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第2話 双子との出会い

 

 第1話でマレーヌの悲しい過去が…。


 ここから、マレーヌはどうしていくのでしょう。


 

 そして、双子って??




 どうぞごゆっくり~♪

 ”ガバッ“

 飛び起きたあたしは涙を流し、汗をびっしょり掻いていた。目の前に、心配そうに見つめるマーロンがいた。

「ふぇ、マーロン…、あたし…」

 最後まで言葉が出ず、マーロンにしがみついた。マーロンは静かにあたしに言った。

「マレーヌ、大丈夫マロ。いっぱい泣いていいマロよ」

 ポンポンとあたしの頭を軽くたたく。あたしは声を上げて泣いた


 少しして落ち着き、あたしが「大丈夫」と言い、ベッドに座りなおした。マーロンの服は濡れてグシャグシャになっていた。でもきっと、あたしの顔の方がグシャグシャだろう。

「マレーヌ、どんな夢、見てたマロ?ちゃんと話すマロ。オイラとっても心配マロ」

 しゅんとするマーロンにあたしは淡々とあの過去について話し始めた。

 話を聞き終えたマーロンは難しい顔をしていた。

「そっか、そんなことも遭ったマロね…。オイラその時は風邪で寝込んでたマロ…」

「そうなのよ、あたしその後すぐ家に帰って部屋で泣いて…。それ以来、同世代の子達と遊びもしなかった。ううん、近寄りもしなかった」

 あの時のことを思い出すと、今でも胸が締め付けられる。しかも未だに、同世代の子とは会おうとしない。昔のような目に遭うのが怖いのだ。あたしには友達と呼べる相手がいない。あたしより少し年上の家来やメイドがいるけど、本当の『友達』と呼ぶには程遠い。あたしは、心から信頼できる友達がほしい。だけど、どうしても同世代の子に近づこうとすると、昔の記憶がフラッシュバックのように襲ってくる。

「マレーヌ、この機会に同じくらいの子とちゃんと話せるようになるマロ!」

 マーロンがあたしの目をしっかり捉えて言う。あたしの事を考えていてくれてるんだと、心の奥からが温かくなる。

「あたしもそうなりたいと思ってるよ。でも、どうやって?」

「それは、えっと、そうだマロ!この火の王国には、マレーヌと同じくらいの王子と姫がいたはずマロ。しかも双子の」

「そうだっけ?知らなかったわ」

「うんうん、これがいいマロね。王様と王妃様だけに挨拶するのもおかしいマロ。挨拶がてらに会いに行くマロ」

「へ??今から行くの?」

 あたしの手をグイッと引っ張るマーロン。驚いて、ためらいがちに聞いた。だって、そんな急に話とかできないし、まず会う事自体無理かも…。

「急がば回れって奴マロ」

「わかったよぉ~」

 マーロンにグイグイ引っ張られて、双子の王子と姫の元に向かった。通りかかったメイドによると、ダンスルームでレッスンを受けているらしい。ダンスルームだから、当然ダンスのレッスンだよね。メイドに案内されてきたのは、普通のドアの前。中から、笛や太鼓を使った民族風の音楽が聞こえる。

「こちらです。少し見学いたしましょう」

「は、はい」

 緊張で心臓がいつもより大きくなる。メイドがドアを開けると、ワックスの塗られたつるつるの木の床が視界に飛び込んできた。壁はドアがついている壁以外、全面鏡張りで眩しい。

 入ってすぐにサングラスをかけた坊主頭の男性。

 その目の前には、あたしと変わらない年頃の女の子が2人。1人は、黒髪の飛び跳ねたミディアムショートで、ティアラをつけている。真っ赤なキャミソールに炎のマークが描かれたスカート。もう1人は、クリーム色の飛び跳ねたショートヘアで、ティアラはつけていない。襟の大きな、薄い黄色のTシャツに、真っ赤なショートパンツ。2人の共通点は、くせっ毛とつま先がくるんとしたミュールと片耳につけているピアスのみ。この2人、双子とは思えない顔をしている。黒髪の子はつり目で、クリーム色の髪の子はたれ目。筋の通った鼻とまあるい鼻。対照的な2人だけど、息ピッタリのダンスを見ていると双子だと分かる。でも、男の子と女の子じゃなかったっけ?

