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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第3章 悪魔編
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新入り『アオイ』

「と…とりあえず、あたしだけで決めれないからコーナスさんに連絡するね」

あたしはアオイさんとシオンをなだめながら、指輪を使ってコーナスさんに連絡した。



「コーナスさん、ルビアです」

指輪に意識を集中して話しかける。


「お?ルビア、どうした?」

コーナスさんは初めて指輪を使ったみたいで、「これ、どうしたらいいんだ?」「おい、ミモザ、あれ?」とか言っていた。


「コーナスさん、普通に話すようにしてくれたら大丈夫ですよ」

あたしは、ふふふと笑う…

ふと、思いだした。ゲンゲさまが『これ、思った事みんな伝わるみたいだぞ』って言ってたのはコレか!

なるほど、この指輪… 危険だ…


「あ、そうか。で、なんだ?」

コーナスさんは指輪の危険性に気がついていないようだったが、あえて言わないでおこう…


「あの、いま酒場にいるのですが、アオイさんという方が一緒に旅をしたいって言ってるんです」


「アオイ?そうか、人手が多いのはいいんだが… とりあえず酒場に行くよ。少し待ってくれ」


「はい、すいません。お願いします」

あたしは指輪に送っていた魔力を止め、意識を戻すとコーナスさんとの通話が切れた。

ほんと、携帯だな…


「今からリーダーのコーナスさんが来てくれるから、コーナスさんと話してくれる?」

あたしがアオイさんに説明すると、アオイさんは身嗜みを整え始めた。


「アオイさん、逃げ出すなら今のうちですよぉ」

シオンはニヤニヤしている。


「もう!シオン、そんな事言わない!」


「あぃー」

シオンは、ぶつぶつ言いながら料理の続きを食べ始めた。


しばらくすると酒場の扉が開き、髪を短く切り揃え、黄色い目が印象的な屈強な男と、赤い髪で大きな目とそばかすが可愛い女性が入ってきた。


「コーナスさん、ミモザさん!」

あたしは席を立ち、手を振って合図する。

横でアオイさんは、ピシッと背筋を伸ばして立っていた。


「ルビア!」

コーナスさんはあたしを見つけて近寄ってきた。ミモザさんはコーナスさんの少し後ろをついてくる。

(この2人、どうみても夫婦なんだけど…)


「すいません、忙しい時に…」

あたしはコーナスさんとミモザさんに頭を下げる。


「いや、構わない。それで、君がアオイか?」

コーナスさんは鋭い黄色の目でアオイさんを見る。


「は…はい!は、はじめまして!ぼ… オレはアオイ。冒険者で戦士をしています!」

アオイさんは大きな声で挨拶をする。


「ははは、アオイ、そんな大きな声じゃなくても聞こえてるよ」

コーナスさんは笑って、アオイさんの肩をバンバンと叩く。


「それで、アオイはオレたちと旅をしたいのか?」


「は、はい!オレを仲間に入れて下さい!」


「うむ、アオイ。オレたちはこれから長期間の旅に出る。お前は旅を…いや、冒険をした事はあるのか?」


「あ…、オレはこの町で魔石の採掘をしています。冒険はした事ありませんが、魔石運搬中はゴブリン等から仲間を守って戦っています」


「なるほど、ちなみにランクは?」


「戦士のアイアン級です…」

アオイさんは少し俯き、小声で答えていた。


「ふむ、アイアン級か。戦士以外のランクは持っていないのか?」


「はい…」

ますますアオイさんが小さくなっていく。


「よし、とりあえず今回の旅について来い。それで冒険というものを体験して、これからの事を考えればいいだろう」

コーナスさんはアオイさんの肩をポンと叩く。


「は…はい!ありがとうございます!」

アオイさんは頭が膝に付くのではないか、と言うくらい頭を下げる。


「えー!!! コーナスさん、本気ですかぁ?こいつヨワヨワですよぉ?」

シオンが、すごくイヤな顔をして立ち上がり反対する。


「ふふふ、シオンさん。リーダーが決めた事ですよ?これからよろしくお願いしますね」

アオイさんは勝ち誇ったような顔でシオンに握手を求めていた。


「アオイさん、シオン達の足だけは引っ張らないで下さいね」

シオンはすごくイヤそうに笑顔を作って握手をしていた。



「…ルビア、この2人仲悪いのか?」

コーナスさんがコソッと聞いてくる。


「そうなんです、あたしもよく分からないんですけど、なぜか仲が悪くて…」


「そうかぁ…」

コーナスは少し考えるとアオイさんとシオンの前に立ち、2人の肩を叩いた。


「お前たち、これから一緒に冒険するんだ。お互いの命を預ける事もある。仲良くするんだ!いいな!」


「うぇー」

シオンはすごくイヤそうな顔をしている。


「くっ わ、わかりました」

アオイさんはしぶしぶ了承していた。


「ところでアオイ。お前はいつくだ?」


「ぼ… オレは17歳です」


「17か、冒険に出るにはいい年頃かな。オレ達は明日この町を出る。片道約1ヶ月の旅だ。今すぐ準備して明日の朝、オレ達が住んでいるリリウム女王の屋敷前に集合だ。ルビア、アオイの準備を手伝ってやれ」


「はい、わかりました」

あたしはコーナスさんに返事をしてから、アオイさんに「よろしくね」と微笑む。


「え… あ、その、よろしくお願いします…」

アオイさんは、なぜか赤い顔をしてモジモジしていた。


「じゃぁ、シオンも手伝いますぅ」

なぜかシオンは口を尖らせて手伝いを名乗り出た。


「え?シオンは別に…」

アオイさんが言おうとする言葉を遮るようにコーナスさんが声をかける。


「よし、シオン頼んだぞ」


「あぃー」


少し残念そうな顔をしたアオイさんと、ニヤニヤするシオンがそこには居た。



「なるほどな…」

コーナスさんとミモザさんは、何か納得したような顔であたし達を見ていた。

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