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キミとボクと歩むミチ  作者: Lobelia sae


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5/7

ごばんえき

 数日ぶりのホームへと向かい、再びレールの上を歩き出す。少しだけ重くなった荷物を引きながら。レールの先をみると遠くに雲にも届きそうな高く伸びる建物が見えた。多分、そこが最終目的地になるのだろう。


「行こう。」


 今までは森や草むらだった風景がだだっ広い土の地面へと変わる。草木も生えておらず、風が吹くと砂埃が舞った。じりじりと日差しが強い。帽子があって良かったと、風で吹き飛ばないように深く被り直す。

 日中は暑かったのに、日が暮れると冷たい空気が漂い凍えるようだった。新しく調達した布団は隙間風が入らないようにしっかり体に合う。おかげで寒さにも耐えることが出来た。

 食事も早々に済ませて眠りにつく事にした。日差しが強くなる前になるべく距離をかせいでおきたい。隣を見ると、少女はもう眠りについているようで小さく寝息をたてていた。ボクに比べて、少女は温かい。その心地よい温もりに包まれながら、深い眠りへと落ちていく。


 翌朝、まだ陽も登らぬうちに出発する。少し肌寒いが、歩いていく内にそれも気にならなくなった。

 次第に朝日がのぼりはじめて、眩しくて目を細める。高い建物に重なるようにのぼり始めた太陽はやがて頂上へとたどり着く。その頃にはもう汗が出るほど暑さを感じるようになっていた。



 前の町を出てから二週間ほどが経った。見渡す限りの荒野の中に横に細長い建物が並んでいるのが見える。ホームらしきものも遙か先に見え始めていた。


「ボクたちがいた所に似てるね。」


 ホームに上がり、看板を見た。倉庫街。ボクたちのいた所よりも広く大きな倉庫が先が見えないほど並んでいる。倉庫ひとつひとつを見て回るだけでも時間がかかりそうだ。


『ナニヲオサガシデショウカ?』


 突然かけられた言葉に慌てて振り向くと、そこには人ではなく金属の筒状の何かが光を点滅させながら近付いてきた。あまりの事に言葉を失っていると、少女が近寄り声をかける。


「ごはんが、欲しいの。」


 ピピピッ!


 少女の言葉に反応して、再び光が点滅する。そして、その場でくるりと回るとこっちだと言わんばかりに動き出した。ボクたちはその後を追い、離れる度にクルクル回り光を点滅させる不思議なモノに案内を任せる。


『コチラ、ショクリョウコ。アンナイヲシュウリョウシマス。』


 倉庫の前にたどり着くと、そう言ってまたどこかへと移動していった。それにしても大きな倉庫だ。この中にどれだけの食料があるのだろうか。気になりつつも大きな扉を押して開ける。


ギィィ⋯。


 中は暗い。ランタンを点けようと荷物を漁ると、パチッとした音と共に倉庫内に明かりが灯る。人が入ると自動で明るくなるのだろうか。

 とりあえず、近くにあった大きな箱を引っ張り出し中身を確認する。中には手のひらサイズの四角いパックに入った柔らかい物体があった。水と同じように捻って開ける部分がある。口にしてみるとドロリとした水のような果実のような不思議な食感の物が詰まっている。味は果物の味でとても美味しい。

 ボクは少女にもひとつ渡して食べさせる。一口食べてみると、すぐに一気に飲み干す。どうやら気に入ってくれたようだ。

 早速、荷物の空いたスペースに食料を詰めていった。これなら場所も取らないし、たくさん持ち歩けそうだ。そう思い、今までよりも多めに詰めて込んでいく。


 一通り食料庫を漁ると、近くにあった小さな建物に足を運んでみる。倉庫と倉庫に挟まれた一階建ての小さな小屋。

 錆び付いたドアを開けて中を確認すると、どうやら休憩室のようなものだった。テーブルも床も埃まみれで、最近使われた形跡はない。とりあえず、二人で軽く掃除をして窓も開ける。少しの間、ここを拠点にするつもりだ。


「ここにも人はいなかったね。」


 窓から外を見ると、ボクたちを案内してくれた謎の物体がぐるぐると同じ場所を回っていた。ここの管理をしているのだろう。

 元々ここに人は居なかったのだろうか。それならこの小屋はなんの為にあるのだろうか。謎は尽きない。


「ねむ、い…。」

「そうだね。そろそろ寝ようか。」


 少女が目を擦りながらこちらを見る。ボクは考えるのをやめて、久しぶりの柔らかいベッドで眠りにつく事にした。



 朝になると二人で食事をとり、他の倉庫の中を見て回った。これだけ広い倉庫に何が保管されているのか、少し興味があったのだ。

 ボクたちがいたのは廃棄物を捨てる、ただそれだけの為の場所だった。使い物にならなくなった兄弟。そして、腐った食料や何かの部品。そんな中で辛うじて生きていたボクと少女。

 倉庫の箱を漁っていく。細い筒状の重いなにか。サイズの揃った小さな鉄の塊。大きくて黒くてピクリとも動かせない玉状のなにか。見ただけじゃ何に使うものなのか分からない。


 他に目ぼしい物もなかったので、また小屋に戻り長旅に備える事にした。あまり長くはいられないが、せめて疲れがとれるくらいは過ごしたい。

 あとどれだけ歩けば、終点へとたどり着けるのだろうか。今は遥か先に見える高い建物だけが目印だった。

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