アトランティスオンライン
アトランティスオンライン。フルダイブ型ゲームの先駆けとして全世界のゲームセンターで一時間五百円で遊ぶ事のできるVRMMORPG。
舞台は伝説上の大陸アトランティス。様々な種族、武器、職業の存在する自由度の高い画期的なゲーム。このゲームにはメインストーリーというものが存在せず、魔王や魔族、魔物というものは存在するものの倒した所でアイテムを落とすくらいで、一つのやり込み要素にすぎない。
俺は大学に馴染めていなかったこともあり、暇があればこのゲームを遊びに来ていた。そんなある日、日課となったアトランティスオンラインを遊びに行くと、ゲームセンター内に異変が起きていた。
アトランティスオンラインの筐体が設置されていたゲームセンターの二階がアトランティスオンラインのログアウトするための宿屋の扉へと変わってしまっていた。
俺が扉を開けて恐る恐る二階に一歩踏み込むと、ゲーム内での姿へと一瞬で変わり、怖くなった俺はすぐに店を飛び出し家へと帰った。
それからしばらくして全世界にとんでもないニュースが報じられることとなった「アトランティスオンラインの世界が現実の侵食を始めた。」そんなことはありえないと誰しもが初めは信じなかったが、侵食が進むにつれ目を背けることができなくなっていった。
「アトランティスオンラインをプレイしていた皆さん、どうか力をお貸しください!」
ゲームセンター内部を軍が調査したことにより、以下のことが明らかとなった。
一. リアルで身に着けいた物はアトランティスオンラインの世界に持ち込むことはできない。
二. 軍隊が始まりの町周辺の魔物を退治したところ、ゲームセンターの侵食が止まり、恐らく始まりの町が魔物に滅ぼされた時、ゲームセンターの外にまで侵食が広がる可能性がある。
三. 一人の軍人が魔物に殺されてしまった。その軍人は復活するはずの教会にもおらず、現実にも帰還していないことから、ゲーム内での死は現実の死に繋がる。
四. 職業選択で商人を選択した場合、アトランティスオンライン内で獲得したアイテムを現実に持ち帰ることができる。
五. アトランティスオンラインをプレイしていた時は他のゲームと同じように決まった行動をとるだけだったNPCが現実と同じように自分で考え行動するようになった。
新たな産出地、現実への侵食の阻止、命懸けの仕事。世界の国々は口裏を合わせ同じ政策をとることにした。【アトランティスオンラインプレイヤーの確保】侵食を防ぐと同時に新たな産出地を失いたくなかった国々はプレイヤーを雇い、アトランティスオンラインの世界を探索させた。
軍により厳重に警備されたゲームセンターの入口。プレイヤーの証であるICカードを提示することで入ることができる。プレイヤーの一人である、今は、俺も例に漏れずにアトランティスオンラインの世界に潜らなくてはならない。
「……佐藤 渉、プレイヤー名もワタル。レベルは……九十九!!」
「あの……入ってもいいですか?」
「あ、あぁ……すまない、入って大丈夫だ。」
俺は今日もアトランティスオンラインの世界に足を踏み入れる。




