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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第3章 悪魔編
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竜の牙 再始動

あたし達は竜の牙として活動を再開した。

またコーナスさんやミモザさん、アキレアさんと旅ができる!

それだけで、あたしは浮かれていた。


「ルビアちゃん、ずっとニコニコしてるね」

ミモザさんが、口元を隠してふふふと笑う。


(あぁ、このミモザさん見るのも久しぶり)

あたしの顔はますます緩む。

「だって、またみなさんと旅ができるなんて… もう無理だと思ってたから、嬉しくて…」


「そうね、わたしもスゴく嬉しい」

ミモザさんは少し涙目になって、あたしとシオンを抱き寄せてくれた。


「さぁ、オレたちも新しい任務をはじめよう」

コーナスは手を叩き明るく声をかけてきた。


「コーナスさん、新しい任務って決まってるのですか?」

あたしにはやりたい事があった。

それはマヴロの廃コロニーに残してきた住人達を迎えに行くことだ。アイアン級とは言え冒険者と居るので大丈夫だとは思うが、みんな無事か気になっていたのだ。


「オレ達の最初の任務は、廃コロニーや森に隠れている住人達を都市に連れてくる事さ。まずはマヴロのコロニーに残してきた仲間を迎えに行こう」

コーナスは満面の笑みを浮かべみんなの顔を見る。


「はい!」

みんな同じ気持ちだったんだ…

やっぱり竜の牙メンバーは最高だ。


「あ、コーナスさん、1つだけお願いが…」

あたしには、もう一つやりたい事がある。


「なんだ?」


「あの… マヴロのコロニーに着いたら、とおさまとかあさま、そしてコロニーのみんなのお墓を作りたい」

今までは生きる事に必死で、とおさまとかあさま、クルクマやメイドの人達、コロニーのみんなのお墓を作り弔う余裕も無かったのだ。

ジギタリス帝国との戦いも終わり、やっとみんなを弔う事が出来るのだ。


「そうだな。ルビアのご両親や仲間達に戦いは終わったと報告して、安心して眠って貰おう」


「ありがとう…」

あたしがコロニーを出たのが10歳。もう5年も経ってしまったんだな…

そろそろ、とおさまも『マシになったな』って言ってくれるかな?

あたしは、少し涙が出そうになっていた。



「さぁ、マヴロのコロニーに行くには1ヶ月かかる。途中の森で食料も確保しながらの移動になる。今日はしっかり準備して、明日出発しよう」

コーナスの指示に従い旅の準備を始めた。


あの『いつもの酒場』に行ってステラリアさん達に挨拶しておこう。

あたしはシオンと昼間は旅の準備をして、夕方いつもの酒場に行ってみた。酒場はすでに営業しており、何人かのおじさん達がお酒を飲んでご機嫌になっていた。


「こんにちはー」

酒場に入ると、ステラリアさんが忙しそうに料理を運んでいた。


「あ!ルビアさん、シオンさん!いらっしゃい!さぁ、ここのテーブルに座って。飲み物は何にする?」

ステラリアさんはいつも元気いっぱいに迎えてくれる。相変わらずネコ耳がピコピコして可愛い。


「じゃあ、オランジェ水と今日のおすすめ料理をお願いします」

「シオンも同じでお願いしますぅ」


「はーい、ちょっと待っててね」

ステラリアさんはパタパタと厨房に入っていった。


「またしばらく、ここの料理食べれなくなるね」

「そうですねぇ」

「あ、エゴノキさんのお店の焼肉食べ放題にも行きたいね」

「あぃー。焼肉、お腹いっぱい食べたいですぅ」

「ねー」

あたし達は他愛のない話しをしながら料理を待っていた。


しばらくするとステラリアさんが料理とオランジェ水を持ってきた。

「おまちどうさまっ」


「ありがとう。あのね、ステラリアさん」

あたしはオランジェ水を受け取りながら、話しかける。


「なぁに?」


「あたし達、また旅にでるの。だから、しばらくステラリアさんに会えないから挨拶しとこうって思って、今日来たの」


「そうなの?ジギタリス帝国の話しも落ち着いたし、ゆっくりすればいいのに」


「あたし達が以前住んでいたコロニーで仲間たちが待ってるからね。みんなを迎えに行ってくるね」


「そうなんだ!この町も賑やかになるわね!」


「うん!仲間たちもこの首都リリウムを気にいると思う。ここの人達はみんないい人ばかりだからね」


「ふふ、ありがと。あー、アオイさんルビアさんに会えなくなるから凹むだろうなぁ」

ふと、ステラリアさんは口元に指を当てて考えていた。


「え?アオイさんが?なんで?」

なぜアオイさんの名前が出てくるのだろう?


「あれ?ルビアさん気がついてない?」

ステラリアさんは不思議そうな顔をして、あたしを見ている。


「シオンは認めませんよぉ。あんなヨワヨワ軟弱男はルビアさまに似合いません」

シオンは急に不機嫌になり、料理を雑に食べ出した。

まぁ、いつもシオンはアオイさんに突っかかってるし、相性悪いのかな?


「ふふふ、シオンさんはアオイさんに厳しいですね」

ステラリアはクスクスと笑っていた。


「ルビアちゃん!来てたの!?」

背後から急に声をかけられた。

振り向くと赤い髪で灰色の目をした美青年、噂のアオイさんがニコニコしながら立っている。

この人、いつもニコニコしてるよねぇ

と、ぼんやり思いながらニコっと微笑み挨拶すると、アオイさんはだらしないくらいの顔になってしまった。


「アオイさん、ルビアさん達また旅にですそうですよ」

ステラリアさんが声をかけると


「ええ!!!ウソだろ!?」

ニコニコしてた顔が悲壮な顔に変わる。


「本当です。しばらく会えませんが、あたし達の仲間を連れて帰ってきますね」

あたしはアオイさんの手を握り微笑む。


「ぼ… オレ、ついていく。オレも旅に出る!」

アオイさんが叫び出した。


「はぁ?足手まといなんですけどぉ?」

シオンはイヤそうな顔でアオイさんを見ていた。


えぇ… どうしよ…

あたし1人がオロオロしていた…

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