違い
ここからしんどいパートに入ります。書き切れるかな、、
黒い光が飛び散るように消えて行く。
その中に寝ているのは、黒色の全身スーツに身を包んだ一人の青年。
「どうするの?」
「お前はどうする?」
アラキと、シミの二人は気を失っているシュウを見ていた。
「結局、あそこに来るしかないでしょ」
シミの言葉に、笑うアラキ。
「俺達の、、か」
自虐的に笑うアラキ。
「なら、、放置するか」
「自分で探して来ないとね、、あそこは見つからない」
シミの言葉に、笑う。
「ぼうず。道を間違えるなよ」
それだけ言うと、アラキは再び空へと飛び立っていく。
「ん、、、」
僕はゆっくりと目を覚ます。
何か、嫌な夢を見ていたような気がする。
「ミホ、、大丈夫?」
ゆっくりと体を起こしながらスーツ化したままのミホに声をかける。
しかし、返事が無い。
「ミホ?」
不思議に思い、もう一度声をかける。
「ダイ、ジョウ、ブ、デス」
返事が返って来るが、、違和感が半端ない。
「ミホ?」
もう一度声をかけるが、また返事が無い。
「スーツを解除して、ミホ」
顔が見たくなって、スーツの解除をお願いするも、全く返事が無いミホ。
「ミホ!スーツを解除して!」
強く言ってしまうが。
「イマ、セイメイ イジ、ヒツヨウ。スーツ、カイジョ、フカ」
機械音が、返事をする。
その言葉を聞きながら、シミさんが言っていた事を思い出す。
「神血はね、、生血を生きさせるために作られたモノ。生血の命を繋ぐ、接続者なの」
もし、そうなら。
ミホは、、、機械?
そんな思いが、心の奥底に生まれてしまう。
しかし、同時にありえないと、自分の心が否定する。
一緒に笑った。
一緒に泣いた。
一緒に過ごして、一緒にぬくもりを確かめ合った。
ミホが、機械であるはずがない。
自分の心が、自分自身が、ミホは人であると、叫んでいた。
「そうだな。悩む事でもない」
僕は自分の中で、気持ちに整理をつける。
「とりあえず、安全な場所まで移動して、、、ミホの顔を見ないと」
荒野の中。
僕はゆっくりと歩き始めるのだった。
「また、行方不明、、か」
カイダさんが、頭を押さえている。
「ほんとうに、、あの子は、、」
ケイトさんも、呆れた声を出している。
「神機が、敵を倒し続けながら、敵を追撃、かなり荒野の奥まで行った所で、空中に浮かぶ、見た事の無い機体と遭遇していた所までは、観測できているのですが」
観測を得意とする生徒の一人が、重く口を開く。
「その機体と遭遇して、神機の反応が消えた。おそらく、負けた可能性あり、、か」
ユウキはぼそりと呟くが。
「ユウキ、それはまず、ありえないと思う」
アカリが、ユウキの言葉を否定する。
ユウキが、アカリを見つめると、少し目線をずらすアカリ。
「だって、神機の能力は、私が分かる範囲でも、AAA級を遥かに超えているもの。この世界にある全ての自動機構兵器よりも、圧倒的に強いと思う。それを超えれるのは、ゼウスにいた、あの金色の機体だけだと思う」
「それは、正解ね、、、」
ケイトさんが、小さく頷く。
「神機。そう言われる機体が、彼が乗っていた物。この世界を滅ぼして、この世界を創り変えると言われる機体よ。。本当の神」
「おい!ケイト!」
カイダさんが、叫ぶが。
「もう、いいでしょ。ここにいる皆が見てしまった。モータスの支配者も見てしまった。隠しきれるものじゃないでしょ。もう、軍事機密も何も、周知されたと一緒でしょ。あの神機の存在も。
そして、その支配者が、シュウ君である事も」
ケイトさんの深い深いため息が、その深刻さを物語っていた。
「また、来てしまった」
僕は、懐かしさを感じながら、荒野にただポツンと建っている家を見つめていた。
ミホの時空間統制は同期されたままで、僕の中に残っていた。
そのせいで、地図が頭の中に浮かんで来ていたのだ。
もちろん、この懐かしい家までの地図も。
「師匠、、ただいまです」
僕はそれだけ言うと、かつて師匠とともに数年過ごした家へと入っていく。
僕が家に入った瞬間。
家の全ての電源が入る。
モニターが浮かびあがる。
空調が一気に作動を始め、死ぬほど暑かった部屋が一気に冷えて行く。
そして、僕は、、ミホ?と再会するのだった。
「・・・・」
スーツを解除したミホが横に立っている。
しかし、ミホの姿をしているのに。
「ミホ?」
「どうかしましたか?」
僕は、まったく知らない人と話をしているようだった。
笑ったり、話してくれたりはする。
しかし、違う。
表情が硬い。いや、、何かが無い。
「ミホ、、、何があった?」
僕が彼女の肩をつかんで尋ねるも、彼女は首をかしげるだけだ。
「何もありませんよ?」
笑って返事をしてくれるのだが。
笑顔が、何かが違う。
何が違うのかと言われれば、明確には説明できない。
なのに、違う事だけは確信出来た。
「ミホ?」
僕は、訳が分からないまま、ただミホを見つめるだけだった。




