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世の中の説明

時間が余ったので1日に2話投稿してみました。これくらい毎週できればなあ。

 馬車は2台とも発車してガルク達と俺はその内の1台に乗り込んでいた。御者はギルだ。もう1台の方はおっさんが自分で御者をやっている。


「そういえばなんでおっさんが自分で御者なんてやってんだ?」

 

 あのおっさんが自分からそれこそ奴隷にやらせるようなことをするとは思えない。しかも護衛とはいえ雇っている人間がいる以上、自分で御者をする必要はまるでない。そんな俺の疑問にガルクが答える。

 

「ああ、俺たちも不思議に思って聞いたんだがな。なんでも、昔雇った冒険者に奴隷の乗っている馬車の御者をやらせて、自分はもう1台に乗っていたら、その冒険者がそのまま奴隷を持ったまま逃亡しちまったらしいんだ。」


「へえ。なんでまたそんなことを?」


「なんでも、その冒険者はもともと生活が苦しい地方のさびれた村の出身だったらしいんだが、冒険者になって家族に仕送りしてたんだ。だがだんだんそれだけじゃ厳しくなってきて、そんな中受けた依頼が旦那の護衛だったんだ。んで、奴隷を自分で売ればもうかるとでも思ったかそのまま逃げちまったらしい。」


「なるほど。それで冒険者は信用せずに自分でやってんだ。でもなんで自前の部下とか連れてこないのかね?」


「それは単純に人間が増えればその分旅の荷物も多くなるし、今回みたいに遠出したときに泊まる宿代もかかる。なにより荷物や余計な人間が増えればそれだけ馬の進む速さも遅くなって奴隷を運ぶのも遅くなる。ただでさえ奴隷は運ぶ前から精神的に衰弱してて運ばれている間もろくな扱いをされないから途中で弱って中にはそのまま死んじまうやつもいる。衰弱してたら見た目が悪くなって売れにくくなるし死んだら金をただ捨てたに等しい。だから少しでも人数を減らして速く進もうってわけさ。」


 そういうことか、ある意味理にかなってるな。奴隷の移動中の待遇をよくしようとすれば金もかかるし荷物も多くなる。そしたら馬の進む速さも遅くなってどちらにしろ奴隷にかかる負担は多少ましになる程度で結局は待遇をよくする前とほとんど変わらない。そういった悪循環を防ごうってわけか。


「それにしてもよくそんなことを知ってたな。こっちでは常識なのか?」


「んー、奴隷うんぬんは旦那から護衛初日に聞いたことだし、奴隷が盗まれたって話は旦那の店があってこれから行くトーラムの冒険者なら噂になっているからそれなりの人数のやつが知ってることだからな。常識とも言えん。」


「そういえばシキはこれからどうするの?やっぱり自分の故郷の大陸に帰るの?」


 話しているとシエラが割って入ってきた。なんとなくガルクと話したままの方がすんなりと情報が手に入りそうだからできれば遠慮してほしいんだが、仕方ないか。


「いや、もともと故郷には特に思い入れもないし諦めた。だからこのままこっちでお前らみたいに冒険者をやって生活しようと思ってる。」


「じゃあギルドに登録したら私たちのパーティーに入らない?自分で言うのも変だけど、あたしたちここら辺では結構有名なパーティーだからいろいろ融通も利くし人脈も持ちやすいわよ。あなたの実力なら即戦力ってことで大歓迎だしね。」


 げ、そうくるか。まあメリットを考えればシエラ達の提案は素晴らしいものなんだが、いかんせん俺は存在がチートすぎる。さっきはすぐに戦闘が終わったからよかったけど長いこと一緒にいるとすぐにぼろがでるのは目に見えている。ここは断っとくか。なによりこの世界を1人で楽しみたいし。


「すぐに返事はできないな。こっちのこともほとんど知らないし、そのギルドとやらの規則もよくわからない。場合によっては自分一人だけってほうが身軽でいい場合もあるしな。」


「そうなんですか、それは残念です。でも、前向きに検討してくださいよ。」


 ルークも少し残念そうに合いの手を打つ。ま、そんなこと絶対にありえないけどな。それにしてもそんなにさっきのミミズを倒したことが評価されることなのかね。こりゃギルドのことも聞きながら本格的に情報収集を開始しないとな。


「まあ検討はしておくよ。ところでギルドについて詳しく教えてくれないか?大体の想像はつくんだが確認しておきたいんだ。」


 そしたらガルクが説明を始めてくれた。いい具合に解説役を買って出てくれてるな。すっかり解説者としての立場が俺の中で固まってきてしまった。


「まずはギルドの大まかな仕事だが、これは討伐や採集なんかの依頼を冒険者として登録した奴らに受けさせて達成したら報酬を出すっていうやつだ。俺たちが今やってるのは護衛の依頼でトーラムとポーラスの往復の道のりで旦那の護衛をするっていう内容だ。本来だったらこれで銀貨10枚もらえたはずなんだがな。」


 ちょっと場がしんみりしてしまった。この空気はいけんって。話題をすこしずらそう。


「じゃあさっきのランクってなんなんだ?」


「それは冒険者としてのランクだな。F~SSSまである。一般的に一人前と呼ばれるランクがCで、Bだと一流っていう感じだな。因みに俺たちは全員がBランクだ。これって結構すごいんだぜ。」


 そういうとガルクは少し誇らしそうな顔をした。ルークも少し得意げになり、シエラは胸を張っている。…ローブで今までよくわからなかったが、結構なものをお持ちで…。


「…なんか体の一部を見られてる感じがするわね。」


 その発言を聞いた俺は即目を離した。やべ、気づかれたかな?しょうがないんだ。あっちじゃチェリーだったんだよ!ちょっと隣の女子の足が見えただけでドキドキするんだ!そういう仕様なんだよ!


