アミュエル学園
タイトルに忠実に行こうと思います。
ただ、、もう少し暗いお話が続くので、お付き合いください。
セムヤザに言われた通り。
次の日。僕はここ、アミーの中にあるアミュエル学園に来ていた。
「ようこそ。領主さんから、聞いているよ。留学と言う形がいいか、編入と言う形がいいか悩んだんだけど、うちとしては特別生として受け入れる事にさせてもらうよ」
学園長は、にっこりと笑う。
ちょっと怖い気もする。
高校と、大学が一緒になったこの学園は、はっきりいって大きかった。
「在学生は5000人はいるかな」
学園長はにっこりと笑う。
「君は、19歳だから、大学の方へ行ってもらう事になるけれど、まぁ、そんなに気負わなくでいいよ。レポートとかは、優遇できると思うからね」
おいおい、、学園長自ら、不正を勧めるとか、、
そんな事を考えていると。
「ただね、、どうしても編入試験は受けてもらわないといけなくてね。次の中間考査。高校の方になるけれど、これを受けてもらっていいかな。それを入学試験としよう。できれば、いい成績を取ってくれると、私としても手続きがしやすいから、ちょっとがんばって欲しいところだね」
僕は目の前の資料に目を向ける。
そこには、学園のしおりと一緒に、試験についての記載もあったり。
まあ、あんまり気にしてないけど。僕には、ミホという、カンニング辞書がついてる。
「ところで、、学園長。この国に、誰も近づく事のない立ち入り禁止とか、生存不能の土地ってありますか?」
突然の僕の質問に、困った顔をする学園長。
「私が知る限り、そんな土地はないね。何か探し物かね?」
「いえ、、無いならいいのですが」
僕は当てが外れて、少しがっかりしていた。
まぁ、そんなにあっさりと見つかるものでもないか。
荒野の家も、アラキさんがいなければ絶対に見つからなかったし、凍土の家も、サタエルが何年もかかって見つけた物だったし。
僕は、横に立ったままのミホに目を向ける。
ミホはいつも通り。表情も無く立ってる。
「ああ。その人形も、一応編入試験に参加してもらう事になるからね。接続者となった神血は、支配者の物だとしても、一応、国際法にひっかかるからね」
にこやかに笑われてしまう。
その顔を見ても、ミホは一切表情を変える事はなかった。
「えー。本日からこのゼミに入る事になった、シュウ君だ。彼が提出した魔力の構築と、解放というレポートは、そのまま、学園のページに載るほど優秀であり、皆も一度は目を通してみて欲しい物である。高校の試験を、一応受けてもらったが、まぁ、十分すぎる結果だった。皆仲良くして欲しい」
それだけで、挨拶は終わる。
そう。僕は、魔力制御のゼミに入っていた。
ミホが纏っていた魔力が無くなった事と、ミホの精神が無くなっている事には何かあるかも知れない。もし、少しでも何か見つかればと思っていた。
あと、魔力統制を知っている以上、魔力制御のゼミでやる事は無いから、履修も楽そうといった打算もあったり。
「ねぇ。ねぇ。入学試験として受けたテスト。ぶっちぎりの一位だったって本当?」
席に座った瞬間。
隣の女の子に声をかけられる。
明るい赤目の髪に、少し切れ目の可愛い子だった。
「いや、私は、お二人で、トップを独占したと聞きました」
その隣の子まで声をかけてくる。銀髪の少し垂れ目の子だった。
「まあ、ちょっと頑張ったから」
僕はそれだけ答える。
あまり関わり合いになりたくないなと思いながら。
学食の、カレーを食べていると。
「お隣、よろしいでしょうか」
ふと見ると隣に銀髪のさっきの子が座って来る。
僕の右にはミホが座っているので、自然と左側に座る事になる。
ミホは、、僕と同じ物を食べていたりしていた。
「あの、、挨拶がまだでしたね。不躾で申し訳ありません。私は、シェミと申します。こちらは、私の接続者で、ロネと申します」
「よろしくね。ロネだよ」
にっこりと笑われ、改めて見て彼女が神血である事に気が付いた。
「ああ。こちらこそ、よろしくお願いします」
僕がロネに返事をすると。
何故か、二人は顔を合わせ、笑い合う。
「思ったとおりの方で良かったです」
「うんうん」
二人が、納得した顔をしているので、僕が困惑していると。
「おそらく、神血をきちんとされている方と思われたようです」
ミホが、抑揚の無い声で囁いてくれる。
ああ。
そうだった。
この国、アモンは、人道国家と言う割りには、『生血』だけ人とみなす傾向のある国だった。
昔、軍で叩きこまれた知識がこんなところで役に立つとは。
「その、隣の方を大事にされているようですので」
シェミが、楽しそうに笑っている。
ロネも、笑顔だった。
僕はなんと返事をしていいのか分からず、無言になってしまう。
「あの、、お名前を、お尋ねしてもよろしいですか?」
シェミに、促され。僕はまだ名乗ってなかった事に気が付いた。
「ああ。ごめん。僕はシュウ。こっちは、ミホだ」
「シュウ様に、、ミホさん、、分かりました。ありがとうございます。それと、できれば、私と仲良くしていただけると、本当に嬉しいですわ」
「それは、こっちもお願いしたいかな」
僕は彼女が差し出した手を握り返していた。
「それと、、午後からは、実習ですわね。一緒に行っていただけると、、」
「実習?」
大学まで行って、実習も無いと思う。
そんな事を思っていると。
「戦時中。しかも、危機的状況という事で、去年から、全学園の学生が対象になってしまったのです。自動機構兵器の操縦実習ですわ」
その言葉に、僕は顔が引きつってしまう。
ミホは、強制的にスーツ化している。
痛みもある。時間的に、1時間が限界だ。
それ以上は、、、、我慢大会になってしまう。
「あら。少し、お顔が、、でも、大丈夫ですわ。魔力の使い方と操縦の習い方と言う事で、使うのは、作業用自動機構兵器ですから」
シェミの言葉に少しほっとする。
作業用なら、僕だけでも動かせる。
うん。動かすだけなら。
追加人物 由来紹介。
シェミ シェミハザ 熾天使 『見張る者』
ロネ ロネペ ソロモン王72柱の一体。 主に忠実。
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