異形戦記:モノノケ #1 始まりの匂い
俺は捨て子だった。
赤ん坊だった俺は山奥に捨てられもう成すすべもなく死んでいく事しかできなかっただろう。
しかし、運良くある人に拾われて俺はユキトと名付けられた。
その人はタリヴォンといい、おれはじいちゃんと呼んでいた。
話によると、食虫植物かなにかに食べられかけていたところをその植物を斬り助けてくれたのだ。
よくそんなところで生きてたなと思った。
もし、じいちゃんが助けてくれるのが遅かったら俺は今頃この世にいなかっただろう。
俺は今年でようやく10歳になる。
今生きていることをじいちゃんに感謝しなければとたまに考える。
「じいちゃーん!!」
「飯で来たよー」
俺は家の外で仕事をしているじいちゃんに向かって叫んだ。
じいちゃんの仕事は猟師で今は猟銃の整備をしていた。
「おぉ、わかった。今行く。」
じいちゃんのそんな声が聞こえたので、俺は再び台所に戻りご飯を皿に盛り付け、テーブルに置いた。
俺の家は山の中の小屋のようなもので、木造の古めかしいような風貌だった。
家というよりかは規模の小さい屋敷といったほうがしっくり来るような佇まいであった。
食事中じいちゃんがこう話を切り出した
「ユキト。今日狩った熊を街に卸に行ってきてくれないか?」
うちは主にじいちゃんが狩った獲物で生計を立てており、それを下の街にまで売りに行き、ついでに色々必要な物を買ってくるというのがいつもの流れになっていた。
普段はコレを大体1週間のサイクルでしていた。
しかし今回は違った。
「街に卸しにって、じいちゃん。俺昨日行ったばかりだよ?」
そう昨日すでに熊は卸してきていたのだ。
「仕方ないじゃろ。獲れたもんは腐らせちゃいかん。獲ったからには責任を持ってしっかり役に立たせないとバチが当たるじゃろ。」
「まぁ、それはそうだけどさぁ。」
正直に行ってしまうとだるい。
そう、山から街まで結構な距離がある。
なので、歩くのも相当な時間がいるわけで、しかも熊を持ち運んで。
「昨日でヘロヘロなんだけど、、、」
「文句をいうでない。山の恵をもらっとるんじゃ。文句ばっかり言ってると大人になれんぞ。」
じいちゃんが隙かさず喝を入れる。
「なんか今日じいちゃんピリピリしてない?気のせい?」
「そんなことないぞ。なにを見てそう思っとるんじゃ。とりあえず熊を街に卸してきてくれ。」
「はいはい。」
「ハイは一回といつも言っとるじゃろ。」
「はーい」
じいちゃんは面倒くさくなったのか呆れたのか、それ以上指摘をしなかった。
ただ、「屁理屈のようなことをするな。」と顔に書いてあった。
俺は支度をし、熊を背負い山を降りることにした。
あとがき(?)
誤字脱字含め、至らぬ点もあるかもしれませんが、温かい目で見守って頂ければ幸いです。
補足:大分ランダムな投稿の仕方(不定期)になると思います。