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キミとボクと歩むミチ  作者: Lobelia sae


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4/7

よんばんえき

 眩しい陽射しで目が覚める。野宿だと朝日が目覚まし代わりになる。それにしても、鳥の鳴き声ひとつしないなんてどうなっているんだろう。


「うぅーん⋯。」


 少女が眩しそうに布団を頭まで被ってしまう。まだ眠たいのだろう。また起きる前に必要なものを取りに行って、ついでにもっと荷物を積み込める物があれば探してみよう。そう思い、眠りにつく少女と荷物を置いて村の中へと戻っていく。


 昨日探せなかった民家の奥までしっかり見て回ると、小さな車輪がついた四角いケースを見付けた。これなら荷物も沢山入りそうだ。取っ手を手にして歩くとケースがころころとスムーズに動いた。

 他にもなにかないか探すとピンク色のリボンが目に入る。一目で少女に似合いそうだと思った。他には特にめぼしい物もなかったので、もう一度お店にいき入るだけの水と食料を詰め込んだ。



 ホームに戻ると、少女はまだすやすやと寝息を立てていた。歩き続けて疲れていたのだから仕方ない。少女の隣に座り、少しだけ休憩する事にした。

 廃倉庫を出てからまだ数日しか経っていないのに、随分長く旅をした気分だ。足の裏はごつごつした小石のせいで皮が厚くなった。肌も陽射しで少し黒くなった気もする。歩きっぱなしの足も少しは太くなったのだろうか。


 少女が目を覚ましてから食事をすませて、再びレールの上を歩き始めた。左手で引いた荷物ががたがたと音を立てながら転がる。右手は少女とつないだまま。ゆらゆらとピンクのリボンがゆれる。



 数日、寝て歩いてを繰り返した。前回よりも長い距離、だけど駅も何も見当たらない。食料を多めに持ってきて良かった。


 ガサッ。

 近くの草むらで何かが動いた。


「⋯さがってて。」


 少女を後ろに下がらせて、慎重に音のした方を確認する。


「確か、この辺から⋯。」


 そう呟きかけて言葉を失う。目に入ったのは大人の人だった。どこか虚ろな目をして辺りをふらふらと歩き回っている。


「あの⋯!」


 声をかけたが反応は無い。声が聞こえてないのか、こちらに気付かずまたふらふらと草むらに入っていく。なんとなく、前の村と同じ感じがした。死んでいるのに生きているような、そんな存在。ボクはすぐに少女のもとへ戻り、先を急いだ。



 それからまた数日ほど歩き続けた。途中で同じような大人に何人も会ったが、やはり反応はなく生きている感じがしない。幸いこちらに何か危害を加える訳でもなかったので、なるべく近付かないように避けてきた。

 そして、そんな大人たちが増えてきた頃に次のホームへとたどり着いた。


「かこう⋯まち?」


 辛うじて読めた文字を口にする。言葉の意味は分からないが、今までの村に比べるとだいぶ建物も大きく広い。町には線路にいた大人のようにふらふら歩き回る人が沢山いた。大人だけじゃなく、子供も。もっとも、子供は這い回ると言った方が正しいだろう。少し不気味だったが、ぶつからないように気を付けながら町の探索を始める。


 ここも民家には特に食料が見当たらず、無駄に歩き回らずお店を探すことにする。町の中心くらいに、だだっ広い店を見付けた。食料だけじゃなく服や家具も揃っている。


「わぁ⋯!」


 少女がひらひらとしたキレイな女性服に近付き、目を輝かせる。ボクたちの服はボロボロだったから、ちょうど良かった。店をぐるりと回りながらサイズの合う服を探していく。日差し避けの帽子や靴もある。必要なものを手にして、その場で着替えていく。少女も好きな服を選んで着替えて、ひらひらとスカートを揺らして歩いていた。


「これでいい?」

「うん!」


 一通り着替えて、気に入った数着をリュックに詰め込む。よほど楽しかったのか、少女は疲れも吹き飛んだみたいに興奮している。

 あとはご飯を調達できれば、数日はここで寝泊まりしても良いかもしれない。どうやら、町の人たちは段差を登れないみたいで建物の二階には一人もいなかった。前の村に比べたら臭いもしないし、疲れた身体を休める為にもベッドで休んだ方がいいだろう。徐々に駅と駅の間が長くなっていっている。この先も長い道が続いているはずだ。


「ん?」


 食料品売り場につくと、細長い袋がずらりと並んでいる。これが食べ物なんだろうか?気になって一つ開けてみた。中身は少しかたい棒状の固形物。食べてみるとほんのり甘くてボソボソとしていた。前の食料に比べたら食べやすいが、お腹はあまり膨れないかもしれない。

 棚に並ぶ袋をまとめて空いてる荷物の隙間に詰めていく。水も必要だから、その分は開けておかないと。少女もボクの真似して荷物を詰め込んでいた。



 数日。不気味だけど過ごしやすいこの町での生活も慣れてきた。疲れもすっかり吹き飛び、快適な日々を過ごしていた。

 だけど、そろそろ出発しなければならない。食料や水は十分すぎる程あるが、いずれは無くなる。それに何よりも生まれた地への思いがあった。レールの遙か先の終点。そこがボクたちの生まれた場所だった。何も覚えてないけれど、そこに見た事のない兄弟や親がいるのかもしれない。


 明日、旅立とう。少女にもそう伝えて、必要なものをそれぞれ揃えていく。顔だけ出せるお布団。暗闇を照らすランタン。食料と水ももう少し足して、明日に備えてしっかりと眠ることにした。

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