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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第3章 悪魔編
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『新生』竜の牙の戦い

残酷な表現があります。ご注意ください。

草原を数日歩くと、遠目に森が見えてきた。

あの森はいつもあたし達に食料をくれる恵の森だ。

「森が見えてきた。そろそろ魔獣も出やすくなる頃だ。気をつけて進もう」

コーナスさんがみんなに声をかける。


「魔獣ですか…」

アオイさんは少し緊張しているようだった。

(みんな森に入る時、緊張するのよね。ウサギや小鳥がたくさん獲れるいい森なんだけどなぁ)


「アオイさん、大丈夫ですよ。魔獣が出てもあたしが守ってあげるから」

あたしアオイさんの緊張を和らげようと、ニコっと笑い話しかける。


「……ぅ  あ、ありがとう…」

アオイさんは少し凹んでいるように見えた。


「ルビア、それはアオイが可哀想だぞ」

コーナスさんが苦笑いしていた。

隣でミモザさんとアキレアさんも苦笑いしている。


「え?」

なんで?


「だっ 大丈夫です!オレは今は弱いけど… 強くなって大切な人を守れる男になります!」

突然アオイさんが叫ぶように宣言した。


「ははは、それが男だ!」

コーナスさんは笑いながらアオイさんの背中を叩いていた。


「ぷぷぷー ルビアさまより強い男になるなんてムリですよぉ」

シオンはプスプス笑いながらアオイさんに絡んでいる。


「え?あたしより強くなるの? ん?アオイさんは大切な人を守れるくらい強くなりたいのよね…」


少し考える…

あ!そうか!!

あたしはアオイさんが旅についてきた理由が分かった。

きっとアオイさんが守りたいのはステラリアさんだ。彼女は守りたくなるような、か弱くて、可愛い女性だからね。

アオイさんいつもあの酒場に行ってるし、きっとステラリアさんが好きなんだ…

だからあたし達と旅に出て強くなろうとしてるんだ!


「アオイさん!頑張って強くなってね!」


そうか、そうか…

アオイさんも可愛いとこあるよねぇ

あたしは、うんうんと頷きながらアオイさんの手を握り、ブンブンと振って応援した。


「………」

アオイさんは、なぜが微妙な顔で笑っていた。


「アオイさん、さすがにシオンも少し同情しますぅ」

シオンはアオイさんの肩をポンポンと叩いていた。


「ま、まぁ、とりあえず魔獣に気をつけてながら進むぞ」

「そ…そうね。みんな気をつけましょ」

コーナスさん達も微妙な顔をしながら歩みを進めていた。


(うーん、なんだこの空気感…?)


微妙な空気感を感じながら森に向かって歩いていくと、あたしの魔力感知に反応があった。


「シオン!」


「あぃー、敵ですね」

シオンも感じとったようで、臨戦態勢に入る。


「みなさん、敵です!」

あたしはみんなに声をかけて、両手にとおさまのアイアンナックルを装着する。


あたしの声に全員が臨戦態勢に入り、辺りを警戒する。


「右前方です」

あたしは魔力を感知した方向を指差し注意を向けるが、そこは草原が広がっているだけだった。


警戒しながら少しずつ近づくと、そこは草原が下り坂になっている事がわかった。

その瞬間、下り坂に寝そべるように隠れていた錆びたショートソードを持ったゴブリン達と、頭からツノを生やしたオオカミ『ホーンドッグ』が飛び出してきた。


「アキレアはボウガンで攻撃、シオンとアオイは撃ち漏らしたやつを迎え撃て!ミモザはサポートだ!ルビア!行くぞ!」

コーナスは叫ぶと同時に竜化する。身体に竜のウロコが生え、腕が一回り太くなる。見た目は尻尾がない屈強なリザードマンだ。

竜化したコーナスはバスターソードを片手に持ちゴブリン達に突撃する。


「アイス・ストーム!」

あたしが呪文を唱えると無数の氷の礫が出現し、ゴブリンとホーンドッグに向かって射出される。

氷の礫はゴブリンとホーンドッグにたいしたダメージは与えなかったが、足止めには効果を発揮した。


足止めされたホーンドッグがアキレアのボウガンの餌食となり倒れていく。


「物理耐性向上!!」

ミモザがアオイに呪文をかけると、一瞬アオイが淡く光り元に戻る。


シオンとアオイはミモザの前に立ち、ゴブリン達を迎え撃つ体勢をとっていた。


あたしが両手に氷を纏と、まるでダイヤモンドダストのようにあたしの両腕にはキラキラと氷が舞っていた。

「よしっ」


あたしはゴブリン達を『ギンっ』と睨む。あたしを中心に強烈なプレッシャーが発生しホーンドッグ達は足を止め、ゴブリン達が一瞬たじろいだ。その時、ゴブリン達の後ろから「グルラアアァァ!!」と叫び声が聞こえた。


ゴブリン達の後ろからオークが5体現れ、その中の一際大きなオークが叫んでいた。


ゴブリン達はビクっとした後「グギャギャギャ!」と叫び、あたし達に突進を再開した。



「ルビア!オークを狙え!」


「はい!」


コーナスはあたしに指示を出し、ゴブリン達に突撃しバスターソードを片手で横殴りにする度に、2〜3体のゴブリンが真っ二つになり、残された下半身から大量の血の噴水を噴き出す。


あたしがオークを目指して突撃すると、1体のゴブリンが立ちはだかった。

「おりゃぁあ!」

ゴブリンがショートソードを振りかざそうとした瞬間、あたしの氷を纏った右ストレートがゴブリンの腹に減り込んだ。


「ぐぎゃっ」

ゴブリンは短く悲鳴を上げると、腹を中心に氷が広がり全身を氷が覆いゴブリンの氷像が完成した。


あたしはゴブリンの氷像を蹴り、粉々に破壊しオークを目指して突進を再開したその時、コーナスが叫んだ。


「アオイ!行ったぞ!」

あたしが振り返ると、ゴブリン3体とホーンドッグ4体がアオイ達に向かって走っていた。

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