 そんなことを考えていると、クリーム色の髪の子がつまずいた。すると、坊主頭の男性が手をたたいて、脇にあったプレーヤーを止めた。

「おい、フィリー大丈夫か?」

 心配すると言うより、あきれた感じだった。フィリーと呼ばれた子は、

「すいません、先生」

 小さな声で言うから、聞き取りにくい。黒髪の子が、

「ちょっとフィリー!これで何回目よ!?パレードも近いのに、ドジってばかり!」

 腰に手を当てて、怒り口調で言う。今のが初めてではないようだ。

「ごめんね、リリー」

 フィリーはまた小さな声で言う。消えてしまいそうな声。よっぽどリリーって子に怒られたんだろう。またリリーが何か言いそうだったので、坊主頭の先生が、

「まぁまぁ、落ち着け。少し休憩しよう。お客さんも来たようだしな」

とあたしのほうを指差す。びくっと肩が上がった。2人もこっちを見る。な、何言おう。メイドもどこか行ったし、マーロンはあたしの行動を待ってるし。うぅ…。

 “スタスタ”

「初めまして、リリー・ファランよ」

 リリーが近寄ってきて、あたしの手をとった。にっこり微笑んでいる。

「は、初めまして。あ、あたしマリアンヌ・ピアニコ。マレーヌって呼んでね」

 とりあえず、(カタコトだけど)自己紹介をした。足が震える。お、落ち着けマレーヌ!

「そう、マレーヌね。OKよ。あそこにいるのは駄目駄目なフィリー・ファラン」

「そ、そんな~、ひどいよ~」

 フィリーが鳴きそうな声で言う。

「あちらは、ラック先生よ。あたしたちにファイラの舞を教えてくださってるの」

 ラック先生がうんうんと頷く。

「えぇ~っと、こっちはマーロン・D・ムーケ。あたしのお供なの」

「へぇ~、マーロンね、よろしく」

「よろしくお願いしますマロ」

「うわぁ、可愛い!」

「マ、マロ!?」

 いつの間にかフィリーがマーロンをつかんでいる。マーロンが可愛いってどうかしてるけど、まぁいいか。

「えっと、あたしね、風の王国から魔歌を探す旅で来たの。少しの間、よろしくね」

「そうなの、すごいわね~。ってあなたってあのマリアンヌ・ピアニコ!?」

「えぇ?あのって…?」

「ほら、数日前にパーティを開いて、マリア・ピアニコを超える歌姫になるって行ったでしょ。有名よ、あなた。あのパーティ、生中継されて世界中で放送されたんですもの!」

 えええ!生中継で世界中に放送!?それってアリ!?そんなあたしに、

「あはは、そこまで驚かなくても。僕もバッチリ見たよ」

 フィリーが言った。んん??

「え、僕?あなたって男の子なの?」

《プッ!アハハハハ!!》

 リリーとラック先生の笑い声。その2人はお腹を抱えて笑っている。フィリーは真っ赤な顔をして泣きそうだ。あたしとマーロンはこの状況をつかめないでいる。

「ブブッ、まただなフィリー」

 とラック先生。

「本当よ!これで何回目かしら。つまずいた回数より多いんじゃない!?フフ」

 とリリー。

「うぅ~、マレーヌさん僕はれっきとした、男の子だよぉ。グスッ」

 目にうっすら涙を溜めて訴える。あたしは慌てて謝った。

「ご、ごめんなさい。てっきり女の子かと…」

 もう一度、頭からつま先まで見る。本当に男の子なの?フィリーって肌白いし、手足は細い。リリーは小麦色の肌だけど、フィリーと同じく手足が細い。顔は似てないけど、女の子の双子に見えちゃうよ!

