが多くて面白そうだ。」


 見てみると通りの脇にはたくさんの店が立ち並んでいる。武器屋防具屋はもちろんのこと、いろんなものが雑多に並んでいる雑貨屋とおぼしき店や本屋、なかには明らかに臓器と思われるものが緑色の液体に漬けられているビンや水晶が並べられ、店の外側には魔法陣のようなものが刻まれている気味の悪い店もあった。明日にでも店を見て回ってみよう。

 

 でもまずはギルドに登録しないとな。いくらでも金は増やせるとはいえ働き口は早めに確保したい。身分証になるものも欲しいし。

 幸いにもギルドはすぐ見つけることができた。そりゃそうだ、大通りを真っ直ぐ見た先にあるでっかい建物がギルドだったんだから。近くに行くまで領主かなんかの屋敷かと思ってた。


「ま、戦場になるかもしれない場所にそんなでっかい屋敷をこれ見よがしに建てるわけないか。」


 目の前には建物の大きさに見合うでっかい扉。ここを開ければいよいよ俺は冒険者の一員ってことになる。なめられないようにしないとな。荒くれ者や腕はいいけど性格が悪いやつだって多いだろうし。


「7魔剣よし。奈落の軽鎧よし。鑑定も問題なく使えるし探査だって正常に起動することを確認。金も多少はあるし身体強化も問題ない。よし、行くぞ。」


 そして俺は冒険者ギルドの扉を開けた。 

次回はギルド登録、そしてできれば依頼にも出してみたいです。後者はこのペースだと未定ですが(笑)

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