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第12話 作戦実行!?


 遅くに更新します!!


 いよいよ、物語も終盤に差し掛かります!



 水の王国の滅亡を阻止するため、魔歌とハープを取り戻すため、



 そして、ウォーテルさんを助けるため!!




 マレーヌたちが行動を開始します。




 どうぞごゆっくり♪


 ~3日後~


 まだ雨は降っていないが、空は灰色の雲で覆われている。

 あたしが思いついた秘策はとてもいいとは言えない。しかし、この状況をうまく使うにはこれしかなかった。



 今日はこのシーイブ村にたくさんの人が集まっている。窮屈なこの村に設けられた、小さな会見場。集まったのは記者やカメラマン達。大至急、水の王から緊急連絡があると発表されたからである。それを嗅ぎつけた各国の記者たち。

 何が発表されるのか?と興奮している記者たちの前、会見が始まった。

「皆様、お集まりいただきありがとうございます」

 壇に上がった王様が一声かけ、それに合わせて王妃様とサラサが礼をする。フラッシュが飛び交う。脇で見守るあたしは不安でいっぱいだった。

 あたしが考えたことだが、これからやることに心臓の高鳴りがうるさい。もしかしたら、この会見は逆効果かもしれない。しかし、それも覚悟で会見を開くことにしたのだ。

「本日の会見はあることをお伝えするためのものです」

 フラッシュの嵐はあたしの心臓と同じように激しい音を立てている。

「15年前、水の王国には王子がいました。が、病気で亡くなった。しかし、それは…事実ではありません」

 重々しい口調。対照的にフラッシュは軽快に鳴っている。

「王子の名はウォーテル・イネット。ウォーテルには生まれつき、魔力がなく、王家に向かいいれる決断ができませんでした。ウォーテルは亡くなって…いません。ウォーテルは王家の者としてではなく、一般人として生きてもらう道に進んでもらいました」

 そこまで告げると、ある声が飛んできた。

「今、誘拐されている執事の名前が…」

「それについてもお話致します」

 王様が途中で遮って、話を続けた。

「今、現在誘拐されているサラサ姫の執事兼ボディーガードはウォーテル・イネットです。

 彼は養子に引き取られた末、独断で執事育成学校へ通い、卒業しました。そして、水の王国で執事として働くことになりました。

 すぐに辞めさせるつもりでいました。しかし、ウォーテルの…いえ、私達の甘い決断の末、彼を執事としてひきとめました」

 そこまで言って、王様が言葉を詰まらせた。会見は作戦のうちであるが、王様達にとっては大きな覚悟が必要となった。

 この会見で、ウォーテルさんを王族だと認める。そうすれば、土の国に少しでも優位な立場に立つ。それが目的ではあるのだが…。

 しかし、いつまでもここで会見を見ているだけではいけない。王様が泣き出すサラサを促し、壇から下ろして話を続けた。震えるサラサをあたしが村の奥へと連れて行く。

 マーロンとコテツ君が待つ馬小屋へ。次はウォーテルさんを助け出す!それから、古の巻物と豊水のハープを奪い返す!!


「マーロン、コテツ君!」

 それぞれが馬の上で待っていた。あたしとサラサが馬に飛び乗り、手綱を引く。馬がカツンカツンとひづめの音を鳴り響かせて、村の裏にある小道を抜ける。サラサの後にあたしが続く。

「うまく抜け出せましたわね!土の国まで急ぎますわ」

 サラサがそう言い、手綱をもう一度強く叩く。

「王様達がうまく気を引いてる間に…ね!」

 あの会見はカモフラージュも意味する。あたしたちは土の国へこっそり忍び込むのだ。

 ロベルたちが待つ土の王の家の地下に、ウォーテルさんが捕まっている牢屋があるらしい。王様達もそこで捕まっていたらしい。そこへ入り込める抜け道のようなものがあるらしく、あたしたちは今馬を走らせている。

