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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第1章 旅立ち編
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コロニーの主と招待状ー4

残酷な表現があります。

ご注意ください。

「ぶっ殺してやる!」

と、ニゲラが叫ぶのを合図に戦いは始まった。


マルバ以外の4人は一気に走り、マヴロまでの距離を縮めていた。


「これでもくらいな!マジックミサイル!」

マルバは身長ほどある杖を振ると目の前に光の矢が2本出現した。


「ほぉ!マジックミサイルか!」

感心したようにクルクマが感嘆の声をあげる。


「クルクマ、アレすごいの?」


「はい、ルビアさま。アレは『マジックアロー』の上位魔法です。レベルの高い黒魔導士は最大5本の『マジックアロー』を出現させます。あの『マジックミサイル』はその上位版で、『マジックアロー』は名前の通り魔法の矢で突き刺さるだけですが、『マジックミサイル』は突き刺さった後、爆発します。達人の域に入ることが出来た黒魔道士だけが使用できると言われ、最大5本出現できるそうです。1本でもかなりの腕ですが、それを2本も出現させるとは!」

クルクマはかなり興奮しているようだった。


(最大5本? あたし、マジックミサイル7本撃てるし、アレより大きいんだけど… あれ?)

マルバが出現させたマジックミサイルはボウガンの矢くらいの大きさだか、ルビアが撃つマジックミサイルは対戦車用ミサイルくらいの大きさがあるのだ。


(とりあえず、黙っておこう…)


闘技場では、マルバが出現させたマジックミサイルがニゲラたちを追い越し、マヴロに吸い込まれるように命中し爆煙が立ち昇る。


ランサスはマヴロから2mほど離れた場所から、刀を居合い抜きすると剣劇が飛ぶ。

さらに巨人エキザカムの巨大なバトルアックスがマヴロの頭上辺りに振り下ろされた。


しかし、剣劇がマヴロに当たる瞬間、『ガキン!!』と金属がぶつかり合うような音が聞こえ、バトルアックスは振り抜かれることなくマヴロの身長くらいの高さで止まる。


マジックミサイルの爆煙が徐々に晴れてくる。

ランサスが放った剣劇は左手の手刀で叩き落とされおり、エキザカムのバトルアックスは、マヴロが上げた右手の人差しと中指に挟まれて止まっていた。


マヴロは、着ていたヨレヨレのTシャツの一部がコゲただけて無傷だった。


「……無傷…だと?」

ランサスの表情に恐れが浮かぶ…


「うぉらあぁぁあ!!!」

一番最初に正気に戻ったのは狼の獣人シーレーノスだった。

シーレーノスは3mほどあった間合いを一瞬で詰め、大きなナタをマヴロの腹に振りかざす……が、腹に届く前に右の頬にマヴロの裏拳がめり込んでいた。


シーレーノスはめり込んだ頬を始点として上空に吹き飛ばされ、何重にも貼られた闘技場の結界に叩きつけられ爆ぜる。

まるで空に花火が打ち上がるように、シーレーノスは空に真っ赤な花を咲かせたのだった。


上空の結界からポタポタと赤い雨と、小さな肉片が落ちてくる…


「…うっ」

あたしは吐きそうになるが、なんとか我慢する。

周りの観覧席からは、大歓声が上がっており、リアリナやクルクマも手を叩いて喜んでいる。


「ルビア、大丈夫?」

リアリナがルビアの様子に気づき心配そうな顔をしている。


「…う、うん。あたし、魔獣としか戦ったことなかったから…」

ルビアは魔獣と戦うが、ほとんどは追い払うだけだった。稀に殺してしまう事もあったが、あんな酷い死に方は見た事がなかったのだ。

しかも獣人とは言え、人と同じような姿で言葉も話すと者となると衝撃を受けてしまう。

これを『娯楽』と呼ぶ魔界の恐ろしさを改めて実感した。


闘技場ではマヴロがバトルアックスを指で弾き、エキザカムが体勢を崩していた。


「飛ぶ斬撃を射てるのは、てめえの専売特許じゃねぇぞ?」

マヴロはそう言うと、ランサスに向かって右手を手刀にして横に振り抜く。


「……!」

反応が遅れたランサスは声を上げることもなく、左の脇腹から右肩にかけて切断され、上半身が地面に落ちた。


「うおおおおぁぁぁぁぁあああ!!!」

巨人のエキザカムが咆哮を上げる。闘技場内の空気がビリビリと震え、耳を押さえないと鼓膜が破れそうになる。


「うっせぇ…」

マヴロはボソリと呟くとエキザカムの頭に回し蹴りを入れた。


ボンッ!


と、音と共にエキザカムの咆吼は消え、その巨体の上にあったはずの頭が無くなり血の噴水を噴き上げていた。


ニゲラとマルバは、目の前の惨劇に固まってしまっている。


「おい、てめえらは来ねぇのか?」

マヴロが2人をギロっと睨む。


「ひ!ヒィィィ!!」

ニゲラとマルバは腰を抜かし尻餅をついたまま、この場から逃げようとしていた。


「おいおい、逃げられると思ってんのか?」

マヴロは一瞬でニゲラの横に立ち、髪を掴んで無理矢理、目を合わせさせる。


「た… たのむ!命だけは!!」

顔中の穴という穴から液体を垂れ流し命乞いをする。


「あぁ?」


「ヒ、ヒィィィ!」

ニゲラは失禁し、ガタガタと震えている。

少し離れた場所にいるマルバも動けず、気絶しそうになっている。


「あ!そうだ!てめえら、オレの娘に勝てたら逃がしてやるよ!」

マヴロはものすごくいい笑顔になり、とんでもない事を言い出した。


観客席からは「うおおお!!ルビアさまーー!」と大歓声が起こる。


「はっ?ちょ… うそでしょ?」

ルビアにもハッキリとマヴロの提案は聞こえており動揺する。


「おーい、ルビアー。降りてこーい」

マヴロは、子どもを遊びに誘うように手招きしていた。

闘技場のニゲラとマルバはキョロキョロとし、状況が把握できていないようだ。


「これはダメね。ルビア行くしかないわ…」

リアリナがため息をつき、ルビアの背中をぽんっと叩く。


シオンは状況を楽しんでいるだけ…


「うそでしょーーー!?」

闘技場にルビアの叫び声が響いていた。

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