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第9話 小さき供のせつなる想い

 やぁっとテスト期間が終わりました!!ふぅ。。。



 更新が随分遅れてしまい、本当に申し訳ないです…。





 今回はあの人の目線で、お送りしたいと思います!!





 どうぞごゆっくり♪




「…レーヌ、マレーヌ」

 誰かがあたしの名前を呼ぶ。ここはどこ?

 肩まで掛けられた布団。あたしを覗き込むお供の顔。

「マーロン?マーロン!!」

 ぱっと起きて、そのまま抱きつく。。

「マレーヌ…」

 マーロンも優しくあたしの名前を呼び、穏やかに微笑む。あたしは、涙混じりに声を出した。

「良かった、良かったぁ!!」


 ぼんやりとだが、あたし達の身に起こったことは思い出せる。マーロンはウォーテルさんに殴られて、気を失った。死んじゃったのかと思った。


「マレーヌも無事でよかったマロ」

 ほっとしたように、マーロンも声を漏らす。ぎゅっとお互いの存在を確かめ合うように抱きしめる。温かい体温が伝わってきて、今までのことも少し忘れることが出来た。

「マーロン、あたしはどのくらい寝てたの?」

 あたしはマーロンを放して、尋ねた。

「えっと…3日マロ」

「3日も!?その間に何かあった…?」

 あたしが眠らされた次の日に、土の国へ出発すると放送で聞いた。

「長くなるけど。ちゃんと聞くマロよ?」







 マーロンSide


 目が覚めた。体を起こそうとするが、腹部に痛みを感じた。うっと小さく声を漏らす。寝たまま、あたりを見渡す。ここはオイラたちの部屋だ。オイラは棚に置かれた小さな籠の中にいるみたい。

 ベッドには、マレーヌの姿。眠っているようだ。しかし、窓の外の水中は明るい。今は何時だろう。

 時計の針は3時を過ぎている。


 確かオイラは…。図書室でマレーヌが大急ぎで出て行って、ついて行ったら、放送で土の国との対談が決まって、喜ぶことなのにマレーヌが泣き出して、ウォーテルさんが現れて、無理矢理マレーヌを引っ張るから、引き離そうとしたら殴られたんだ。

 なぜ、殴られたのだろう。計画を知らないからって殴られた。計画って何のことだろう。マレーヌはものすごく焦っていた。そしてマレーヌはあの後、どうなって今この部屋で寝ているのだろうか。


 今までの経緯が全く分からない。ここで、誰かが座っていることに気がついた。

「サラサ様…?」

 椅子に座って俯く少女。オイラの声にハッとし、駆け寄ってきた。

「まぁ、マーロン起きたのね!?良かったですわ~」

 オイラの顔を覗き込んで、安堵の声を漏らす。

「あの、一体何が…?」

「えぇ、レッスンの時間が迫ってるのに2人が来ないから、ウォーテルに呼びにいってもらったの。ウォーテルも遅いから、わたくしが見に行ったら、2人とも気絶していて…。 

 ウォーテルが来たときは既に2人とも倒れていたんですって。何があったの?何者かに襲われたんじゃなくって…?」

 サラサ様は少々、違うが状況を説明してくれた。マレーヌも気絶していた…。どうして!?まさか、ウォーテルさんに何かされたのだろうか。しかし、それをサラサ様に聞くことは出来ない。

「オイラも混乱してて、よく分かりませんマロ」

 とりあえず、そう答えておいた。サラサ様にウォーテルさんに殴られましたなんて、口が裂けても言えない。

「そうですの…。でも、無事でよかったですわ!!マーロン、あなた殴られた痕があるって聞いたけど、痛む?」

「かなり、痛みますマロ…」

 ここは正直に言っておいた。それに、背中も打ったみたいで、少しながら痛みを感じる。

「本当!?医者を呼んでおくから、手当てを受けてくださいね?」

「あの、マレーヌは殴られた痕とかあるマロか!?」

 オイラは自分のことより、ベッドで眠る主人のほうが気になった。静かに寝息を立てるマレーヌ。そんなマレーヌが殴られたりしたら、とんでもない。オイラはお供失格だ!

