ゴミはゴミ箱にね! ~ 流れ星の真実~
お空の上、のさらにもっともっと上の方のお話。
ここは宇宙。
「ワン、タン、メーン!」
ヒゲをたっぷりとはやした神様が、巨大なゴミを棒でぶったたいたの。
「おお、これは今度こそホールインワン間違いなしじゃあ!」
ゴミが飛んで行く先にあるのは、漆黒の闇の中に青く光り輝く〝地球〟という星。
――もしかして、キミやわたしの住んでいるこの星だったりして。
神様のゴミは地球の重力につかまって地球へと落ちていったの。
「ホールインワン! ホールインワン!」
「カモーン!」
愛くるしい天使たちが、手拍子して、地球にゴミが命中するのを期待していると……
「ああっ、ダメだー」
神様のはなったゴミは地球の周りにある〝大気圏〟――つまり、空気の層とのまさつ熱で、はげしく燃えはじめてしまったの。
「これは地上までとどかないですね」
「大気圏ポチャです」
「神様、664ロスト」
「チキショーっ!」
じだんだをふんでくやしがる神様。
ポケットからまたひとつゴミを取り出します。
「今度こそっ。イン、スタ、バエーっ!」
神様の665個目のゴミが地球に向かっていきます。
「ワンフォアオール! オールフォアワン!」
「カモーン! ゴッド!」
天使たちの応援にもさらに熱がはいります。
今度の神様のゴミも地球にとどく前に大気圏のまさつ熱で燃えはじめたわ。
でも、さっきよりも燃え方がすくない?
「ああっ、今度もダメじゃーっ」
「これは角度があさすぎて地上までとどかないですね」
「OB、太陽系外です」
「神様、665ロスト」
神様と天使たちがそんな風に遊んでいるころ、地球では人間たちがそのようすを見て喜んでいました。
「流れ星きれいーっ」
「きたーっ、願い事いわなきゃー」
「プレゼントはお金が欲しいです」
「カレシができますように」
そんな人間たちのことが神様用のテレビでトップニュースとして流れました。
「くすくす」
「人間ったらオカシーっ」
「ただの神様のゴミなのにー」
「排泄物みたいなものなのにねー」
「ところで〝はいせつぶつ〟ってなにー?」
神様は天使たちに笑われてしまいました。
――えっ「排泄物ってなに」ですって?
それは神様の名誉を守るため、ヒミツです。
「ただのゴミなんじゃが、なんか悪いのう」
「神様カッコわるい」
「くそっ、今度こそ決めちゃるぞい。次は記念すべき666個目じゃからの!」
「神様がんばってー!」
「なになに。〝飛距離に悩まされているアナタにぴったり〟とな。このゴミに決めた!」
神様が666個目に選んだのは、とっても大きくて形もりっぱなゴミでした。
パッケージに商品名も書かれています。
――なになに?
【恐怖の大王】ですって。
あれ、この商品名、わたし大昔に聞いたことあるような……?
「いっけー! アル、マゲ、ドーン!」
みなさん。
ゴミはちゃんとゴミ箱にすてましょうね。
地球にすててはダメですよ。
おわり
最後までお読みくださりありがとうございます。
もしよければご指摘、ご感想など頂けますと成長に繋がります。
2021.12.16 修正しました。
「いっけー! プテ、ラノ、ドーン!」
↓
「いっけー! アル、マゲ、ドーン!」