題6話 翌朝
更新がたいぶ遅れてしまいました。本当にすみません(汗)
学生っていろいろ忙しいですね)))言い訳…
どうぞごゆっくり♪
いつの間にか眠っていたあたし。マーロンに体を揺さぶられて目が覚めた。身支度をして、朝食を食べに1階へ向かった。
朝食もバイキングだから、適当に食べ物を取り分ける。そして、窓の外を眺めて食事をする1人の少女の下へと足を速めた。
「サーラサ、おはよ♪」
腰をかがめて、元気よく挨拶をした。うつろな目も、瞬時にして輝きを取り戻す。
「マレーヌ、マーロン、おはようですわ」
明るく振舞っている。あたしはすぐに感じ取った。マーロンも挨拶を返す。続けてあたしが、
「隣座っていい?」
笑顔で聞くと、サラサも笑顔で答えた。でも、どこか笑っていないような気がした。
「今日は王様達と一緒じゃないんだ?」
いつもなら、王様や王妃様たちと中央のテーブルで食べている。しかし、今日は1人のサラサだった。
「父上と母上は昨日の会議でお疲れになったらしいの。だから今日は、個々でお食事をするのですって」
サラサが緑茶をすすった。あたしはパンをほうばりばがら頷いた。
「大変マロね~。会議でどんな話をしたか知ってらっしゃるマロ?」
「少しなら…。土の国との対談について、議論したそうですわ。いろいろ話すことがあるみたいで。土の国とも和解しなくちゃいけませんからね。でも、まだ決定していないそうですわ」
サラダを丁寧に食べながら、サラサが説明する。そういう会議だったんだ。どおりで昨日の夜、あたし達しかあの階にいなかったわけだ。
「なんといっても、土の国は科学者ばかりで、他国の力を借りずに自分達でやっていけると言い張っているそうで。他国との交渉や取引、対談には応じない事で有名なんですわ。だから、そんなことをしても、無駄だと言う意見が半数あるんですって」
「なかなか進んでいないみたいマロね」
「そうなんですわ。だから、また今日も会議らしくて、大変そうですわ」
2人が難しそうに話をする。他国との付き合いって難しいのね。特に、小国との付き合いが難しいって勉強したような。
「まっ、あたし達はその結果を待つだけだし。気長に待ってましょ~!」
もう難しくて、込み入った話はおしまい。サラサに元気になってもらう為に来たんだから。もっと楽しい会話をしなくちゃ!
「ところでサラサは、いつも何やってるの?」
水の王国に来たものの、図書室にこもりっきりで、サラサがどんなことをしているのか気になった。
「私は、そうですわね…。お勉強やレッスンかしら?もちろん自由な時間もたっぷりあってよ」
「レッスンってどんなことやってるの?あたしは魔歌ばっかりだったな、アハハ」
魔歌ばっかりと言うより、魔歌以外やる気がなかったからね~。魔歌以外は、ピアノとか社交ダンス、手芸に料理とか?どれも退屈で、そのことを周囲は知っているので、レッスンは魔歌中心となっていた。
「ええと、お琴、舞踊、茶道に華道に書道などかしら。」
サラサは指折り数えて、楽しそう。
「ハープも始めたった聞いたけど??」
「えぇ、そうなの!いつか、豊水のハープを弾けるようにと、レッスンを始めたんですわ」
「「豊水のハープ??」」
あたしとマーロンの声がはもった。
「うふふ。豊水のハープは枯れた地に恵みの水を湧き上がらせる、素晴らしいハープなの。それを弾けるのは極わずか。だから、弾けるように頑張ってるんですわ!!」
サラサが意気込む。
「まぁ、どの魔歌も楽しくってよ」
「ふーん、レッスンが楽しい。あたしは魔歌以外、退屈で退屈で…」
苦笑い気味に言った。それを聞いたマーロンが、
「ほんとマロ!マレーヌときたら、レッスン前は駄々こねたり、脱走したり…。レッスン中もあくび連発、ブーブー文句言って、先生方も呆れてるマロ」
とあたしのレッスン中の態度についてべらべら話す。サラサはあららと、少し驚いている。
「うぅ。でも、魔歌のレッスンは頑張ってるもん!」
あたしは負けじと言い返す。しかし、
「魔歌のレッスンだけマロね」
マーロンに痛いところを突かれた。その光景を見たサラサが優しくこう言ってくれた。
「ふふ、1つだけでも夢中になれることがあればいいと思いますわ」
「だよね、だよね!あたし、魔歌上手になりたいもん!」
嬉しくって、ついつい目を輝かせた。でも、
「他のこともしっかり出来たら、もっといいと思いますわ」
と言われてしまった。そのとおりなんですけどね!
