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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第1章 旅立ち編
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コロニーの主と招待状ー2

魔界には『国』という概念がなかった。

魔界にはオニや魔女、ヴァンパイアなどさまざまな種族が存在しており、これら魔界の住人の中でも特に強力な力を持つものが存在する。そこに力を持たない者が庇護を求めて集まってくる。

この集団を『コロニー』と呼び、コロニーの主が強ければ強いほど巨大なコロニーとなる。


ルビアの父『マヴロ』もその1人であり、母『リアリナ』も元コロニーの主だった。


魔界では力が全てであるため、力を持つと自負する住人はコロニーの主に招待状を送り、力で叩き伏せてコロニーを奪うことで自分の力を誇示するのだ。


つまり『招待状』とは、『果し状』のことだ。

ルビアの元である『かえで』の認識では、招待状の意味が違うなぁと思いクルクマに尋ねると「ぶっ殺してやるから招待してやるよ」と、言う意味で『招待状』らしい。


コロニーの主はこれを受けることも、拒否することも自由だが、拒否し続けていると『力を持たない卑怯者』とレッテルを貼られ、そのコロニーは衰退してしまう。よって、主はいつまでも招待状を拒否することが出来ないのだ。


現在、魔界では多数のコロニーが存在しているが、マヴロのコロニーは上位5位に入るほど巨大なコロニーだった。


マヴロのコロニーの中心にある、黒い城にはマヴロとリアリナ、ルビア、シオンが一緒に食事をする部屋がある。その部屋の天井には巨大なシャンデリアがぶら下がっており、両側の壁には鎧や剣などが飾られている。シャンデリアの下には縦3メートル、横1メートルのテーブルがあり、白いクロスがかけらている。


テーブルでは食事を終えたマヴロたちが、まだ食事の余韻を楽しむように座っていた。


「あぁ、めんどくせー。だいたい、弱いくせに招待状なんか送ってくんなよなー」

マヴロはぶつぶつ言いながら水を飲んでいる。


「これもコロニーの主としての務めですよ」

リアリナがナプキンで口を拭きながらマヴロを嗜めていた。


「あ!そうだ!ルビア、お前やっつけてこいよ!」

マヴロはいい事を思いついた!とぱぁっと顔を輝かせている。


「えー、やだよー。めんどくさいしー」


「マヴロ!いい加減、諦めなさい」

リアリナがピシャっと言い放つ。


「ちぇー」

マヴロはダルそうにテーブルに突っ伏してしまった。


「ちぇー」

シオンもマネして突っ伏しているが、シオンはただダラけたいだけだろう。



昼過ぎになり、マヴロは約束の闘技場に向かった。

闘技場はマヴロの城から少し歩いた所にある。

少し遅れてリアリナやルビア、シオン、執事やメイドたちも観戦のため闘技場へ向かう。


闘技場のまわりはたくさんの出店が出ていた。

付近は美味しそうな匂いで充満しており、さっき食べたばかりなのに胃袋が刺激される。


「昨日、思いつきで決まったことなのに、すごい人だね…」

ルビアはあまりのお祭り騒ぎに呆れている。


「久しぶりの招待状受託ですし、5人まとめてお相手されますからね」

クルクマは顎髭を撫でならがお祭り騒ぎを楽しそうに見ている。


昨日、クルクマが闘技場の手配をしたことがコロニーの人達の噂になり、もともと娯楽が少ないことも手伝って、大騒ぎとなってしまったようだった。


闘技場は広い広場を囲むように観覧席が作ってあり、『かえで』の記憶だとサッカー場のような作りになっている。

観覧席には闘いの被害が出ないように、何重にも結界が張られており、観客は安心して闘いを楽しむことができるようになっている。


あたし達はマヴロの関係者として、一番見やすい観覧席に案内された。

そこは周りの観覧席より少し座席間が広く、テーブルと冷たい飲み物が用意されていた。


広場の北側と、南側に1つづつ入口があり、ここから闘技者が入ってくるようだ。


いま、北側からマヴロが、南側からは5人の挑戦者が入場してきた。


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