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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第2章 反撃編
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ルドベキア王国の第一歩

あたし達はリリウムのコロニー『ルドベキア王国』に帰ってきた。とは言っても、見た目は何もかわっていないのだけど…



あたしは門番さんに軽く挨拶してから、グニーをリリウムの屋敷に案内する。

リリウムの屋敷に着くと、屋敷の隣に新しい建物が建っていた。

建物は2階建で屋敷を旅館と表すなら、新しい建物は見た目が控えめだが、体育館くらい大きなペンションって感じだった。


新しい建物の前には武装した屈強なオニの男が2人立っており、こちらに気がつくと片膝をつき頭を下げる。

「グニーさま、ようこそおいで下さいました。ルビアさまもご無事でなによりです」


「うむ。リリウムさまはこちらか?」

グニーは短く問う。


「はっ。入口に案内の者を待たせております。どうぞお入り下さい」

男達は頭を下げたまま答えていた。


グニーはそのまま建物に入って行くので、あたし達も後ろをついて行くように建物に入っていった。

入口を潜ると広いロビーがあり、休憩用のソファーや小さなテーブルがいくつか置かれていた。

ロビーの中央には執事のマルスが姿勢良く立っており、グニーを出迎えていた。


「ようこそグニーさま。私は当家で執事をしておりますマルスと申します。この度はルドベキア王国までお越し頂きありがとうございました。この建物は皆様と話し合いをする為に建てたものでございます。一階が大広間、2階にみなさまのお部屋を用意しております。お疲れでしょうから少しお部屋でお寛ぎ下さい」

マルスは丁寧にお辞儀をして、建物について説明した。


「あぁ、構わない。まずはリリウムさまにご挨拶させてくれ。部屋には荷物だけ置かせてくれればいい」

グニーはそう言うと、移動用に纏められた荷物を親指で指して見せた。


「はっ、承知致しました。では、お部屋にご案内致します。ルビアさま、おかえりなさいませ。この奥に控え室があります。みなさんそこに居ますので、どうぞそちらへ」

マルスはグニーの荷物を持ち、グニーと従者を部屋に案内した。


あたし達はロビーを抜け、少し奥へ進むと札に『大広間』と書かれた立派な扉と、その横に『控え室』と札に書かれた普通の扉があった。


「ここかな?」

あたしは『控え室』と書かれた扉をノックして、コソっと中を覗く。

部屋は少し広めの会議室のようになっており、端にテーブルが置いてあり飲み物やお菓子が置かれていた。

部屋にはゲンゲやコーナスなど、主と交渉に向かったメンバーが思い思いに寛いていた。


「あ、ルビアちゃん、シオンちゃん!」

扉から覗くあたしとシオンを見つけて、ミモザが赤い髪を揺らしながら嬉しそうに小走りでやって来た。


「ミモザさん!!」

あたしは部屋に入りミモザに抱きつく。


「ルビアちゃん、シオンちゃんおかえりなさい。ケガはしてない?大丈夫?」

相変わらずミモザはかあさまのように、あたし達を心配してくれている。


「はい。なんとかグニーさまをご案内できました」

あたしは少し得意気に報告する。


「…また、ルビアさま暴れたんですよぉ」

シオンはミモザに耳打ちしている。


「あ!暴れてなんかないもん!ちょっとグニーさまと戦っただけだもん!」

あたしが顔を真っ赤にして大声で否定すると


「また暴れたのか。グニーも大変だったな…」

と、ゲンゲやコーナス達が集まってきて笑う。


「ち、違うし!!」


控え室は一気に和やかな雰囲気になり、みんな笑っていた。


みんなの顔を見ると、誰もが達成感で満足そうな表情をしていた。が、セロシアだけは疲れ切った顔をしていた。


「ミモザさん、セロシアさんどうしたんですか?」

あたしはミモザにコソッと聞く。


「あ… セロシアさん、大変だったみたい。帰ってきた時は倒れそうなくらいグッタリしていたわ」


「ええ…?  セロシアさんは、クラーキアさまと交渉しに行ったんですよね?クラーキアさまって、そんなに大変な人だったんですか?」


「ううん。クラーキアさまじゃなくて、クレアさんみたい…」

ミモザは少し困ったように笑う。


「クレアさん?あれ?クレアさんとデニアさんは?」

部屋を見回しても2人の姿はなかった。


「あー… もうすぐ分かるわ」


「え?」

あたしとシオンはキョトンとしていると、控え室の扉がノックされティモルが現れた。

「みなさま、もうすぐ会議が始まります。大広間へご移動ください」


あたし達は緊張感に包まれ、神妙な面持ちで大広間へ移動を開始した。



ついに始まる。

インクローチャー…、いやジギタリス帝国へのあたし達の反撃が始まるのだ。

これはその為の一歩なのだ。


あたしは手を握りしめ、少し緊張しながら大広間に入って行った。

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