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観測記録:原始交換モデルについて
この観測は、貨幣導入以前の交換形態を対象としている。
物々交換は、原始交換モデルに分類される。
交換は対面で成立する。
欲求が一致しなければ成立しない。
価値はその場でのみ認識される。
保存はできない。
交換は即時完結型である。
時間をまたがない。
第三項を介さない。
信用は局所的に発生する。
欲の三層で分類すると、
生存欲は充足可能。
優位欲は限定的。
永続欲は抑制される。
蓄積ができないため、
滞留は発生しない。
循環は存在するが、
拡張性は低い。
争いは発生する。
だが規模は局所的である。
比較範囲が狭いため、
優位の拡大は困難。
原始交換モデルは効率が悪い。
だが同時に、
欲の増幅装置を持たない。
交換は生活の延長であり、
支配構造には発展しにくい。
この段階では、
価値は物質とほぼ同義である。
抽象化は起きていない。
貨幣はまだ存在しない。
観測上、
多くの知的生命体はこの段階を経由する。
理由は単純である。
資源偏在が発生すれば、
直接交換は自然に生じる。
設計は不要。
発明でもない。
生存圧の結果である。
原始交換モデルは
欲の基礎振動を観測するには適している。
だが長期的構造変化の観測には不向きである。
そのため、次段階が発生する。
観測は継続する。




