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特進。

「で、今回集まってもらったのは、例の件の事についてなのだが」


ケイトは、会議室の中で冷や汗を流していた。

目の前には、司令官。

学部長、長官がこちらを見ているし、大佐や、小将まで座っている。

元帥がいないのが唯一の救いか。

いや、元帥までいたら、きっとケイトは緊張と重圧のあまり、立っていられないと思うが。


「とりあえず、起動は出来た。という認識でいいのかね」

司令官の言葉に。姿勢を正すケイト。


「はい。こちらが意図した起動ではありませんでしたが、神機はたしかに起動。C級自動機構兵器(オートモーター)3機と交戦。これを一蹴しました」


「本当か」

「訓練もろくにしていない子供のはずなのだが」

「C級3機は盛りすぎなのでは」

ざわつく会議室。


しかし、ケイトは直立不動のまま続ける。

「3機のC級自動機構兵器(オートモーター)は、すでに我が軍が回収しています。敵の支配者(ローダー)接続者(コンタクター)ですが、捕虜として収監しております。」


再びざわつきだす上級士官たちを、司令官は机を一つ叩く事で黙らせる。


「で、問題は?」

「シュウには問題はありません。接続者であるミホは、身長が縮むという事がありましたが、これは別の要因が大きく関わっているかと。ただ・・」

言葉を濁らせるケイト。

「構わん。続けたまえ」

司令官の言葉にケイトは報告を続ける。


「接続者 ミホの魔力が1万に。戦闘力が、1200に跳ね上がりました」

その瞬間、全員が息をのむのが分かる。


「支配者 シュウに至っては、魔力10万。戦闘力9という、あり得ない数値です」

収集が付かないほどのざわめきになっていく会議室。


しかし、それすら司令官の二度目の音で静かになる。

促されたと感じ。ケイトは再び口を開く。

「私の思い込み、勘違いの可能性もあります。しかし、神機に乗るという事はそういう事の可能性があります」


「自動機構兵器 に神血がなる。。。可能性か」

司令官の言葉に全員が息をのむ。


「それを実験しようものなら、彼は怒るだろうな」

「激怒すると思われます」

ふっと司令官は笑うと。


「その報告は、私から総司令官へ報告をしておく。そして、今回、君たちを集めたのは決定事項の承認をしてもらう意味も含まれている」

司令官は、全員の顔を見まわすと。


「シュウ モリキ。 ミホ カンナギ。この両名に、准尉の階級を与える事にする。初陣で、自動機構 3体撃破は、十分すぎる功績だろう。ケイト中佐は、両名の監視、育成にこれからも注力して欲しい。以上、総司令官、バルバトス アグロフ」

その言葉の後。全員が息を呑むのが分かる。


今まで、軍曹階級の扱いだったシュウが、いきなり2階級特進である。

殉死でもしない限り、そんな事はありえない。


「神機。なんとしても使いこなせるようにしてくれる事を期待している。だそうだ」

それだけ言い終える、司令官。


「最後に、今回の件。科学科つまり、君の所が処理した事となる。彼らの事は秘匿するように。以上だ」


その言葉に、会議に参加していた全員が、立ち上がり、敬礼をするのだった。


「えらく疲れてっるすねぇ」

金髪の男性が、会議室から出て来たケイトに冷たい飲み物を渡す。

「当たり前でしょ。なんであんたは、入ってこなかったのよ」

「ほら。自分、中将に嫌われてるっすから」

その言葉に、大きくため息を吐くケイト。


「二人とも、軍曹から特進よ。准尉だそうよ」

「あー。すぐに僕たち、抜かされそうっすね」

笑う金髪の青年に、苦笑いしか返せないケイト。

「これは、あれっすか?周りがとやかく言ったり、彼らが戦闘したり、実験に付き合っている事に口をはさむなっていう軍の意思っすかね」

「当然。明らか過ぎるでしょ。こんな人事。私たちまで口止めをされそうなのに。最後は私たちの暗殺だってありえるわよ。いらないと判断されないように、しっかり仕事して頂戴よ。そして、あの二人に抜かされないように、頑張りなさい」

その言葉に首と肩をすくめるカイダ。


二人は並んで歩きながら、オープンカーへと歩いて行くのだった。






「これ、二人のカードね」

放課後。

二人で帰っていると、突然、オープンカーが横に止まり。

ケイトさんが二枚のカードを渡して来た。


「え。俺、親のカード持ってますけど」

俺が呟くように答えると。

「これはね、君たちのカード。今後は、給料がこれに入るから。軍用ではあるけどカモフラージュされているから、そうね。親が残してくれた、証券財産の手当金とでも言っておきなさい」


そう言って笑うケイトさん。

「絶対、何か隠してますよね?」

ミホが、ジト目でケイトさんを見つめると。


大きくため息を一つつき。

バレては仕方ないと、口を開くケイトさん。

「上官として、管理者として通達します。シュウモリキ。ミホカンナギ。両名とも先日の自動機構兵器(オートモーター)撃破の功労により、2階級特進。准尉となります。これは、軍規決定事項であり、異論は認めません。両名とも、准尉勲章を襟に付ける事を義務づける」

そこまで言うと、いたずらっ子のような目をするケイトさん。

「としたい所なんだけど、あなたたちの場合、本当に軍所属だとバレるといろいろ厄介なのよ。

学校関係も、居住関係でもね。しかも、今回は、準士官の階級まで上がってる。先生たちよりも階級が上になる可能性もあるの。だから、これは隠しておくこと。無くしたら懲戒ものだから、気を付けるように」


それだけ言うと、ケイトさんは車を発進させてしまう。


俺達はあっけにとられながら、軍章という小さなバッジと、給料が振り込まれるはずのカードを持たされていたのだった。



「本当に、13歳の子供に、こんな大金渡していいものか、親なら絶対反対するわね」

ケイトさんが見つめる、カーナビに表示されている、個人情報を見て、ため息を吐く。

自分の部下の扱いとなっているため、閲覧可能なのだが。

二人の給料は、30万に達しているのだった。

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