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プレイヤーとの戦い



 「おいおい!こいつは一体……」


 門の方向から聞こえた声。念の為、村人達には家の中で待機するように伝え、声の聞こえた村の門の方向へと向かった。


 「……お前か?村のモンスターを殺したのは?」


 門の傍には頑強な鎧で身を包んだ男が立っていた。アトランティスオンラインには自動翻訳機能が備わっており、若干の違和感を覚える発音からして日本人ではないことが分かる。


 「だったらなんだっていうんだ?」


 「はぁ?……あぁ、なるほど……お前初心者か。言われてみれば貧相な装備だもんな。」


 男は俺をバカにするような態度で貶した。


 アトランティスオンラインの職業には【上位職】というものがあり、通常の職業をレベル九十九にすることで転職可能になる。


 【上位職】はどれも尖った性能をしており、RPGのようなパーティーを組むくことが推奨されるゲームにおいて、尖った性能は味方と補うことで通常の職業以上の扱いやすさと利便性を引き出すことができる。


 だが、アトランティスオンラインではステータスの合計が千を超えることがないため、俺のように上位職に転職せずに遊ぶプレイヤーもすくならからず存在する。


 「お前の口ぶりからして、わざとモンスターに村を襲わせてたのか?何のために……。」


 「そんなことも知らないのか!?……まぁいい、教えてやる。この村は言わば実験場なんだよ。」


 「実験場?」


 男の口から出た非人道的な言葉に心がざわめく。


 「そうだ。NPCの挙動がおかしいのは、いくら初心者とはいえ気づいてるだろ?俺たちはNPCがどんな何をしたら、どんな挙動をするのかを調べてるんだよ。」


 男の放つ言葉全てが俺の神経を逆撫でる。


 「まぁ、今回は知らなかったってことで俺から上手くリーダーに伝えといてやるよ。お前、名前は?」


 「…………」


 正直な話、こいつらの気持ちが分からない訳じゃない。ゲームとして楽しんでいた頃の俺なら同じことをしていたかもしれない。


 「?聞こえなかったのか、リーダーに伝える必要があるから名前を教えろって言ったんだ。」


 けど、俺はリリィと出会い、今のNPCには心があることを知ってしまった。そんな彼らを実験と称してあんな目に合わせた目の前の男を許すことはできない。


 「……お前のその目。NPCには心があると本気で思ってる奴らの目だ。悪いことは言わないから、この世界でその目は辞めた方がいい。」


 こんな奴らに笑顔で接するなんてできるはずがない。例え、表面上でもやってしまえばNPCに……リリィに顔を向けできない。


 「はぁ……どうやら身をもって教える必要がありそうだな。」


 男はインベントリを開き、何も無い場所から左手に大盾を右手にロングソードを持ち戦闘の姿勢をとった。


 「お前も武器を構えろ。俺がこのゲームの厳しさを教えてやる。」


 俺も剣とバックラーを装備して構える。殺すためではない、自分の意志を固めるため男と戦うのだ。


 「【アジテーション!】」


 初めに動いたのは男だった。男は戦士の上位職【重装戦士】の専用スキル【アジテーション】を使った。効果は攻撃の強制を敵の攻撃がヒットするまで付与するというもの。【重装戦士】らしい受動的なスキルだ。


 「ッ……!!」


 【アジテーション】の効果により体が言うことを聞かず、俺の持つ剣の間合いまで距離を詰めようと足が自然と動く。


 (なら!)


 一瞬で剣と盾を装備から外し、【投げナイフ】を両手に装備して男に投げつける。【投げナイフ】は大盾により弾かれたものの、攻撃がヒットしたことにより【アジテーション】効果は切れた。


「【プロヴォーク!】」「【プロヴォーク!】」


 【プロヴォーク】敵単体のタゲを自身に集めるスキル。同時に発動した【プロヴォーク】はお互いが視線を外すことのできない状態を強制した。


 傍から見ると、一見大したことのない効果のように感じるが、障害物や足元、視界外からの攻撃などら、様々な弊害が発生する。


  (……今!)


 俺は剣とバックラーを再び装備して男に切りかかった。


 「キィィン」叩くというよりは撫でるように放った一撃は男の大盾に防がれ、嫌な金属音を引き起こした。


 「うるさっ……!!」


 大盾は名前の通り、胴体から下半身にかけて隠すほど大きな盾。防御に優れる代わりに取り回しの悪さと攻撃を防ぐ際の視野の狭さが弱点。


 「な……体が!」


 俺が男の視界から外れるよう、大盾の陰を右に回ると【プロヴォーク】によるタゲの強制が俺を視界に収めるため男の体を動かした。


 (ここ……!!)


 男が自分の意志に反して動く体に戸惑った一瞬を狙い、大盾のガードから外れるよう左に回り左脇腹から右肩に切り上げた。


 「待て待て待て!降参だ、降参!」


 攻撃を受けた男は瞬時に飛び退き、両手をあげた。


 「【戦士】の装備なんて付けてるから初心者かと思ったけど……あんた、初心者じゃないだろ。」


 「……お前と話すつもりは無い。」


 男たちがNPCに行っていることや、街の状況など聞きたいことは山ほどあるが、この男から得られる情報は信用ができない。


 「なぁ、待てって!俺だって好きで切りかかった訳じゃないんだぜ?今のアトランティスオンラインは危険だって教えてやろうとだな……」

 

 ……確かに。男の言う通り、プレイヤーの死と現実の死が=の現状、モンスターとの戦闘はともかく、プレイヤーとの戦闘は避けた方がいいだろう。何せ、アトランティスオンライン内での死を裁く法律がないのだ、中には平気でプレイヤーを殺す奴もいるだろう。


 「相手が俺だったからよかったけどよ。うちのリーダー……マモンさんには絶対にそんな態度をとるなよ。あんたが強いのは認めるが、マモンさんは強い上に手段選ばない、確実に殺されるからな。」


 「……そうか。」


 良い奴……ではないが、親切で教えようとしていたことは嘘ではないようだ。それにしてもマモン……か。俺の知っている人物ではないことを祈ろう。

 

 俺は男との戦いの後、村人たちと村にトラップなどを配置して、村のログアウト地点で現実へと戻った。

 

  


 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

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