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第3話 花の子供たち

 あたしの目の前に幼い子供が5人います。まず、1つ言える事がある。みんな整った顔の美男美女だ。ちょっぴり、悔しくなる平凡顔のマレーヌであります。


「お姉さん、だぁれ?」

 水色のサイドテールの子が話しかけてきた。つやつやの髪とクリンクリンの青い瞳が愛らしい女の子。この中で1番小さそうに見える。

 水色ちゃんは、不思議そうにドアの前のあたしとマーロンを見つめる。かわいいブルーアイに見とれていたら、

「おばさん、何か用でもあんの?」

 タンクトップを着た赤い短髪の男の子が、理解不能な名前であたしに話しかけた。前髪をポンバドールにして、見るからにやんちゃそうである。

「君ぃ~、おばさんなんて何処にいるのかしら~?」

 少しびびっている赤トマトくん。それでも、歯を食いしばって言い返す。

「そこにいるだろ!っおわ!!」

 赤トマト君の口を手で塞ぐ、女の子。若草色した肩につく程の髪。前髪を真ん中で分けて、ピンで留めている。

「もう、ジョナサン!失礼なこと言わないの!!お姉さん、ごめんなさい」

 見た目の元気さと裏腹に、礼儀正しく、お姉さんって感じだ。

「いいの、いいの」

 あたしは気にしていないような素振りを見せる。子供相手に怒るのも大人気ないからね。

「お姉さん、風の王国から来たんだろ?」

 水色ちゃんの後ろでにこにこ微笑む淡い金髪の男の子。うねる金髪を上手にまとめて、おしゃれな感じ。そして、この年の割りに絶対にモテモテそうなオーラを出している。将来は女の子をもて遊ぶタイプだな!!

「おい、おばさん、聞いてんのか?」

 赤トマト君ージョナサンの言葉に、若草お姉さんが頭をはたく。

「っと!そうそう、あたし、風の王国から来ました。マリアンヌ・ピアニコよ。マレーヌって呼んでね!」

 首を傾げて笑ってみる。赤髪のジョナサン以外は笑い返してくれた。

「この子は、あたしのお供でマーロン・D・ムーケって言うの」

 マーロンの紹介に、またジョナサン以外反応した。ジョナサンはお姉さんに怒られたことですねているみたい。

 とりあえず、部屋の中にいれられた。おもちゃで埋まった部屋。遊び心溢れた壁と床。そして子供たちは自己紹介をしてくれた。

「私はディル。10歳でーす。マレーヌお姉さん、マーロン君、よろしくね!」

 まず、若草お姉さんこと、ディル。ピースして、微笑む姿がかわいい!!

「僕、ネクタリン。めんどうだから、ネクターって呼んでね。ディルの2つ下。よろしく」

 金髪のネクターはさらりと自己紹介を終える。ほら、と水色ちゃんの肩を叩く。

「わたし、ライムって言います。よろしくね」

 ぺこっと頭を下げる。顔を上げたときの照れたような顔は茶目っ気たっぷり。かわいすぎて、ノックアウトしそう。

「おれ、ジョナサン!おれとネクターとライムは三つ子なんだぜ!!すげ~だろ、マレーヌ!マーロン!」

 唯一君だけ名前を知ってるよ…。しかも、いきなり年上を呼び捨てなんだ。まぁ、いいか。苦笑いして頷いておいた。

 生まれてきた順番はネクター、ジョナサン、ライムちゃんらしい。

 ここで、ディルが、

「あそこで本読んでるのが、私の双子のお兄さんで、バジルって言うの。基本的しゃべらないけど、仲良くしてあげて下さい!」

 と耳打ちしてくれた。最後に一人、読書中の彼。あたしには興味を示さず、ひたすら読書をしている。ディルと同じ若草色の髪を後ろで束ねている。

「うん、わかった。

 双子と三つ子ちゃんね!あたし一人っ子だから、羨ましいなぁ」

 みんなと同じ目線になってから、まじまじと顔を見る。間近で見ると、キラキラしてるくらい美形だ!

