観測記録:記録核層構造仮説について
前に、記録核を単一体として扱うには無理があるんじゃないか、
という報告が上がっていたんだ。
残滓が発生する。
それでも個体識別は崩れない。
この二点が両立している。
単層構造では説明が難しい。
だから一部観測窓は、記録核を層構造体として仮定している。
仮説モデルは四層。
第一層、基底位相層。
これは個体識別のための最小単位なんだ。
再配分の際、この層が分離されない限り、
人格混線は起きないとされている。
前世参照とは無関係。
第二層、反応傾向層。
情動の内容ではなく、反応の傾き。
刺激に対する増幅率や減衰率。
ここは濾過されにくい。
第三層、経験圧縮層。
履歴そのものではなく、履歴の圧縮痕跡。
ここが主な濾過対象になる。
削減はされるが、完全除去は行われない。
第四層、残滓層。
濾過後に保持される微量成分。
これは不具合ではない。
位相安定のために保持されている可能性がある。
完全削除を行うと、再同期に時間がかかるらしい。
微量保持の方が安定する。
その方が運用効率は高い。
なぞると浮かぶ。
参照しているわけではない。
だが痕跡は圧縮されている。
この構造を採用すると、いくつかの現象が説明可能になる。
残滓共振は第四層の再活性。
位相参照は第三層の部分解凍。
記録核分配は第一層の分割と第二層の再配列。
ただし、中央はこの四層モデルを正式採用していない。
観測窓の一仮説にすぎない。
層が固定か可変かは未確認。
成長によって厚みが変化する可能性も示唆されているが、
確定データは不足している。
それでも一つだけ安定していることがある。
基底位相層が維持されている限り、
個体は自分を自分として認識する。
残滓があっても、
人格は崩れない。
崩れる事例は報告されていない。
観測は続いている。
層はまだ仮定のままなんだ。