「そ、そうか?き、気のせいじゃないか?」


「あら、そうかしら。だったらいいけど。」


 そういいながらシエラさんや、その確信に満ちた目と笑顔は知ってますね。スルーしてくれるってんなら本当に大助かりですよ。


「あ、ああ。気のせいだろ。それよか金についても教えてくれ。」


「そうですか。ではここは僕が話しましょう。これでもパーティーの財布を預かる身ですからね。」


 今度はルークが教えてくれるらしい。確かに見た目的にも性格的にもそういったことに1番しっかりしてそうだ。


「まず、貨幣の種類ですが下から順に銅貨・銀貨・金貨・白金貨となります。それぞれ100枚毎に上の貨幣に交換できますよ。街の平均的な家庭では大体銅貨10枚で1日生活できると言われています。宿だと一泊銅貨5枚といったところでしょうか。」


「そんなもんなのか。じゃあこの依頼の銀貨10枚ってかなり多い方なのか?」


「ええ、本来ならあまり強い魔物もいませんしそこまで悪路でもない道ですからここまで高額にはならないのですが、途中で進入禁止区域と呼ばれるところの側をしばらく進まなければならないのでそのせいです。あ、進入禁止区域ってわかりますか?」


「ああ。なにせその中から出てきたからな。」


 そういうと皆して少し顔を強張らせた。やば、やっぱりあの中に入ったってことは言わない方がよかったか?


「どうしたんだよ。そんなに不味いことだったか?」


「不味いといえば不味いですね…。本来ならギルドに登録したものが入ると相応の罰則を受ける場所なんですよ。例え冒険者でないただの一般市民なんかでも衛兵に知られると連れて行かれますけど。」


「それってむちゃくちゃヤバイじゃねえか!やべ、どうしよ…。」


 いや、ばれたとしてもチート能力を使えば大丈夫なんだが…。それでも面倒事はごめんだな。


「大丈夫ですよ。シキさんの事情も事情ですしね。それにここら辺ではあまりないですが他の禁止区域ではその中にある素材なんかを目的にそれなりの人数が入っていますが連れて行かれることはありませんよ。取り締まる側も黙認している節もありますし。」


「そうだったのか…。アブネ―、折角街に入れるかと思ったらすぐ逃亡しなきゃならないところだったぜ。でも、なんでだ?」


「禁止区域になっている理由が『大量に強い魔物がときどき出る』だからですよ。魔物がいない状態なら特に危険でもありませんから規制する理由もありませんからね。逆にいる状態で入ると中の魔物が暴れて積極的に街を襲ったりもするらしいですけど。」


 そんな中にわざわざ行こうっていう物好きはいないとは思うけど。話を聞く限りではその規則は一応対面を保つために作ったんだろうな。


「じゃあなんで不定期にそんなに強い奴らが通ったりするんだ?」


「よくわかってはいないのですが、一説によると世界を飛び回っているドラゴンが近くに来るとそれを恐れた魔物たちが一斉に逃げだすからだとか言われているらしいですよ。それだけドラゴンが自然界では絶対的な強者とされているんです。」


「ルークたちはドラゴンを倒したりしないのか?」


「無理ですよ、絶対に。出会って逃げれたら御の字です。そんなことができるのはそれこそSランク以上の実力者でしょうね。」


「それにSランクの人なんて大陸中探しても10人いないのよ。SSだと3人、SSSなんて1人しかいないのよ。そのSSSの人も最近ではめっきり噂も聞かなくなったし、皆死んだんじゃないかっていってるわ。」


「Aランクまでは600人くらいいるらしいんだがな。」


 3人がそれぞれランクについて再度説明してくれる。どうやらAランクが壁らしいな。俺はどうだろう。どうせだから極めるところまで極めてみたいな。まずはSランクになるところを目標にしておこう。そしてその次はSSSランクだ。


「なるほど、大体わかったよ。因みにさっきのサンドワーム?だったか。討伐依頼を受けるとすると大体どのくらいのランクなんだ?」


「サンドワームは一体でもAランクって言われている。あの固い体でほとんど剣や弓の攻撃が通らないから多人数で魔法による遠距離攻撃をしないといけねえんだ。だから一人で三体も倒したシキは最低限でもAランクの実力があるってことだな。」


 だからシエラは俺をパーティーに引き入れようとしたわけか。そういうことなら納得もできる。最低でもAランククラスの実力を持った俺がいれば討伐系とかはもうほとんど失敗は無いだろうからな。


「皆で楽しそうに話してうらやましいっすね。」


 俺たちが話していると御者台に座っていたギルが顔をこっちに出してきた。荷台と御者台は幌で隔てられているから、幌の隙間から顔だけを出した状態になる。


「おう、どうしたギル。」


「もうそろそろトーラムに着くから報告っす。」


 やっと街に着くのか。楽しみだな。

いろいろ伏線っぽいのも張ってみました。これを生かせるかどうかが疑問ですが。

やっと街につけました。少しずつ物語を進ませられます。

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