さんばんえき
ひたすら足を前へと進める。まだ先は何も見えない。幸い天気は良く、心地よい風が吹いてるおかげで快適な旅を続けられていた。
「疲れた?」
「ううん。」
手を繋いだ少女に声をかけると、笑顔と共にそう返される。ここ数日歩いては野宿しての繰り返しで、疲れてないはずはない。だけど、ボクを心配させまいと笑顔で振る舞う。
もう食料も底を尽きそうで、水も昨日なくなってしまった。レール沿いの花の蜜を吸ったり、落ちてた木の実で凌いできたが流石にもうそろそろ限界だろう。そう思っていた先にうっすらと駅のホームが見えた。
「駅だ!」
そう声を上げると少女も顔を上げて顔を綻ばせた。やっとたどり着いた。安堵から足取りも軽くなる。駅のホームへ駆け寄り、ボクが先によじ登る。そして、少女の手を取り引き上げた。看板には何か文字が書いてあったが、ボクが読めるのは簡単な文字だけだったので解読するのは無理だった。
舗装された道を歩き、建物のある村へと歩いてく。しかし、近付くにつれて嗅いだことの無い臭いに不穏な気配を感じた。
「離れちゃダメだよ。」
「⋯うん。」
不安そうな少女の手をしっかりと握り直して、一歩ずつ足を進めていく。すると道端に誰かが倒れているのを見付けた。警戒しながら少しずつ近付く。そして、倒れた男性の姿をしっかりと確認した。
そっと手を触れる。ひんやりとしていて、生きている様子ではなかった。だけど、たまにぴくりと腕や脚が痙攣してるかのように動く。死んでいるのに、生きているみたいだった。
辺りを見渡すと同じような人達があちこちに倒れていた。中には知った顔の人もいた。前の村にいたおばさんだ。
「長くいたら気分が悪くなりそうだ⋯。早くご飯を探して戻ろう。」
そう言って村の中を探索する。民家の中には特に何もなかった。その代わり、村の中心にはお店のようなものがあり、そこに必要な飲み物と食料を見つけることが出来た。
「カップ、めん?これも食べ物なのかな?」
見たこともない食べ物は軽い容器の中に入ってるみたいで、振ってみても軽い音がするだけだった。とりあえず、食べれそうなものをリュックに詰め込む。前回は飲み物が足りなくなったから、しっかり水の入ったボトルを多めに持っていく。食料が軽いおかげでその分よけいに荷物を詰め込める。
「こんなものでいいか。さぁ、早くここから離れよう。」
「うん⋯!」
もう日も暮れてきたので足早に駅のホームへと戻り、少し離れた電灯の近くに座り込み今夜の分の水と食料を取り出す。水は透明なものと色の着いたものがあった。食料はさっき見付けた謎の容器。早速開けてみる。
バリッ。
「⋯かたい。」
ボリボリと音を立てながら、カップめんを口にする。かたくてぱさぱさしてるが、味はしっかりとしている。お腹を満たすには十分だったが、口の中の水分が一気に持っていかれる。明日、また飲み物を補充しておいた方がいいかもしれない。
ご飯を食べ終えると、村から持ってきた薄い布団を敷いて横になる。幸い臭いは移ってなかったので、念の為に持ってきたのだ。これから、野宿する時にもこれに包まれば少しはマシだろう。
「おやすみ。」
「おやすみぃ⋯。」
二人くっ付いて布団に丸まる。少女の温かい体温が心地良かった。