「ディルとバジル君はどことな~く似てる…。でも、ネクターとジョナサンとライムちゃんは、あんまり似てないのね?」

「私達は一卵性って聞いたけど…。でも、あんまり似てないって言われる~」

 とディル。

「おれたちは二卵性!いや、三つ子の場合、三卵生か?」

 とジョナサン。マーロンの鼻を引っこ抜こうとしている。

 とりあえず、自己紹介は終わった。だが、テーブルの周りであたしを取り囲むようにして座る5人は、期待のこもったまなざしでこちらを見つめる。バジル君は見てないけど…。

「?? あたしはどうしたらいいの、かな?」

 わけが分からず、口を開いた。

「お姉さんの噂は聞いてるよ!!」

 ドキドキを隠せないディル。テーブルに肘をつけ、「早く話して」と言わんばかりに目を輝かせる。

「僕も。いつか、この花の王国に来てくれると思ってたけど、こんなに早く来てくれるなんてね」

 ネクターはバジル君の隣に座り、腕組みして話した。

「お姉さんってすごいんだね!!」

 ライムちゃんはディルの脇で感激している。

「ってか、マレーヌって風の王国の姫だったんだな」

 ぼけーっとジョナサンが今更かのように言った。あたしたちは、一斉に彼を見た。当の本人は、驚いた顔をして、1人ずつ顔を見つめかえす。

「今までの話の筋からみんな分かってたマロ…」

 マーロンの突込みが入る。

「…バカな奴」

「ひでーよ、マーロンもバジルも!」

「バジルたちの言うとおりだね。ジョナサンには同情できないよ」

「ネクターまでひどいな!!これじゃ、悲劇のヒーローだぜぇぇぇぇ――」

「…黙れ」

 バジル君の毒舌に(自称)ヒーローの叫びは止まった。

「バジル君って、かなりの毒舌だね」

 と密かにディルに耳打ち。バジル君と目が合った。怪訝そうな顔ではなくなったが、無表情ですぐに目を逸らされてしまった。

「バジルは信頼してる人だけに毒舌をはくの。それが、バジルにとっての愛情表現って思ってくれればいいかな」

 ディルがこっそり教えてくれた。双子だからこそ、分かることなんだろうな。うれしそうにそして、得意げに話すディルを見てそう思った。ここでジョナサンの攻撃を食い止めながら、ネクターが、

「お姉さんの話聞かせてよ。火と水の王国で何があったの?」

 興味津々で聞いてきた。あたしがもったいぶると、

「「「聞きたい!」」」 

 バジル君以外が声をそろえた。

 あたしもマーロンも驚いた。だって、今まで起こった事なんて、みんなに話すものなのかなって。しかも、そんなに期待されても、別に大したことはしていないような。


 まぁ、簡潔に手短に話そう―――

           

                     ☆ ☆ ☆



 しかしまぁ、みんなの質問攻めやこんなこと話し慣れないあたしなので、結構時間がかかってしまった。

 ややこしい事は伏せておいたが、自分の生い立ちを話すと、これは人間だから仕方ない!自分をかっこよく仕立て上げてしまうのだ。


 話し終えると、満足そうな子供たちのこの表情。

「かなり改ざんされてた気が…」

 マーロンがぼそっと呟いた。

「カイザンってなぁに?」

 ライムちゃんが首を傾げる。他の子たちも分かっていないようだ。気にせず、ジョナサンが感心したように声を上げた。

「マレーヌってほんとにすげーんだな!!フェスティバルで準優勝してさ!」

「お客さんを号泣させるほどなんてすごいよね!!」

 ディルも目を輝かせる。「でも…」と口にしたネクター。

「僕は水の王国を救ったこともすごいと思うよ。

 誰も気づかなかった計画を見破って、計画を潰して水の王家は兄妹がいたってこともきちんとした形で公表してさ。名探偵みたいな推理で、考えもつかないよね」

 子供たちは心底感心して、口々にあたしを褒め称えてくれている。


 あ、謝りたいなっ!マーロンに言われたとおり、ちょこっと改ざんしすぎた!!かっこよく仕立て上げたからね~~。

 フェスィバルで全員号泣なんて大げさでした!

 名探偵みたいな推理はしてないよ!立ち聞きしただけです! 


