第4話 マリア・ピアニコを調べましょう
何も言うことはないかもですww
ごゆっくりどうぞ♪
地下4階 図書室
「へぇ~結構広いんだぁ。図書室なんて久しぶりに来ちゃった~~」
「ってゆうか、マレーヌが本読んでる姿見たことないマロ」
「失礼ねぇ!あたしだって読んでるわよ。『ストロベリーPOP』」
「それは雑誌マロ。文字がびっしり入った活字の本、読んだことあるマロか??」
マーロンがズバリという顔をあたしに向ける。ちなみにストロベリーPOPとはファッション雑誌で、あたしの愛読雑誌。
「べ、別に~。じいやさん居るから急いで!」
話を逸らし、じいやさんの元へ急ぐ。じいやさんは分厚い本をテーブルにたくさん重ね並べていた。あたしの中指くらいの分厚さだ!こんな本を読めって言うの!?読む前から頭痛が~。
「おぉ。マレーヌ様、マーロン君。丁度、呼びに行こうと思っていたところじゃ」
「良かったです。これ…全部読めばいいんですか?」
「そうじゃ。しかし、わしが探したのはこれだけなんじゃ。すまんのう」
じいやさんが謝る。嫌々、謝らなくても!これだけあれば充分過ぎますから!!
「かなり分厚いマロね。マレーヌの集中力でどれだけ読めるマロか…」
マーロンめ!言いたいことはとにかく言うんだから!後でこらしめてやるわ。
「まぁ、じっくり読めばいいわい。本は片付けずにそのまま置いてもよいはずじゃ。では、わしは仕事に戻りますの」
「ありがとうございます。時間もとってもらって…」
「いいんじゃよ。こんな老いぼれが役に立てて嬉しいぞ」
じいやさんはそう言い残し、図書室から出て行った。
「さぁ、手分けして読むマロ」
「じゃあ、あたしこれ~」
あたしが手にしたのは『世界を支えた偉人たち』という、中でも薄めの本。
「薄い本を選んだマロね。まぁ、最初は慣れマロ。がんばって読むマロ~」
マーロンが選んだ本を見るなり、皮肉混じりに言った。ムッときたけど、聞こえないフリをして、マリア・ピアニコのページを開く。
マリアのプロフィールに、生まれてから亡くなるまでの出来事。初めのページにはマリアの挿絵が載っていた。実際の顔は分からないけど、可愛いのよね。
腰まで伸びる金髪を靡かせて、苦しむ人々に魔歌を聞かせる。そして、何も言わずに去っていく。と言うのがあたしのイメージ。
とにかく、読みましょうか。
~マリア・ピアニコ
風の王国の血筋。127代目の王の次男がマリアの父にあたる。王位継承はしていない。
風の王国の情報大臣の父の元、不自由なく生活をしていた。マリアは末っ子であり、姉が2人、兄が1人がいた。
幼少の頃より、魔術の訓練を受ける。素直で穏やかな心の持ち主だったといわれる。そしてその頃から、強大な魔力を身につけていた。
学校には通わず、王家直属の家庭教師から教育を受ける。成績は優秀。好奇心から多くのことを学び、記憶力に長けていた。
12歳の頃、魔歌に興味を持つ。その頃には大抵の知識を身につけ、魔術を操ることもできた。歌に魔力を混ぜ込ませるという、現代でも高度な魔術である魔歌。その魔歌を数年の歳月を経て、強大な魔力と共に身につけた。
魔歌の練習を行っていた15歳の頃。思いもしれない事が世界で起こった。大不幸の年とも言われた年に起こった悲劇の戦。4年間も続き、多くの民の命を奪った、魔術大戦争。大不幸の年に起きた、伝染病の流行、大災害、権力争い、民の不満から悪循環を生み戦争になったのである。そして、権力を持った国が小国を支配し、土地がなくなると、他の国とぶつかり合い、大勢の命を奪うものまで発展した。
マリアは王家のものとして、家族と共に安全な地で終戦するのを待った。その間もマリアは魔歌の練習に励み、希望を捨てなかった。戦争の反対者で、終戦を訴え続けたと言う。
そして4年間の激闘の末、魔術大戦争は終戦。各地は焼け野原と化し、幾多の命が亡きものとなった。生存者も心身ともに深い傷を負ったのだ。復興を始めるものの、順調に進まなかった。
