ヤツの見た目は洋猫
自覚は無かった。
そう、あの日のヤツに会うまでは。
ある日、ヤツは 我が家の解放状態の倉庫の棚に佇んでいた。
初めてではない。
姿のホンの一部が変わっていた。
以前であれば、追い払っていた。
そっと、移動を促すように。
決して、野良猫を憎んでいるわけでも、蔑んでる訳でもない。
嫌いなのは、無責任に、エサを・・・
栄養バランスが取れているエサを「無責任」に与える人間だ。
野良の母猫が子猫を引き連れている。
微笑ましい光景だ。
猫に含むところは無い。
でも、その行列のメンバーは少しずつ減っていく。
人間に、拾われ、貰われていくのだろうか?
・・・1%以下の確立と想像している。
残りの子猫はどうなってしまったのか?
年2回の繁殖が日常になってきていると、母猫の負担は?
話を、ある日 倉庫の棚に佇んでいるネコに戻そう。
その日のヤツは、左耳にVカットが入っていた。
そう、地域猫(サクラ猫)になっていたのだ。
近隣で、地域猫を見かけたので驚きはしなかった。
おれは、地域猫活動には基本賛成だ。
賛否両論あるだろうけど、おれの意見は賛同だ。
その日のヤツは、気怠そうに佇んでいた。
おれの姿を見て、
「今、退きますニャー」と、言わんばかりの感じで立ち上がった。
おれは、そのままでいて欲しいと この時は思った。
試しに、手のひらで押しとどめる動作をした。
伝わるとは思わなかった。
伝わった・・・。
「退かなくて良いのかニャー」と、いった感じで座りなおした。
これが、ヤツとの事実上のファーストコンタクトである。