おまけ
あれからボクらは相変わらず三人で薄暗い通路を歩き続けていた。
「そういえば…」
ボクはひとつ疑問に思っていたことを思い出し口にする。
「キミたちは名前、あるのかな?」
「なまえ…?」
「ギギ…?」
どうやら名前すら分からないらしい。それもそのはず。ボクらは生体認識番号しか与えられてない。名前など元よりないのだ。
「これから呼びあう時、不便だから名前つけようね。」
少女はこくこく頷き、彼はよく分からないのか首をかしげたままだった。
「僕の名前はアイン。」
「あいんにぃ…!」
「ギ?」
腕に刻まれた数字。自分で考えた訳では無いが、この名前がボクにはしっくりきた。
「キミはフィアだよ。」
「ふぃ、ふぃあ…!」
「ギギギー!」
少女は嬉しそうに名前を口にしながら、くるくると手を広げてその場で回り続ける。
そして、彼が最後だ。
「キミはノイン。これからはこれがキミの名前だ。」
「のいん!のいん!」
「ギッ…。」
少しこそばゆいのか、恥ずかしそうに頭をかく。それをからかうようにフィアは悪戯にノインの顔を覗き込む。
ボクたちは故郷を出て、新たな名前を得た。血の繋がりのある正真正銘の家族。恐らくあの塔にも兄弟は居たのかもしれない。けれど、今はこの二人だけがボクの家族だ。
「何があっても一緒だよ。」
病める時も健やかなる時も。ボクらは先の見えない未来へと歩き続けていく。いつまでも。このミチが果てたとしても。