 だからといって興奮したいる子供たちに、ちょっと大げさだったな、なんて言えないよ!あの目の輝きを見てると、気が引けてしまった…。



「いやぁ、しかしマレーヌが土の国でおかしくなったときはもう終わったかと思ったマロ。敵を騙す為だからって、みーんながドン引きするようなことをしでかすなんてマロ!」

 マーロンが歌うような調子でペラペラと余計なことを語る。ディルが興味身心に聞いてくる。

「ドン引きするようなことって何々!?」

 ま、まずい!!さすがに土の国で狂ったときのあたしの話をしてもらっても、困る。あたしはマーロンに視線で訴える。

「こ、これはやめとくマロ~。マレーヌにもプライドというものがあるマロね。

 まぁ、その後魔術を使って雨を降らせて、ハープで雨を降らせたように見せたからすごいマロ!オイラたちも驚いたマロから~」

 下手にはぐらかしたマーロン。みんな気になっているようだが、狂ったあたしを晒すわけにもいかない!

「んまぁ、いろいろあって、この花の王国でみんなに会えたってこと!」

 一人一人の顔を見た。微笑み返してくれたり、照れた頭を掻いたり、無表情だったり…泣

「ということで、お姉さんの魔歌を聴かせて!!」

 ディルが唐突に切り出した。ずっと待ってました、と言わんばかりに。

「おれもおれも!伝説の魔歌が聴きたいぜ!!」

 ジョナサンも期待のまなざしでこちらを見る。しかし、あたしは苦笑いして、

「あー、ごめんね?伝説の魔歌は歌えないの…」

「えぇ?!何でだよ!!」

 ジョナサンが驚き、立ち上がった。ディルが座るようになだめて、あたしをもう1度見つめる。

「伝説の魔歌は、確かに手に入れたの。歌おうとすると、メロディや歌詞が頭の中からパッと消えちゃうの。何度も挑戦したけど。歌えなくて…」


 水の魔歌も手に入れて、歌おうとしてみたが、やはり駄目だった。どうして歌えないのか、どうすれば歌えるのか、と考えているがあたしの知能では高が知れている。

 だから、ロベルが言っていた、「7つの魔歌が全てそろい、ふさわしい時、ふさわしい場所、ふさわしい人々を前にして歌えるようになる」ということを信じている。あたしもそう思う。


「そっか、仕方ないね。じゃあ、普通の魔歌でいいから聴かせて!!」

 ディルは少し落ち込んだだけで、魔歌をどうしても聴きたいみたい。他の子も同様だ。

「え~、みんなの前じゃ恥ずかしいな~」

 と焦らしてみた。

「大丈夫だよ、お姉さん!私も聴きたいよぉ」

 腕を引っ張っておねだりするライムちゃん。抱きしめたくなるほどのかわいさ。

「んじゃ 「皆様、レッスンのお時間、とっくに過ぎていますよ!?」

 あたしが意を決したところで、ノックなしにメイドが入ってきた。

「!! もうこんな時間!」

 ディルが慌てて時計を見る。4時10分。1時間半近く話してたなんて。

 5人はあたふたと行こうか、行くまいかと迷っている。レッスンに行かないといけないけど、魔歌も聴きたいみたい。

「後でいっぱい聴けるから、早くレッスンに行くマロ」

 マーロンが落ち着いて言葉を発した。5人は立ち上がり、ドアへ向かいろうかを駆け抜ける。あたしも一緒に付いて行った。

「ねぇ、バジル君。あたし、レッスン見てもいいかな?」

 最後尾のバジル君に聞いてみた。バジル君はちらりとこちらを見て、

「…別に」

 たった一言だけど、OKをもらえて安心した。

「ありがと。急ごうかっ!」

 あたしがそう急かすと、バジル君は少しスピードを上げた。


 広い城内を迷わず進む幼い子供たちの後を追う。



 個性的な子供達が登場しました。


 みなさんは誰が好みですか!?



 妹系のライムちゃん。やんちゃなジョナサン。少し大人っぽいネクター。


 しっかり者のディル。かなりの毒舌バジル君。



 すみませんが、私は選べないです><;



 全員、ドつぼすぎていけません←ええw





 こんな感じで花の章も展開していきます!




 最後まで読んでいただきうれしい限りですペコ

 コメお待ちしています!!

 次回もよろしくお願いしますペコペコ



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