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裏技の代償

「ははは!なんだよそれ!彼女でも、襲ったのかよ!」


「うるさい」

俺は、学校に来るなり、ユウキに笑われてしまった。

俺の頬にはしっかりと赤い手形がついていたりする。



ミホは、ずっと俺の後ろにいたのだが、常に今にもかみついて来そうなくらい怒っている。

今も、女子に囲まれて、頭を撫でられていた。


「しかし、彼女、、どうしたんだ?」

ユウキは、ミホを見て首をかしげる。


何が起こったかなんて、俺の方が聞きたいくらいなのだ。

しかも、俺の電子端子には、ミオの親から、一緒に食事でもどうか?と言った内容のメールが飛んできている。


俺は、小さくため息を吐くしかなかった。





もくもくと、ごはんを食べているミホの横で、俺は居心地の悪さを感じていた。

メールに送られていた通り。

その日の夕食は、ミホの家で食べる事になったのだが。


「ミホをお願いしますね」

笑っている母親の隣で、父親が複雑な顔をしているのが見て取れる。


今食事を食べている場所は、俺の家の一階全部よりもでかい。

この広さも慣れる事が出来ない。


俺がそんな事を思っていると

「大丈夫。私も慣れてないから」

ミホが小さく呟くのが聞こえる。


いや、この家の子供だろ?と突っ込みを入れたいところだったのだが。

ミホの父親はなんとも言えない表情をしたままだ。

「いろいろ言いたいのだが。娘をお願いしたいと言いたいのだが」

ミホの父親は、出されていたステーキをじっと見つめている。


何が言いたいのかは分かった。

「何で、うちの娘は小さくなっているのかな?」


「可愛くていいじゃない」

気にしていない様子のミホの母親。


そう。ミホの身長は小さくなってしまっていた。

140cmくらい。

丁度、小学生中学年の身長くらいに。


ケイトさんいわく。

「多分、いろいろと削られた結果なのでしょうね」

そんな事を言っていたのだが。


「いいじゃない。あなた。神血にとって、接続者(コンタクター)に選ばれるのは絶対的な幸せなんだから」

そう言って笑うミホの母親。


父親は、俺を見ながら、あきらかに戸惑っているのだった。


結局、いたたまれなくなり、俺は自分の家にそうそうに帰る事にしたのだった。




「ほら。遅刻するから!起きなさい!」

突然揺り起こされる。


ふと見ると、薄着のミホが俺の顔をぺちぺちと叩いていた。

「んーあと少し」

そう言いながら、ミホを自分の布団に引っ張り込む。

小さい体が、抵抗もなく布団に入って来て。


「ぐふっ!」

膝蹴りが入った。


「ち、こ、く、す、る、か、ら!」

耳元で大声を上げられ。


俺は仕方なく体を持ち上げるのだった。


「さっさと食べる」

ミホは、そう言いながら、朝ごはんを出してくれていた。


丁度いい感じの温かさの紅茶があるのは、彼女が来てから変わった事の一つ。

ミホの手料理は美味しくて、つい食べ過ぎてしまう。


食べ過ぎたら、また眠たくなるんだよな。

そんな事を考えていると。


「寝たら、また膝入れるからね」

ミホが怖い。




結局二人して朝の町を歩く。

ミホのナノマシンが俺の中に入っているせいか。


彼女が本気で怒ってないのは分かっていた。

その証拠に、ミホはこっそりと俺の腕を掴んでいたりする。


手を繋がないのかと聞かれたら、彼女は全力で真っ赤になるだろう。


結局、二人で登校する。


「本当に最近仲がいいね。君たち」

セイギが、笑いながら声をかけてくる。


俺が返事をできずにいると。

「相方だから」

小さく呟くミホ。


その姿を見て、セイギは笑っていたのだった。



「で、次。シュウ」

突然先生に呼ばれて、びっくりしてしまった。

銃実践の実技で、いままで銃を渡してくれる事なんて一回も無かったのだが。


「ミホも、同時に行う事」

先生の言葉で、俺の隣でミホも銃を構える。


その姿を見て、俺は思わず自分の銃より先にミホの手を握っていた。


「だから、腕を張りすぎ。もう少し緩めないと。そう。肘は少し曲がる気持ちで。手はこっちを添える」

いろいろとミホの体制を整え直し。


「チャージしたら、銃が壊れるから、連射のイメージで」

その言葉の後。


ミホの手の中で、銃は暴発していた。



「ごめんなさい」

泣き顔で頭を下げるミホに、先生は笑いながら大丈夫と言っている。


背が小さいミホは、まるでジュニアアイドルのようで可愛い。


そんなミホが俺の接続者(コンタクター)である事に、俺は優越感を感じていたのだった。




放課後。

いつも通り二人で帰っていると、これまたいつもの通り。

車に押し込められてしまう。



そして。

軍施設に来たのだが。


「前回の事があったからね、君たちに、護衛用の銃を渡す事が決定したのだけど、無いのよ。特に、シュウ君に合う銃がね」

ケイトさんは、疲れた顔で、俺を見ていた。


「これをあげるから。使ってみて。試作品だけどね」


そう言って渡されたのは、見覚えのある武器。

「これって、自動機構(オートモーター)の武器ですよね?」

そう。


超小型化された、自動機構(オートモーター)用のブレードだった。


「仕方ないじゃない。あなたの魔力が今いくらか、自分で分かっているでしょ?普通の人間用の武器じゃ、魔力に耐えれないのよ」


頭を抱えるケイトさん。

仕方なく、軍施設の中にある闘技場の中。

武器を発動させる。

あっさりと発動した赤いブレードを振ってみる。


途端。

巨大なビームスラッシュが飛んで行く。


「何も言わないから、それを使ってちょうだい」


闘技場を激しく揺らしながら着弾したそれを見ながらケイトさんは、呆れた声を出すのだった。



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