「3人とも初めて会ったみたいだし、今日のレッスンはここまでとしよう。」

 とラック先生は足早に部屋を出た。それを見送ったリリーが、

「これからどうする?マレーヌ、あなたって今日来たばかりよね?」

「う、うん。そうだよ」

「それじゃあ、あたしとフィリーが城を案内するわ!時間があれば、街にも行きましょうよ!」

「えぇ、わかった。ありがとう」

 リリーの提案にあたしは賛成した。どんどん会話が進むのは両親に似てるから?

「オイラも行くマロ!」

 マーロンはフィリーの腕からするりと抜け出して、賛成した。

「あぁ、マーロン。じゃ、じゃあ僕も行くよ~」

 よほどマーロンが気に入ったみたいで、すぐにマーロンを自分の腕の中に戻した。マーロンは不機嫌そう。

「あんたは最初から行くの~」

 とリリーがフィリーの左耳をグイッと引っ張った。

「ふぎゃ。痛いよりリー。まず部屋に戻ってもいい?」

 女の子みたいな悲鳴をあげた。しかも可愛い声で。

「大丈夫よ、順番に案内するから。最後まで待ってて」

「ふぁ~い」

 またまた女の子みたいな声で!あたしだってそんな声出せないのに!!

「じゃっ、行こっか。マレーヌ、こっちよ!」

「うん!あっ、待って~」

 ということでリリーとフィリーに火の城を案内してもらった。フィリーはずっとマーロンを放さなかった。

 食堂やお風呂、トイレといった普段の生活に使う部屋とか、トレーニングルームやエステルームとか、図書室などを丁寧に案内してもらった。

 一時間くらいで城の案内は終わった。今あたしがいるのは、フィリーの部屋の前。右隣はリリーの部屋。このまま、街に行くことになったので2人は支度をしに、部屋に戻った。リリーはすぐに出てきた。特にいる物は無いと言って、お金だけ持っている。フィリーはまだ出てこないなぁ。

「フィリー、何してんの!?早くしてよ、この鈍間フィリー!!」

 リリーが叫んだ。かなりイライラしてるみたい。

「ちょっと待ってよぉ。ないんだもん!」

 と返事をするフィリー。すかさずフィリーが、

「ないって何がないのよ!そんなに時間もないのよ!」

 とまた叫ぶ。リリーの言うとおり日没まであまり時間は無い。

「あれだよぉ、クマタン専用バックゥ!」

 ク、クマタン専用バック?何それ…?リリーに聞いてみた。

「あのね、あたしたちにお供がついてなくって。その代わりにフィリーは…」

「リリー!!手伝ってよ~~」

「もう、そのまま持ってくればいいでしょ!さっさとしてよ!」

 リリーの一言が効いたのか、フィリーはしょんぼりと“何か”を抱えて出てきた。そうその”何か”とは、クマのぬいぐるみ。しかもへんてこりんなぬいぐるみ。これをお供代わりにもっていると言うことね。目つきが怖いんだケド…。

「クマタンが可愛そうでしょ。そのままなんて…」

 クマタンの頭をなでる。

「じゃあ、置いてくればいいじゃない!!」

 リリーはあきれ返っている。

「そんな~~」

 と半泣きのフィリー。そしてリリーは、

「さっ、マレーヌ行きましょ!」

 にっこり顔であたしに言う。リリーに連れられて、火の王国の街へと足を運んだ。



 どうでしたでしょうか!?


 ユニークな双子ではなかったでしょうか?



 強気で毒舌なリリー。弱気で女の子に見られがちなフィリー。


 マレーヌはこの2人と仲良くできることはできますかね~~ww



 最後まで読んでいただきありがとうございましたペコ


 感想や指摘、どしどしお願いします~ペコペコ



 次回は双子とお買い物に!!



 

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