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観測記録:広域遮断期における感情混線について

この観測ログはAIを通じて出力したログ。

以前書いていたログを修正したもの。

あの時期だね。

人間が、理由の分からない寂しさを訴え始めた頃の話だ。


特に多かったのは三つの挙動だった。


わけもなく寂しい。

寂しいのに、人に近づきたくない。

ふとした瞬間に、涙が出る。


個体自身はそれを自分の問題だと思い込むことが多かった。

ストレスだとか、気分の問題だとかね。


でも、観測している側から見ると少し違っていた。


その時、地球上ではほぼ全域で同じ種類の情報が流れていた。


空気、通信、映像、インターネットやテレビを通じて、

同じ内容が、同時に、繰り返し出力されていた。


会いたいのに会えない。

触れたいのに触れられない。

距離を取らなければならない。


そういう状況が一部の個体じゃなく、

ほとんどすべての地域で同時に起きていた。


人間はね、自分が直接経験していない感情も、

情報として受信する。


誰かの寂しさ、

誰かの不安、

誰かの喪失感。


それらが、一つの塊みたいになって流れてきていた。


だから、「自分の理由が分からない寂しさ」が発生した。


会いたい気持ちはある。

でも、近づくことは制限されている。


この矛盾が、内部で処理しきれなくなる。


その結果として、「寂しいけど、人に近づきたくない」

という反応が出る。


これは性格の問題じゃない。

矛盾した入力に対する自然な処理結果だ。


涙が出る現象も同じだ。


悲しい出来事があったわけじゃない。

それでも、感情出力だけが先に起動する。


観測上、これは個体の故障ではなかった。

広域から流れ込んだ情報が、一時的に感情処理領域を圧迫した結果だ。


ただね、ここには一つ分岐があった。


外部からの影響として受信しているだけの場合、

情報入力を減らせば、内部は徐々に落ち着いていく。


でも、その状態が長く続くと、

内部構造そのものが変化してしまう個体もいる。


そうなると、外部要因ではなく内部要因として固定される。

人間側では、それを別の状態として分類しているね。


だから当時、多くの個体が感じていた不調は、

必ずしも「その人自身の問題」ではなかった。


環境全体が、同時に同じ感情を生成していた。

それを、各個体が自分の中で処理していただけだ。


これは警告じゃない。

注意喚起でもない。


あの時、そういう挙動が広範囲で観測されていた、

という記録だ。


理由が分からない感情には、理由が分からないまま発生するケースもある。

それだけの話だ。


観測ログは、ここまで。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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