「ねぇサラサ、あたしサラサのレッスン見たいな」
冗談で言ってみた。
「構いませんわよ?今日は昼食後にお琴のレッスンがありますわ」
「やったー!」
って、んん??
「ええ、本当にいいの?冗談で言ったのに…」
「いいのよ?マレーヌがレッスンを好きになってもらえるきっかけを作れるんですもの」
冗談だったけど、サラサが頼もしく言ってくれたから、見学しちゃお!
「レッスンは1時半からですから、10分前にお部屋に呼びに行きますわ。そうだわ、レッスンだけじゃなくて、お勉強も見ない?あぁ、一緒にやればいいですわ!」
「い、いや…」
「いい提案マロ!マレーヌは、レッスンより勉強の方が出来てないマロから。うんうん、そうして下さいマロ!!」
サラサの提案にマーロンはすっかりその気。勉強なんて、レッスンより嫌!!
「えっと、まだ調べることがあるから~。レッスンだけでいいかな~」
「そんなことな…ふがっ!?」
口を滑らしそうなマーロン。また余計な事を言いそうだったので、慌てて口を押さえてあげた。
「あははは!10分前に部屋に呼びに来てくれるのよね~?」
冷や汗たらたらのあたし。半信半疑だが、優しい表情のサラサ。分かってくれたみたい。
だが、その顔は一瞬にして青ざめて、悲しい表情へと化した。表情の変化に、サラサの視線を追う。楽しそうに会話をしながら食事をするメイド、きびきび食事をする家来、食べ物を選んでいく人の列。その間をぬって、こちらに近づいてくる人影。
「ウォーテル…」
サラサの執事であり、唯一無二の兄である、ウォーテルさん。昨日の口論から、サラサは立ち直っていないみたい。ふるふると小刻みに体を震わせている。ウォーテルさんは…どうなのだろう。
「姫、もうすぐお勉強の時間になります」
いつもの冷静な態度。サングラスに隠れている瞳。昨日は寂しくて悲しい瞳をしていた。今どんなことを思い、妹の前に立っているのか。
「…コテツは?」
「あぁ、そういえば、コテツが2人に話があるって言ってましたの。コテツは私の部屋で待っていますわ。じゃあ、お勉強の時間だから…」
名残惜しそうに、スッと立ち上がる。食器の並んだトレーを取ろうとすると、ウォーテルさんが、
「自分がお持ちします。行きましょう。マレーヌ姫、マーロン君失礼しました」
トレーを持って、サラサの後に続く。どことなく寂しそうな背中に見えた。ウォーテルさんもサラサも。
「マレーヌ、大丈夫マロよ」
マーロンがあたしの様子に気付いて声を掛けた。
「うん、ありがと」
「それにしても、コテッチはは何の話があるマロか?」
「そうねぇ、コテッチじゃなくてコテツ君」
マーロンはコテツ君といつの間にか仲良くなっていた。だから、コテツ君をコテッチと呼んでいる。
「と、とりあえず、部屋に戻ってからね」
コテッチと呼んでしまったあたしに、マーロンがにやっと笑ってきたので慌てて言った。
コテツ君はあたしたちに何を話す気だろう??
どうでしたか?
次回もお楽しみに♪更新率上げられるように頑張ります。
最後まで読んでいただきありがとうございましたペコリ