「マレーヌは、危害を加えられた形跡はないの。でも、薬剤みたいなもので内面をやられたようなの。それで、気を失ったみたいで…あっでも今は、眠っていますわ?」

 薬剤で気を失い、今は眠らされている。本当に大丈夫なのだろうか…。

「今のところ異常はなくってよ!?」

 サラサ様が気遣ってくれたのか、安心させてくれるように慌てて言った。

「そうマロか…。ウォーテルさんに会うことは出来ますか?」

 きっと、マレーヌを眠らせたのはウォーテルさんだと確信して、会えるかどうか聞いてみた。

「明後日の対談の準備があって無理ですわね…。明日、出発ですし、その放送は聞きまして?」

 どうしても会って、何をしたか聞きたかったけど、無理なら仕方ない。オイラはサラサ様の問いに頷いて、話を聞いた。

「緊急だったから、今日中にやらなきゃならないことがたくさんあるんですわ。だから、今日も明日も会えないかも…」

 サラサ様が言葉を濁した。オイラも、何も言うことは出来ずに黙り込んだ。


 一体、マレーヌに何があったのだろう。


 


 サラサ様はついさっき帰っていった。明日の出発式に参加するかと聞いてきたが、オイラは遠慮した。マレーヌの傍から、一歩も離れたくなかった。

 お医者様も来て、オイラの腹回りに包帯を巻いてくれた。起き上がるとき身がよじれるほど、痛かったが、そのおかげで少し動けるようになった。と言っても、そう簡単には動けない。だから、結局出発式には参加できなかっただろう。

 そして、お医者様はマレーヌの様子も確認した。しかし、何故こうなったのかも、これからどうなるかも分からないと言って、部屋を後にした。異常があれば、呼んでくれと言ったが、多分頼りにはならないだろう。

 

 スヤスヤ眠るオイラの主人。寝息はオイラを落ち着かせ、優しい表情はオイラを苦しめるのであった。





 ~翌日~

 結局、マレーヌは昨日、目を覚まさなかった。オイラもいつの間にか眠っていて、時計の針が9時半を指していて驚いた。寝ている間マレーヌはまた汗をかいていたみたいだ。心底心配しながら、汗を拭いてあげた。

 朝食を食べるて、何もすることもなく、ひたすらマレーヌを見つめていた。早く目を覚まして、活気ある姿を見せてほしい。


 こうなってしまったのも、全てオイラのせいだ。お供として、守らなくてはいけなかったのに。怖くなんてなかった。体を張りたかった。しかし、こんな小さな妖精では反応も遅く、リストバンドを外さないと力を発揮できない。自分が人間であれば、しっかりマレーヌを守れるのにと思う。それに…。


 謝罪の気持ちとして、ウォーテルさんを問いただしても良かった。でも、それは違う。ウォーテルさんに会う事だってできなかったし、仮に問いただしてもきっとマレーヌはそんなこと望まない。


 

 おてんばでハチャメチャだが、自分の思いより他人を優先する。とても優しいマレーヌを思い出すと、自然と笑みがこぼれる。懐かしく思い、胸が引き裂かれそうにもなる。守ってあげたいのに、頼りないお供として見られる。


 マレーヌのことを思うと、いつだって胸がきゅうくつに・・・切なくなるんだ。

 


 マレーヌから視線を時計へと移す。出発式まであと少し。王様達は既に城を出て、出発を待ち構えているだろう。

 最後に、ウォーテルさんに話を聞くべきだったと後悔するのであった。





 この日、夕日が山に姿を隠す頃、事態は急変した。

 街からの買出しを済ませ、城に戻ってきた。すると、城中のメイドや家来達が騒がしく走り回っていたのだ。1人のメイドに聞いてみると、

「王様達が襲撃されたんです!!! 土の国近くの森で!!」

 と言って、慌ただしく走り去っていた。

 王様達が襲撃された!?情報が少なすぎて、何が何だか分からない。慌しい状況に動揺するしかなかった。


 部屋に戻り、買ったものを置いて、マレーヌの様子を確かめる。マレーヌはまだ起きていないし、起きる気配もなかった。

 大丈夫なことを確認して、コテッチの元を尋ねることにした。しかし、部屋にコテッチはいなかった。

「マロッチ!!探したよ~~!」

 戻ろうとしたオイラ。そんなところにコテッチが来たのであった。

「コテッチ…何があったマロか!?」

「襲撃についてこれから報告があるんだ!急いで!!!」

 返事をする暇もなく、コテッチの後に続く。よほど急いでいるのか、コテッチは珍しく飛んで移動している。コテッチはアザラシの妖精だから、飛ぶより地面を這うことを好む。這うより泳ぐ移動法を好み、普段は飛んで移動はしない。でも、飛んだほうが速度はかなり速い。


