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あーかい部! 76話 詮索

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「〜♪」




部室で1人、みんなの到着を待つあさぎはモーラとPINEでトークして時間を潰していた。




「ご機嫌だな。」




ひいろ入室。




「来たねひいろ。」


「またお隣さんとトークしてるのか?」


「いや、教頭先生。」


「えぇぇ……。」


「ちょくちょくお隣さんの近況を聞いてくるんだよね、ファンなのかな?」


「おばさんに限って、ないとは思うが……一応他人のプライバシーなんだし、あんまり変なことは言うなよ?」


「大丈夫大丈夫、『お隣さん』で一貫してるし。仮にも名前を変えてまで絶縁してる人だもん。……漏らさないよ。」


「そうだな。……それにしても、『お隣さん』に興味があるなんて意外だな。最近、よくスマホで誰かと話しているところを見るようになったのも『お隣さん』絡みか。」


「何それ?」


「え?」


「教頭先生とはよくPINEするけど、通話なんて数えるほどしかしたことないよ?」


「そうなのか……?てっきり、あさぎと話しているものだと思ったんだが……。」


「私は知らないよ?」


「じゃあ一体誰と……。」


「教頭先生って独り身だよね?」


「ああ。」


「じゃあ恋人だったりして……?」


「ないない。」


「よく思い出してみてよ、何か特別な態度をとっていたりとか……なかった?」


「そういえば、やけに砕けた口調で話していたような……、


「どんなどんな?」


「ええっと、『おっそい……!』とか、『どうしようもねえな』とか?」


「恋人は無さそうだね……。」


「だな。」


「ひいろは教頭先生の交流関係どのくらい詳しいの?」


「どのくらい……う〜ん、家族関係は知っているが、友人や恋人のくだりはさっぱりだ。」


「まあ、親戚の情報なんてそんなもんだよね。」


「ワタシがいるときは、気を遣って誰かを家にあげないようにしているのかもな。」


「あ〜、ありそう。」


「もしかして……ワタシが知らないだけで、舎弟がいたりするのかも……!?」


「教頭先生って、人まとめてそうだもんね。」


「あら、2人でなんのお話?」




2人が盛り上がっていると、(くだん)の教頭先生がいつの間にか部室に入ってきていた。




「「いつの間にっ!!??」」


「『教頭先生って独り身だよね』あたりかしら?」


「あっっぶな……!?」


「危ない?」


「あ……!?いやなんでもないよおばさん。それより、最近よく話してる人って?」


「あら、聞かれてたのね……。」


「ごめん、盗み聞きするつもりはなかったんだけど、気になっちゃって……。」


「ひいちゃん、正直なのはいいことよ♪」




教頭先生はひいろの頭を撫でた。




「私がよく話している人はね?私の親友なの。」


「親友、ですか?」


「ええ♪学生時代からの、一番の……ね?」


「そうなんだ……。」


「最近、ちょっとした縁があってよく話すようになったの♪」


「どんな方なんですか?」


「それは秘密。」


「おばさんが隠し事なんて、珍しい……。」


「隠し事があるのはお互い様でしょう?」


「「う"……っ!?」」


「そうねぇ……私の親友と、あさぎちゃんのお隣さんの正体。お互い詮索は無しにしましょう?」


「「うん(はい)……。」」


「それじゃあね♪」




教頭先生は颯爽と部室を出て行った。




「因みに、教頭先生とはどんなことをトークしてたんだ?」


「『お隣さん』のこと?えっと……こんな感じ。」




あさぎが見せたトーク画面には、『お隣さん』の食生活や睡眠時間、好きな映画や最近楽しかったことなど、当たり障りもない私生活の情報が共有されていた。




「ファン……にしてはちょっと違和感ないか?この内容。」


「そうかな?あんまり気にしたことなかったけど。」


「親戚に言うのもなんだが、これはなんというか……ストーカー……。」


「あ〜、確かに。……それか、子どもの心配をする……


「「『親』……?」」




2人の声がハモった。




「い、いやまさか……、教頭先生って独り身だった……よね?」


「あ、ああ。結婚とか子どもとか、聞いたこともないぞ!?」


「「……隠し子。」」


「「……………………。」」


「「いやいやいやいや!?」」


「そんなわけないっ、ワタシと白ちゃんやモーラさんが遠い親戚だなんて、あるわけがないだろう……!?」


「だだ、だよね!?白ちゃんが教頭先生の娘ってことになっちゃうし!」


「それか腹違いの……、


「あるかっ!」




こんどはいつの間にか白ちゃんが部室に入ってきていた。




「「白ちゃん(先生)!?」」


「まったくなんなのよ、私が教頭先生の娘だなんだって……。」


澄河(すみか)おばさ




ひいろの頭に衝撃が走った。




「血縁ちゃうわっ!」


「でも年齢的には




あさぎの頭に衝撃が走った。




「私はまだ若い!……はず。」


「私、『はず』で叩かれたんですか……!?」






あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ!


あさぎ:教頭先生に見られてないよね?


きはだ:なになに隠しごとぉ?


あさぎ:そんなところかな


白ちゃん:隠さなくても私と教頭先生は他人よ


あさぎ:澄河おばさん!

ひいろ:あ、澄河おばさん


きはだ:パスタ作ってくれそう


白ちゃん:作れんわっ!

白ちゃん:じゃなくて親戚ちゃうわっ!


きはだ:草ァ!

きはだ:白ちゃん家の家系図どうなってるのぉ?


ひいろ:読んでこい


きはだ:はぁ〜い




きはだ:これはちょっと危険だねぇ


白ちゃん:『危険』?


きはだ:お隣さんが親御さんに見つかったらまた引っ越さなきゃでしょ?


白ちゃん:引っ越さなきゃってわけじゃないんだけど……


あさぎ:待って、私の居場所調べてる人がいるの……!?


きはだ:お隣さんこんばんわ〜♪

ひいろ:おばさんが純粋な興味で……ってわけじゃなければ、そういうことになるな。


白ちゃん:……何か教頭先生の恨みでも買うようなことしたの?


あさぎ:してないしてないっ!?


白ちゃん:あんた色んなとこで恨み買ってそうだけど


ひいろ:まあ確かに


あさぎ:ちゃんと恨み買った相手は覚えてるし、向こうのポリスメンにもお土産渡して来たもん!


きはだ:買収してて草ァ!


白ちゃん:じゃあこっち来てからは?


あさぎ:ないない!?


きはだ:とにかく、目立つことは控えた方がいいねぇ

きはだ:お休みの日は見ててあげられないけど、気をつけてね


あさぎ:了解


白ちゃん:見ててって、保護者か……

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