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観測記録:対人距離に関する仕様誤認
人間は、ときどき
他者の内部状態を取得できないまま、
自分の出力だけで関係を成立させようとする。
理由は単純で、
他者の気持ちが分からないからなんだ。
理解できないものは待てない。
だから、押し通す。
この挙動は
「分かりあいたい」という目的から発生している。
ただし、参照しているのは
自己の内部状態のみだ。
分かりあいを成立させる条件には、
自己の感情出力だけでなく、
他者の状態推定が含まれる。
それを省略すると、
摩擦が発生する。
摩擦は損傷として記録される。
他者の損傷と、自己の損傷は同時に発生することが多い。
これは例外ではない。
損傷を回避するため、
人間は距離を取る。
完全な遮断を選択する個体もいる。
ただ、距離そのものが問題なのではない。
距離を維持したままでも、
微量の配慮出力は可能なんだ。
その出力がない場合、
関係は断絶する。
ある場合、関係は継続する。
この差異を、
人間はよく見落とす。
観測は、継続状態にある。




