友達の恋愛事情
とある日。
「ちょっと、ミホ。お願いがあるんだけど」
たまたま、一人でいたミホは突然かけられた声に後ろを振り返る。
そこにいたのは、赤茶色の髪をしている、同級生のアカリ。
「何?」
ミホが、返事を返すと。
突然両手を合わせ。
「お願い!一生のお願い!取り持って!」
突然そんな事を言われ、びっくりするミホ。
「ちょっと、ちょっと、何があったの?」
ミホは、そんなアカリの肩をゆする。
「本当に好きなの」
「ユウキ君、ライバル多いよ」
久しぶり。本当に久しぶりに、シュウ君とではなく、アカリとお昼ご飯のお弁当を食べながら、ミホは友達に返事を返していた。
「そりゃ、シュウ君はユウキ君と仲がいいし。よく話をしてるけど」
「でしょ?そのシュウ君の隣にいつもいるミホなら、ユウキ君と話せるじゃない」
「それって、抜け駆けって言われないかなぁ」
「ミホには言われたくない。自分で分かってる?最近のミホ、すっごく可愛いし、すっごく幸せそうに見えるんだよ」
そんな事を言われても、自分では自覚はないから、首をかしげるだけしか出来ない。
一度スーツ化してから、何度も研究所でスーツ化の練習をさせられるようになって。
確かにいろいろと飛び越えちゃったけど。
「ミホみたいに、女子力高くない私は、なんでも使うしかないの。やっぱり持つべきは、最高の友でしょ」
アカリは、もぐもぐと片付けたお弁当に追加のパンを食べている。
その言葉に苦笑いしかないミホ。
「とりあえず、シュウ君には話をしてみるけど」
ミホの返事に、アカリはその両手をがっしりとつかむ。
「ありがとう!本当に持つべきは、優秀な友と、その彼氏だわ」
満面の笑みのアカリに、すこし引きつった笑いを返すミホだった。
「と、言う事なの」
ミホの言葉を聞きながら、僕は茫然としていた。
「お願い!なんでもするから!」
両手を合わせてお願いしてくるアカリに、何も言えない。
ユウキと話をしたいから、僕たちの傍にいるのを許して欲しいとか。
なんとも言えないお願いだ。
「うん。。まぁ、いいよ」
僕の返事で、すっごく嬉しそうな顔をするアカリ。
僕は、ミホと二人、顔を合わせながらなんとも言えない表情をするのだった。
「で、次のクラス大会の事なんだけど」
「なんで、僕に言うの?ほかの人に言ったらいいじゃない。僕、最低辺だよ」
「いや、君が一番目立ってるしね。それに、ミホ君から賛成をもらうのは、君を落とすのが一番早いじゃないか」
ユウキは、笑いながら僕の席によりかかりながら笑っている。
成績優秀者として2番を取ってしまった僕は、1番に落ち着いているユウキと一緒にいても何も言われなくなっていた。
この前聞いて来たあのひっかけ問題。
あれ意外全問正解とか、どんな化け物だよ。この男は。
僕はそんな事を思いながらも、やる気なく机の上で絶賛溶けている最中だ。
「わ、わ、たし、やっぱり、タウンシューティングがいいと思うな」
アカリがカチカチになりながら、必死に返事をしている。
その姿を見て、ミホが少し笑っている気がする。
「シューティングかぁ。ミホ君だと、無双できるかな?」
「無理だと思うよ。多分、疑似銃が壊れちゃう」
ユウキの、嬉しそうな声に、やる気なく返事を返す僕。
「あ、でも、シュウ君なら、、、むぎゅ」
ミホが言っちゃいけない事を言いそうになるのを、その頭を撫でる事で止める。
だから、僕が魔力値が高い事を言っちゃいけないんだって。
「ごめんなさい」
ミホは小さく謝っていた。
「んーじゃぁ、何がいいのかなぁ」
そんな風に悩む姿も、絵になる。
カッコいいなぁ。
そんな事を思っていると、激しい音を立てて、アカリが倒れていた。
「あまりにも、カッコよすぎて」
嬉しすぎて、気を失ったというアカリ。
目が覚めて、ユウキに抱き起されている事に気が付いて。
再び気を失って。
そんな騒動のおかげで、結局話し合いは流れてしまう。
その後、他のクラスからの提案と、多数決で決まったクラス大会の競技は、学校全部を使った、バトルロワイアルサバイバルだった。
数日が過ぎ。
特に変わりなく日々は過ぎて行く。
変わった事といえば、初任給で、ミホにネックレスをプレゼントした事と。
初任給で、ミホから、チョーカーをもらった事。
そして、僕の遅刻が無くなった事くらいだった。
そしてやってきたクラス大会当日。
「特級Aクラスの力を見せつけてやるぜぇ!」
やけに張り切っている最高戦闘力を持つゴウト。
彼の周りには、女性ばかりが集まっている。
まぁ。強いし。戦闘力最強はモテるからなぁ。
「よろしくね」
「ううう。よろしく」
なぜか、僕のチームには、僕とミホ。
ユウキと、がちがちのアカリの二人が入っていたのだった。