 ズンズン進む、コテッチについていき、地下1階のホールに到着した。地下1階はその階、全てをホールとして、パーティ会場として使っているみたいだ。そこで報告するのだから、溢れるばかりのメイドや家来がいた。コテッチはその上を堂々と飛び越え、会場の隅で立ちすくむサラサ様を見つけ降り立った。

「サラサ様、マロッチを連れてきました!!あっ、まだ始まっていないんですね」

 コテッチが少し安心したように言った。

「もう少しですわ。…突然のことで情報が少ないんですって…」

 とても不安げな表情。自分の家族が襲われたのだから、不安でいられないはずがない。

「情報省が手を尽くしているらしいけれど、あっ!」

 言いかけて、誰かを見つけたようだ。人だかりを掻き分けて入ってきた、眼鏡の男性。たくさんの資料を抱えていることからして、サラサ様の言っていた情報省の1人か。

「皆さん、静かにしてください!!現状報告をいたします」

 講壇に立つ男性。一斉にこの場は静まり返る。

「本日、土の国へ出発した王様一行の乗車した馬車が襲撃されました。

 場所は土の領地の前のエール森で、午後5時43分。王様、他の方たちの安否は不明。

 襲撃者は馬にまたがった数十人のグループ。武装をして、剣や弓、銃を所持していたもよう。」

 額から汗を流し、ずり落ちる眼鏡を何度も直す情報省の男性。メイドや家来は騒ぎまではしないが、不安感や緊張感にさいなまれて、落ち着きない。

 サラサ様は話の途中で口を手で覆っていたが、報告を終えた今は目をきつく閉じ、祈りのポーズをとっている。隣でコテッチが落ち着かせようと、懸命に言葉をかけている。

 不穏な空気の中、1人の女性がホールに入ってきて、男性に紙を渡す。

「あ、新たな情報が入りました、王様達の安否確認についてです!」

 サラサ様がパッと顔を上げる。王様達は無事なのだろうか!?

「ま、まず、王妃様。背中に弓が刺さり、全身に小さな切り傷。命に別状はないようですが、意識不明。メイド3人は軽傷。兵士5人のうち2人が軽傷、1人が重傷。


 王様と補佐・ロベル、ボディーガード・ウォーテル、兵士2人は襲撃者に拉致された様子。


 負傷者は近くの村に保護され、治療を受けています。拉致された方たちの現状は全く不明」

 ホール内が一気にざわついた。サラサ様は泣き崩れてしまった。「父上、母上」と呼びながら、大粒の涙を流している。

「現状はほとんど分かりません。報告はこれからも続けていきます。各自仕事に就いてください」

 ざわつく人たちに情報省の男性が声を張り上げた。聞こえたのか、聞こえていないのかメイドや家来はまだその場をオロオロしている。情報省の男性に、大臣やメイド長などが加わって、この場にいた人たちが自分の仕事に戻った。

 残ったのは情報相の男性と呼びかけにあたった位の高い人たち。

「ではこれから、緊急会議を開かなければなりません。いいでしょうか?」

 情報省の男性が顔を見回した。みんな同意して、ホールを出て行った。サラサ様もメイド長に連れられ、会議に向かった。



 オイラはおずおずと部屋に戻った。なんでこんなことになってしまったのだろう。

 

 それでも、オイラはマレーヌを守ることを第一に考えないと。

 大好きなオイラの主人を、大好きなマレーヌを守りぬくんだ。


 



 

 どうでしたか?


 マレーヌが眠っている間、とんでもない事態になってしまいました。



 

 初めて、マレーヌ以外の視点で書いてみました!


 私、実はマーロンが1、2を争うぐらい好きなキャラなんです!!


 今回はマーロンの複雑な心情も混ぜ込みながらの第9話でした!!





 最後まで読んでいただき、ありがとうございましたペコ




 指摘&感想お待ちしてます~~!!(がんばって更新率あげたいです!)


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