「僕達だけでできますかね?やっぱり王様達もいたほうが…」

わたくしは…わたくしを守ってくれたお兄様を助けたいのです。お兄様を利用して、巻物もハープも奪って、水の王国を滅亡なんてさせませんわ!!」

 コテツ君の弱気な発言に対し、サラサは強気だった。サラサの言葉を聞き、手綱を握る手に力が入る。

「そうマロ!どうなるか分からないけど、やるしかないマロ。後で兵士の人たちも駆けつけるって言ってたマロよ。それに、馬に乗れるお姫様2人は心強いマロ!!」

 マーロンが少しふざけた感じで言った。

「まぁ、うふふ!馬術のレッスンもして、正解でしたわ。マレーヌもかしら?」

 サラサがおどけた調子で言った。その質問にはなぜか、マーロンが答えた。

「マレーヌは小さい頃から、城の敷地内を馬で走り回っていたマロから!!」

「んなっ!ま、まあ、とっても頼もしい小さいお供と真ん丸いお供がついていれば心配ないわね」

 皮肉っぽく言ってみた。すると、お供2人が「そんなことない」と声をそろえるから、噴出してしまった。

 どんどん村が遠くなり、土の国が近づいてくる。もう後戻りはできない。ひづめの音だけが森に響く。


「皆さん、もう着きますわ。呼吸を整えて、ここからはお慎重に」

 サラサが木の陰から何かを見つけて、そう言うと、一気に緊張感が高まった。

 馬から下りて、馬を木につなぐ。サラサが木の陰から観察している。あたしも見てみると、頑丈な鉄の塀に囲まれて、入り口は1つだけのようだ。入り口には見張り役の人がいて、簡単に入るわけにはいかなさそう。しかし、あたしたちは入り口から堂々と入らない。牢屋への抜け道を探さなくちゃ。

「あの大きな建物が土の王たちが待つ家ですわね。反対側へ回りましょう」

 森を大きく迂回して、入り口とは反対側に足を忍ばせる。こちら側にくると、大きな建物が近くに見える。そして、塀の外には、今にも崩れそうな井戸が3つ。少女が水を汲んでいる。

「あの井戸ね」

 あたしがそっと呟いてみんなが顔を見合わせる。

「いいですか?真ん中の井戸に入ると、牢屋につながる道があるのですわ。そして、まだ薬で操られてるかもしれないウォーテルをマレーヌの魔歌で目覚めさせる」

「了解です、サラサ様!」

 コテツ君が威勢のいい返事をした。あたしもマーロンも静かに頷いた。


 あたしがいつも歌う魔歌は、体や心の傷を癒す魔歌。しかし、魔歌にもいろいろな種類がある。例えば、一時的に人を眠らせる魔歌。失った記憶を思い出させる魔歌。感情を変化させる魔歌など、たくさんあることを、本を読んで知った。でも、それには技術と強い魔力が要り、簡単にできるものではない。

 魔歌も普通の魔術もだけど、人によって、ある程度魔力を持っていても、できるものとできないものがある。

 そして、今回歌うのは、翻弄されている薬の解毒をして、サラサの想いを届ける…みたいな魔歌。薬の解毒ができなくても、サラサの想いが届けば、きっとウォーテルさんを元に戻せる…気がする。

 上手くいくかどうかは分からない。初めて歌う魔歌だし、できる魔歌なのかできない魔歌なのか、怪しい。それでも、今回の秘策ではあたしの魔歌が大事になってくるわけで、かなりのプレッシャーである。


「皆さん今ですわ、走って!」

 水を汲んでいた少女がいなくなったのを見計らって、サラサが合図を送った。一斉に、真ん中の井戸に向かって全力疾走。

 井戸は大人2人でも、余裕なスペースがあった。ということで、飛べる2人の妖精お供に抱きかかえられ、暗くじめじめする井戸の中へと入っていた。


 暗闇の中、バランスを崩しながらも井戸の中についたが、真っ暗で何も見えない。冷たい水がひざの位置で流れてて、体に堪える。

 マーロンがカンテラを持っていなければ、先に進めなかっただろう。カンテラの淡い光で、水路をどんどん進んでいく。この先の岸に上がれば、牢屋にいけるのだが…。

「ほへ?行き止まりじゃん」

 岸に上がって少し進むと壁に激突した。行き止まりで先に進めそうではない。でも、他に曲がる道なんてなかった。壁に近づいて、触ってみる。

 ざらざらした土の壁。でこぼこしていて、かなり脆い。仕掛けがないかと周辺を触るが、何もない。

 あたしは「どうする?」と肩をすくめた。サラサも困った表情で、コテツ君を見つめる。

 視線を感じたコテツ君はどこからともなく、巾着袋を取り出した。何かが入っているみたいだけど…?

「それはなんですの?」

「まぁ、見ていて下さい」

 コテツ君は汚れた巾着袋をあけ、ヒレでひとすくい、中から砂を取り出した。きらきら光る赤っぽいその砂を、壁の真ん中のほうにかけた。

 すると、驚くことに土の壁はサーっと音を立て、穴を開けた。声を出す暇もなく、コテツ君に促され、穴を通り抜けた。赤い砂がかかった部分だけが穴が開いて、ぽろぽろと崩れながら形を保っている。

