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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第3章 悪魔編
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血の海に立つ美女

残酷な表現があります。ご注意下さい。

「アオイ!行ったぞ!」

コーナスの叫び声が響く。


あたしは思わず振り返ってしまった。

見るとゴブリン3体とホーンドッグ4体がアオイさんを目掛けて突進していた。


「ルビア!仲間を信じろ!」

コーナスが叫ぶ。


「はいっ!!」


大丈夫!

あたしの仲間達は強い!

あたしはあたしのやるべき事をやる!


あたしが意識をオークに戻すと、あたしの目の前には4体のオークがバトルアックスを振りかざしていた。

ゴブリン達を威嚇していた、一際大きなオークは4体のオークの数メートル後ろでバトルアックスを構えている。


あたしの頭上に4本のバトルアックスが振り下ろされた。


「しまった!」

意識をオークから外してしまい、一手遅れてしまったのだ。


あたしは両腕の水属性の魔導を解除し、土属性の魔導を腕に纏う。


『ガギンっ!!』

腕には鉄のシールドが現れ、4本のバトルアックスを受け止めていた。


あたしの足は、4本のバトルアックスを受け止めた衝撃で少し地面に沈む。


「ぐっ…う…うぉぉおおおりゃあぁ!」

両腕を強引に押し上げ、オークもろともバトルアックスを弾き飛ばした。


4体のオークは体勢を崩し、後ろに仰反ってしまう。


「アイシクル・ランス」

あたしの周りに10本の氷の槍が発現し、5体のオークに2本ずつ射出された。


体勢を崩したオーク4体の腹や太腿に氷の槍が突き刺さり、オーク達は地面に転がる。

後ろにいた一際大きなオークにも、2本の氷の槍が襲いかかる。


『ガシャシャっ』

オークはバトルアックスで氷の槍を叩き落とし、氷の槍は澄んだ音を残して霧散してしまった。


「やるなぁ」

4体のオークは氷の槍で戦闘不能になった。あとは、あいつだけだ…

「グヴァァアアアア!」

一際大きなオークが威嚇するように叫んだ。その時、戦闘不能になった(と、思った)4体のオークが、腹や足に刺さった氷の槍を強引に引き抜き、血を吹き出しながら立ち上がった。


「うそ!立てるの?」

あたしは背後に飛び、オークとの距離をとった。


4体のオークはフラつきながらもバトルアックスを構え、戦う意思を示した。


「こいつら…」

あたしは過去の苦い経験から、なるべく血の海を作らないように倒すつもりだった。

しかし、そんな余裕は無いようだ。

あたしは、こいつらを全力で倒す。そう決めた。


「おりゃああぁぁぁぁああ!」

あたしはフラついてるオークに突進し、オークが振り下ろすバトルアックスをサイドステップで躱し、下がった頭に、炎を纏った足で回し蹴りを入れる。


『ボンっ!』

回し蹴りのダメージにファイヤーボールの爆発ダメージが加わり、オークの頭部はスイカが爆発するように飛び散る。残った体からは血が噴水のように吹き上がった。


左隣にいたオークが血を浴び怯む。

あたしはそのまま左に跳び、オークの腹に肘鉄をめり込ませる。

オークが腹のダメージに耐えきれず頭を下げたところを、炎を纏った右拳でアッパーを顎に叩き込むと、オークは下顎を破壊され、後ろに吹き飛ばされた。


「ぐるぁぁ!!」

オークを吹き飛ばし振り返ると、残り2体のオークはあたしの頭上にバトルアックスを振り下ろしていた。


「…っ!!」

2体のオークのバトルアックスを両手を頭上でクロスして受け止める。

腹や太腿に大怪我をしたオークの攻撃は、腰が入ってなく軽いものだった。


「グルゥアアアァァァァ!!!」

オークのバトルアックスを受け止め正面を見ると、背後にいた一際大きなオークが、あたしに攻撃しているオークごと切り飛ばそうと両手で持ったバトルアックスを真横に振り抜いた。


2体のオークは腰辺りで真横に切断され、残された下半身から大量の血を吹き上げる。そのまま振り抜かれたバトルアックスはあたしのお腹を切り裂こうとしていた。


「こいつっ!」

咄嗟にお腹辺りに土属性の魔導を纏うと、バトルアックスとお腹の間に鉄のシールドが現れた。


『ガギンっ!!』

バトルアックスはあたしが出現させたシールドに当たり、鉄と鉄がぶつかる激しい音が響いた。


あたしはそのまま後ろに飛ばされ、両手両足をついて着地した。


前を見るとオークはバトルアックスを構えて突撃して来ていた。


「うぉぉおおりゃああぁぁぁ!」

あたしは退かない!!

こんなヤツ相手に、とおさまなら絶対に退かないから!

とおさまのアイアンナックルを握りしめ、向かってくるオークに突撃する。


オークはバトルアックスを両手で持ち、真横に振り抜いた。

あたしはバトルアックスを狙い、渾身の力で右ストレートを打ち抜く。


『ギャリギャリ!! ギャリンっ!!』

とおさまのアイアンナックルとバトルアックスが衝突し火花を散らした後、バトルアックスに小さな亀裂が入る。


「らぁぁぁあああ!」

あたしは更に腰を捻り拳に力を入れ押し込む。


『ガシャン!!』

小さな亀裂は全体に広がり、バトルアックスを粉々に破壊した。

その衝撃でオークは後ろに弾かれタタラを踏む。


「おりゃああぁぁぁあああ!」

あたしは両腕に炎を纏いオークの腹にラッシュを打ち込んだ。


「グァァアアアア」

オークの体は無防備にラッシュを受け、腹や腕、足など打撃を受けた場所が破壊される。


「うらぁ!!」

ラッシュで少し浮き上がったオークの腹に、渾身の右ストレートを打ち込むとオークの腹の左半分が吹き飛んだ。


オークはよろよろと後ろに退がり力なく倒れてしまった。


「ふぅ…」

全身に返り血を浴びたあたしは、血の海の中心に立っていた。

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