月日は過ぎ、新たな1年を迎えたある日。20歳となり、大人の仲間入りを果たしたマリア。魔歌を我が物とし、人々に希望を与える為、マリアは世界各地をまわる旅に出た~
ここまでが、マリアが旅に出るまで。あまり知らなかったことばかりで勉強になった。でも、これといった情報はない。きっと、旅に出てから何かあるに違いない。
~マリアの旅は困難の連続であった。世界を渡り歩くのはかなりの時間を費やし、小さな村から大きな街までも旅をした。それに、簡単に受け入れてもらえず、交渉を重ね、魔歌で人々を癒した。国の中心部には伝説の魔歌を納め、人々にあがめられた。
旅をしている間、マリアの魔力はどんどん強くなっていったという。魔術を使っても疲労が出ず、最高ランクの魔術や、王家の者でないと使えない,風以外の属性魔術を使えるようになっていた。
素晴らしい成長を遂げ、地上の国を旅し終えたマリアは、空の王国にも身を乗り出した。戦争被害の薄かった空の王国は、文明が遥かに進んでおり、マリアの興味を引くものばかりであった。
そして、マリアは空の王国から幻の大地へ行くと決意した。幻の大地には光と闇の王国があり、そこが世界の原点だと言う説がある。その原点への行き方法を発見した空の王国だが、未知の領域へ踏み込もうとする者は誰一人として居なかった。
決意したときのマリアは20代とまだ若く、幻の大地へ行くことを誰もが反対した。しかし、マリアは自分の理念を貫き通し、ついに幻の大地へと旅立った。
マリアは幻の大地へ旅立って、ひと月ほどすると何の前触れもなく、戻ってきたのだ。しかも原因不明の病にかかっていた。目は虚ろで、会話もままならない。寝たきりの生活で、3日目を迎えた朝、マリアは最後の息を吐き終えた。
こうして、世界最強の魔術師マリアは、『美風の歌姫』と呼ばれ、人々の胸に残っている~
”パタン”
「ふぅ~、つっかれたー」
ぐっと背伸びする。体全身が麻痺したみたい。目もショボショボする。たった数ページだけど、小さな文字を読んでいると疲れてしまった。
「やっと終わったマロか?マレーヌにしては読んだほうマロかね~」
マーロンに突っ込まれたが、何かを言い返す元気さえ無くなっていた。それにこればっかりは言い返せない。普段、本を読まないあたしがこれだけ読めば、すごいことよ。…たぶん。
「たいした情報はなかったよ~。知らないこともあったけど、知ってることばかり」
「こっちもマロ。どれもこれも変わらないマロよ」
「そっか。でもまだまだこれからよね!」
気合いを入れて、もう1度文字と戦うのであった。
☆ ☆ ☆
「起きてください…。申し訳ありません。利用時間が6時半までとなっております。借りる本があったら急速に」
頭の上で係員さんの声がする。本を読みながら。うとうとしていたので、ハッと我に返った。室内の時計を見ると、6時半ぎりぎり。
「ごっごめんなさい!マーロン、本借りる?」
慌てるあたし。マーロンは本を綺麗に並べて、
「借りないマロ。ここに置いたままでいいマロか?」
「構いませんよ」
あたしたちは係員の返事を聞き、急ぎ足で図書室を出た。
「いつの間にか、時間が経ってたみたいマロね!」
「本当!あたし、ちょっと寝てた…」
廊下を歩きながら話す。集中して読んでなかったから、本の内容があまり思い出せない。でも、思い出せないぐらいだから、内容に変わりは無いのだろう。結局あたしは寝ていた…。
「道のりは長いマロね」
マーロンがため息交じりに呟いた。あたしは呻いて、重い足で階段を昇った。
どうでしたでしょうか??
今回までは水の章の前フリ…そぉんなことはない!?
この4話で、マリア・ピアニコについて少しでも分かって頂けたらいいですw
そして、次話!!
物語がついに…
あわわ。これ以上言ったら駄目ですねw(言ってるようなもんですか?)
最後まで読んでいただきありがとうございましたペコリ
これからもよろしくお願いしますペコペコ