 通り抜けて、お忍びように着たマントの埃を払う。その間に、穴はだんだん小さくなり、元通り壁に戻った。

「さっきのはどうやったマロ?」

「僕も原理は知りません。でも、ここを通るときに使えって、兵士さんに渡されました。

 この壁にかけたら、壁の土が反応して、一時砂になって崩れるんですね…ここは?」

 説明してから、コテツ君が辺りを見渡した。それにつられて、あたしたちも見渡す。

 ずっと並ぶ柵。これは牢獄だ。あたしの視界に入る牢獄の中に、誰も入っていなかった。と思った。

「お、お兄様…」

 サラサがすぐ左の牢獄に近寄った。その牢獄の奥で、壁に寄りかかって、あぐらをかいて座るウォーテルさんの姿。破れて汚れたぼろぼろのスーツを着て、サングラスはつけていなかった。前見た、涼やかできりっとした瞳は以前と違い、濁り虚ろとしている。顔面蒼白で、疲れきっていることが分かった。

「お兄様、わたくしです!サラサです!」

 柵にしがみつき、必死に訴えている。

「サラサ様、お静かに!気づかれてしまいます。落ち着いて下さい!!」

「でも、だってお兄様が…!」

 崩れ落ちて、震えるサラサ。しきりに「お兄様」と繰り返している。隣でコテツ君がうろたえている。ウォーテルさんは身動きしない。

「マーロン、柵を壊して!」

 マーロンはあたしの指示を聞き、すぐさまリストバンドを外す。柵をぐっとつかみ、歯を食いしばって力を込める。

 グニャっと変形した柵の隙間から、マーロン、サラサ、コテツ君、あたしと中へ入る。

「お兄様、しっかりなさって」

 サラサがウォーテルさんに手を伸ばす。

 ”パシッ”

 伸ばした手はむなしくも拒否されて。

 拒否された手をもう一方の手で覆い、目に涙を溜めるサラサ。目にかかる髪の隙間から、妹を睨むウォーテルさん。

「どうして…?」

 震える声でサラサが兄に問いかける。

「俺は…あなたを…守りきれなかった。俺は…あなたたちを、裏切ったんだ…。ロベルの手下となり…俺を切り捨てた水の王国を…。違う、でも…いやっ、くっ!!」

 ウォーテルさんは途切れ途切れで心境を語る。しかし、頭の痛みでサラサを拒否した手で頭を押さえた。

「お兄様、大丈夫ですの!?」

 もう1度手を伸ばす。しかし、「触るな」と言うように、ウォーテルさんが空いている手を振り回す。

「近づくな、近づかないでくれ!」

 尚も手を振り、叫ぶウォーテルさん。

 そんなウォーテルさんをサラサがふいに、優しく包むように抱きしめる。驚いて、動きを止めるウォーテルさん。サラサが囁き、話しかける。

「お兄様は何も悪くありませんわ。魔力が備わっていなかったのも、じいやに利用されたのも…。わたくしをずっと守ってきてくれたじゃありませんか。守りきれなかったなんて、そんなことありませんわ?」

 サラサが背中に回した腕をきつくしめる。その行動に、体をびくっと震わせたウォーテルさん。しかし、それでももがき、サラサを引き剥がそうとする。

「うそだ、うそだ!だって、俺は…!」

 暴れだすウォーテルさんを必死に抱きとめるサラサ。体を叩かれても、引っかかれても、絶対に離そうとしない。

「マレーヌ、早く魔歌を歌うマロ!2人とも危ないマロ!!」

 マントの裾を引っ張り、急かすマーロン。こくんと頷き、深呼吸する。そして、もう1度深く息を吸い込み、ウォーテルさんへ向けて魔歌を紡ぐ。


 ~どうして 悲しい顔をするの

  泣かないで 笑顔が見たいよ

 

  心に溜め込んだ水が あなたの頬を濡らす

  止まらなくなっちゃったんだね

  いいよ カラカラになるまで 全部流しても


  僕が全てを受け止める 思いっきり声をあげて泣いて

  あなたの水はとてもきれいだ

  全て流せば 清らかな川になって 輝く海となるよ


  いつも傍で見守ってくれた 傍にいてくれたのに

  いつの間にか 溢れるほどになった水

  気づかなくて ごめんね


  だから

   

  僕が全てを受け止める いつどんなときでも

  あなたの傍に僕がいるから

  僕を守ってくれるあなたを 僕が支えるから


  泣いていいよ 笑顔になってくれるなら~


「サラサ、ありがとう」

 感謝する兄の声。


 涙を流すウォーテルさんの姿。サラサに寄りかかって、泣いていた。

 サラサの左目から一筋の涙が頬をつたっていた。

 コテツ君は唇をかみ締めて、穏やかな表情で兄妹を見つめている

 隣でマーロンは腕で顔をぬぐって、笑いかけてくれた。

 あたしは瞬きして、笑い返した。目の端で涙がはじけた。





 どうでしたか?



 ウォーテルさんが…戻ってくれたぁ(泣)



 最後の一人一人の泣き、に力を入れてみました。頑張りましたぁ!




 コメなどお待ちしております~!!


 最後まで読んでいただきありがとうございましたペコ



 次回もよろしくお願いしますペコペコ

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