佐倉先輩2
夏合宿に行った。前期の総括などを話し合うのだが、議案を書く為に徹夜が続きやたらと眠かった。
その後佐倉先輩とは部室で時々会うぐらいで二人きりになることもなく、会えれば嬉しく苦しかった。
合宿最終日、雨が降った。夜、雨上がりの空を見に散歩に出た。佐倉先輩が来てくれたら……そんなことを思いながら独り、ドアをくぐった。
「あ、村上くん。わたしも行くわ」
どきっとした。
雨上がりの夜空は本当に綺麗で、真砂の様な星というのはこういうことかと知った。
「議案お疲れさん。膝枕したろか?」
「……お願いします」
好きな人にしてもらう膝枕は初めてだったが、徹夜続きでとにかく眠かった。
「あ、こら。寝るな」
「……はっ。あー、せっかくの膝枕がー」
「もうしてやらん。べー」
あかんべーをする先輩が、とにかく可愛いと思った。
「村上くん、ごめんな。わたし、やっぱり付き合ってる人が好きなんやわ」
「……先輩は、ずるいなあ」
「……じゃ、一緒に帰ろか」
合宿所に戻るまでの道が、永遠に続けばいいと思った。でも綺麗な星の下の道は、短かった。
もう一年、同じ大学にいたけれど3回生は夏まででサークルを引退するため接点は少なくなった。たまに会えば、心が血を噴いた。
卒業後、佐倉先輩は教師になった。僕は4年で大学を卒業出来ず五回生になったが、その年に佐倉先輩は結婚して遠い街へ行ってしまった。結婚した相手は、先輩が学生の頃に付き合っていた人ではなかった。
完結していたのにメインの連載より読んでくれている方が多かったので、何となく再開します。でも、前ほど頻繁に更新は出来ません。なぜなら、ネタがないから。